「送り火」
哀愁があり、どこか不気味なのに暖かな”アーバンホラー”
重松さんの話は、(まだ数作しか読んだことがないけれど)人間味というか人情に溢れている。
中には、イジメなどの人間の弱いところをついた作品もある。それを一旦読むと、しばらくの間その話しについて悶々と考えてしまいそうなので、なかなか手をつけていなかった。
この「送り火」は短編なのでそんなに気負いせず読めそうなので借りた。
舞台は東京からベッドタウンに伸びる富士見線の沿線。(富士見線は実在しないのですね)
帯に「アーバンホラー」と書かれている。現代の都会で暮らす人々に起こる、少し不気味で、でも暖かいところもある不思議な短編ばかりだ。最初の2作はホラーテイストだけれど、あとはそうでもない。怖くなくてしんみりする、なかなか面白い本だった。
□フジミ荘奇譚
行き場をなくし、ホームレス寸前の男が住み始めた古いアパート。そこには不気味な老婆が5人暮らしている。老婆と猫。不気味なことこの上なし。一度は金と引き換えにアパートを燃やそうとする男であるが・・・。
□ハードラック・ウーマン
売れないライターの由紀子。町の噂のネタに行き詰まり、駅にいるホームレスの老婆に「富士見地蔵」と名づけ、拝むとご利益があるという記事を掲載した。すると瞬く間に噂はブームを起こし…。
人生に行き詰った女性にちょっとしたヒヤリ体験。
老婆モノ2作連続は恐ろしい。
□かげぜん
夫婦は6歳で息子を失った。1年がたち、笑顔も戻りつつある二人だが、妻が少し思いつめ気味だ。息子宛に未だ届くDMをしまい、かげぜんを据えるのはまだよいが、ランドセルを買い、近所の子供に背負ってもらったりしはじめた。いなくなった現実を受け止めるつらさを描いた1作。
(あまり関係がないけれど、自分を含め営利で送りつけているDMが受け取る人によっては思い意味を持ってしまうんだなぁ・・・)
□漂流記
仕事をやめ、家庭に入り、新しいマンションに引っ越してきた女性。公園デビューを果たすが、序列関係や自分のこどもをまったく関係のないあだ名で呼ばれることにストレスを感じ、次の公園へ。
マンションに伝わる不気味な感じが結局なんだったか分からなかった。
□よーそろ
実直な富士見追分駅の駅員原島。彼は自殺をしようとする人を嗅ぎつけては止めてきた。
一方、小学生の太郎はイジメに悩み、それを親に打ち明けられずにいた。彼を元気付けていたのは、とある「冒険家」のひよわな日本人に対する熱意に溢れたメッセージだった。
太郎が折れそうになったとき、原島と冒険家が救いの手を差し伸べる。
□シド・ヴィシャスから遠く離れて
かつてパンクバンドとして勢いのあった男に、敬一は再会する。敬一はパンクへの熱い思いを語る伝説のライターだった。しかし、再会した双方とも以前の面影はまったくなかった。そこへかつて敬一が書いた文章を心から尊敬している男を紹介される。
夢を棄てた大人と、棄てきれず、それでいて前に進めない大人。苦いけれど前に進むしかないのだ。
□送り火
弥生子は一人でくらす母親に同居をして欲しいと頼むため実家に向かう。彼女は今は廃れて閉園した遊園地と、そのそばの実家が大嫌いだった。自分のために無理をして働き、住まいを買い、そして過労で死んでしまった父親がわかってはいても理解できなかった。幼い自分、母の寂しさと、家への思い、そして父への思いが、閉園した遊園地をぼうっと照らす。
□家路
妻と積もり積もった互いの瑣末な不満が噴出し、家を出た男。毎日家に「帰りたくない」男に、家に「帰れなくなった」男が話しかけてくる。男は駅で急病で亡くなった幽霊だった。
こういうオッサン話嫌いじゃないな。
□もういくつ寝ると
両親の墓を決めに行く娘とその夫。娘は富士山が見える墓にこだわるが、夫はあまり興味がない。子供の墓を探す若い夫婦、自分がひとりで入る墓を探しにきた老人。「お隣」の事情は様々である。
娘は次第に夫と、その家族の墓には入りたくないなと思い始める。
重松さんの話は、(まだ数作しか読んだことがないけれど)人間味というか人情に溢れている。
中には、イジメなどの人間の弱いところをついた作品もある。それを一旦読むと、しばらくの間その話しについて悶々と考えてしまいそうなので、なかなか手をつけていなかった。
この「送り火」は短編なのでそんなに気負いせず読めそうなので借りた。
舞台は東京からベッドタウンに伸びる富士見線の沿線。(富士見線は実在しないのですね)
帯に「アーバンホラー」と書かれている。現代の都会で暮らす人々に起こる、少し不気味で、でも暖かいところもある不思議な短編ばかりだ。最初の2作はホラーテイストだけれど、あとはそうでもない。怖くなくてしんみりする、なかなか面白い本だった。
□フジミ荘奇譚
行き場をなくし、ホームレス寸前の男が住み始めた古いアパート。そこには不気味な老婆が5人暮らしている。老婆と猫。不気味なことこの上なし。一度は金と引き換えにアパートを燃やそうとする男であるが・・・。
□ハードラック・ウーマン
売れないライターの由紀子。町の噂のネタに行き詰まり、駅にいるホームレスの老婆に「富士見地蔵」と名づけ、拝むとご利益があるという記事を掲載した。すると瞬く間に噂はブームを起こし…。
人生に行き詰った女性にちょっとしたヒヤリ体験。
老婆モノ2作連続は恐ろしい。
□かげぜん
夫婦は6歳で息子を失った。1年がたち、笑顔も戻りつつある二人だが、妻が少し思いつめ気味だ。息子宛に未だ届くDMをしまい、かげぜんを据えるのはまだよいが、ランドセルを買い、近所の子供に背負ってもらったりしはじめた。いなくなった現実を受け止めるつらさを描いた1作。
(あまり関係がないけれど、自分を含め営利で送りつけているDMが受け取る人によっては思い意味を持ってしまうんだなぁ・・・)
□漂流記
仕事をやめ、家庭に入り、新しいマンションに引っ越してきた女性。公園デビューを果たすが、序列関係や自分のこどもをまったく関係のないあだ名で呼ばれることにストレスを感じ、次の公園へ。
マンションに伝わる不気味な感じが結局なんだったか分からなかった。
□よーそろ
実直な富士見追分駅の駅員原島。彼は自殺をしようとする人を嗅ぎつけては止めてきた。
一方、小学生の太郎はイジメに悩み、それを親に打ち明けられずにいた。彼を元気付けていたのは、とある「冒険家」のひよわな日本人に対する熱意に溢れたメッセージだった。
太郎が折れそうになったとき、原島と冒険家が救いの手を差し伸べる。
□シド・ヴィシャスから遠く離れて
かつてパンクバンドとして勢いのあった男に、敬一は再会する。敬一はパンクへの熱い思いを語る伝説のライターだった。しかし、再会した双方とも以前の面影はまったくなかった。そこへかつて敬一が書いた文章を心から尊敬している男を紹介される。
夢を棄てた大人と、棄てきれず、それでいて前に進めない大人。苦いけれど前に進むしかないのだ。
□送り火
弥生子は一人でくらす母親に同居をして欲しいと頼むため実家に向かう。彼女は今は廃れて閉園した遊園地と、そのそばの実家が大嫌いだった。自分のために無理をして働き、住まいを買い、そして過労で死んでしまった父親がわかってはいても理解できなかった。幼い自分、母の寂しさと、家への思い、そして父への思いが、閉園した遊園地をぼうっと照らす。
□家路
妻と積もり積もった互いの瑣末な不満が噴出し、家を出た男。毎日家に「帰りたくない」男に、家に「帰れなくなった」男が話しかけてくる。男は駅で急病で亡くなった幽霊だった。
こういうオッサン話嫌いじゃないな。
□もういくつ寝ると
両親の墓を決めに行く娘とその夫。娘は富士山が見える墓にこだわるが、夫はあまり興味がない。子供の墓を探す若い夫婦、自分がひとりで入る墓を探しにきた老人。「お隣」の事情は様々である。
娘は次第に夫と、その家族の墓には入りたくないなと思い始める。
「哀愁的東京」
寂しいおじ様たちの心をぐっとつかむような作品を作っている…と勝手なイメージを抱いている重松さんの作品です。
東京を舞台に、様々な大人たちの寂しい心を描き出した大人の絵本のような本です。
主人公・進藤宏。40歳。絵本作家ですが、数年前に大ベストセラー「パパといっしょに」を出して以来、一度も作品をだしていません。スランプに陥ってしまったのです。副業のフリーライターの仕事がむしろ本業という状態。絵本とは正反対の、夢もない、雑多で読み捨てられるだけの文章を吐き出し続けています。妻と娘がいますが、アメリカで暮らしており、連絡も途絶えがちです。
この進藤に新しくついた編集担当者が、新米のシマちゃん。彼女は「パパといっしょに」の大ファンで、進藤にどうしても次回作を描いてほしいと食いつきます。渋々絵本の制作に取り掛かろうとしますが、うまくいきません。その理由は、「パパといっしょに」のモチーフになった人々との関係、そして彼自身の家族との関係にあるようでした。
東京を舞台に8人の様々な人々と進藤は出会います。どこか寂しい、その人々の姿から、進藤は何かを見出そうとします。
絵本というと、やわらかい、やさしい存在。そうでないものもたくさんありますが、子どもに希望や夢を伝えたり、時には道徳的なものを伝える役割持っています。進藤は、人々に感動と希望を与えるような作品を作り出しましたが、モチーフの当事者たちにとっては、その受け止め方がただただ悲しいものでしかなかったことになります。
その後スランプに陥る進藤が目にするものは悲しい、寂しい大人の姿ばかり。そこに何かを見出そうとして、紙に向かいますが、やはり、かけません。(絵本の題材としては、あまりにも寂しすぎますよね・・。)その代わり、進藤はずっと逃げてきた、自分の中の孤独や哀しみと向き合うことになったと思います。
なんだか嫌なこと、やるせないこと、悲しいことばかりだけど明日は来るし、そういう人がぐるぐる動き回って走っているのが東京か…。なんだか重いですが、不思議と暗い気分にはならないです。
おじ様方が読んだら、また違う感想をもたれるのでしょう。
「きよしこ」
言いたいことが言えない。
そんな「吃音」の障害を持った少年「きよし」のお話。
どもって笑われるのが嫌で、なんでも話せて理解してくれる友達がほしいと、「きよしこ」という少年を空想の中で作り上げます。
「きよし この夜」を「きよしこ の 夜」と勘違いして、できた少年です。
きよしこは「伝わるよきっと」といってくれます。
少年は、父親の転勤で何度も転校をします。
吃音のこともあり、自分の思ったことを伝えられず、友達作りが苦手な少年。
でも、吃音が出にくい言葉を選んだり、得意なことで周りをあっと言わせたりして、
だんだん友達も作れるようになり、自分のいいたいことも伝えられるようになっていきます。
小学校から高校卒業までの少年の成長が見れます。
一つ一つのエピソードは、吃音にかかわらず、どんな子どもでも体験したようなことなんじゃないかと思います。
自分のいいたいことを伝えたり、自分を友達にしってもらいたいと思ったり、悩んだり。
なかでも言葉って難しい。いいと思って言ったことが相手を傷つけたり。逆に、言わなくて後悔したり。
誤解されずに、すべてのことを伝えるって中々できません。それを喧嘩したり悩んだりしながら、伝えていく力をつけていくんですよね。
とてもやさしくておもしろい本でした。
なんだかこの本の表紙がかわいくて、気になって買ってしまいました。
でもいじめとかそんな陰惨な話だったら読みたくないなぁと思ってたんですが、
読んでみたら全然違いました。
いくら最後はハッピーエンドでも、途中に怒りがこみ上げるような場面や人物がこれ見よがしにいる話は嫌いです。
読んだあとまで考えてしまうから。
ドラマも同じ。たとえば「女王の教室」とか見たら面白そうだけど、1週間ハラハラ、憤懣持ったまますごすのは嫌です。
♪BGM♪ レミオロメン 春景色
「流星ワゴン」
「きよしこ」の重松さんの作品で、日本石油の看板チックな表紙が気になって買いました。
主人公は、永田という男性。
家庭は崩壊寸前。妻はテレクラで男と不倫を重ね、息子は中学受験に失敗し家庭内暴力をふるう。
永田自身も会社からリストラされ、小遣いほしさに、ガンで余命いくばくもない父親を訪ねていくようになっていた。
そんな駄目男が「死にたい」と漠然と考えていたとき、「オデッセイ」に乗った、幽霊親子があらわれた。
オデッセイというところがリアル(笑)
その父子は5年前に交通事故で死亡した幽霊。彼らは「たいせつな場所」へ連れて行くと言った。
そして、タイムマシーンのように、永田を過去のあらゆる後悔のポイントへと連れて行く・・・。
どこで道を間違ったか分からない。ソレに気づいたときはもう遅く、変えることは出来ない。
このオデッセイで過去に戻ってもソレは同じ。見つけても何も変えられない。
これからどう生きるかにかかっている。誰もが持ってる葛藤じゃないかなと思う。
この物語には3組の「父と子」が出てきます。
ひとつは、永田と息子。
ひとつは、永田とその父親(チュウさん)。
そして、幽霊の橋本と息子。
彼らそれぞれがわだかまりを持ってていたり、分かり合えないところがあった。
物語の中で全て解決はしなかったけれど、最後にいい方向に迎えているのは確か。
特に、チュウさんが息子への思いを爆発させるところと、橋本さんと息子の絆が現われる場面には本当に感動しました。
私は、父にも息子にもなれませんが、父と息子って、娘とはなにか違う絆があったりするんでしょうか。親子の関係の難しさとおもしろさが描かれていました。
親が自分の年に何を考えていたか、私が子どもを持ったときに、子どもの年で何を考えていたのか、考えるのって中々おもしろそうですね。






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