☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2007.11
30
(Fri)

「海」 

小川洋子さんの深い文章が味わえる七編の短編集。


小川 洋子 / 新潮社(2006/10/28)
Amazonランキング:154454位
Amazonおすすめ度:



よくミステリーばかり読んでいて、他にはなにか読まないのか、恋愛小説は読まないのかと聞かれます。恋愛小説・・・たとえば、高校生の”純愛”ものや、壮絶な愛だとか、不倫だとかの本はあまり手に取りません。じゃぁ何を読んでいるかと聞かれて考えてこんでしまいます。たとえば、この小川洋子さんの作品は「THE恋愛小説」ではありませんよね。本を読むのは好きですが、なにに分類されるのかいまいち分かりません。確かに「ミステリー」「歴史」「恋愛」だと分かりやすい区分だけど、それだけじゃないでしょう。

 小川さんの書く話は不思議です。現実的な場面のように見えて、どこかでふっと幻想的で、秘密めいた世界が現れる。周りは学校や仕事がある、普通の世界のようなのに、その主人公のいる場所だけが、どこか違う異国のようで、切り取られているような感じがする。「バタフライ和文タイプ事務所」などはその典型かもしれない。タイプライターを打つ仕事の女性と、タイプライターの備品を管理する謎めいた男性の話で、とても淫靡な感じだ。それにしても、タイプライターが小川さんの話にはよく出てくる。
 
 かと思えば、とても暖かい話もある。「缶入りドロップ」なんかは、とても短くて単純な話なんだけど、ほっとしてなんだかいい。失語症?の少女と男性のやりとりがかたられる外国の童話のような「ひよこトラック」や、ガイドの母を見守る息子の話である「ガイド」も暖かい話だ。赤の他人の死を見取るという、なんともやるせない終わり方をする「風薫るウィーンの旅6日間」も好きだ。

 どの話もいいなぁと思える話ばかりです。
短時間で軽く読書で一息したい方にオススメです。
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2006.11
07
(Tue)

「凍りついた香り」 


小川 洋子 / 幻冬舎
Amazonランキング:9,691位
Amazonおすすめ度:



小川洋子さんの世界観たっぷりの作品です。
 現実と幻想の世界が入り混じった不思議な世界が、当たり前のように現れ、主人公達の心を表している。
これもまた、そういう作品です。

 涼子の恋人の篠塚弘之は、ある日突然自殺してしまいました。
弘之は香水を作る調香師の見習いでした。涼子のために「記憶の泉水」という香水を作ってくれた弘之。優しくて生真面目で、とても計算が速い。
 そんな彼を失って失意にいた涼子は、弘之の弟や母親と出会い、知らなかった弘之の姿を知ることになります。 
 そこには知らない弘之がたくさんいました。
 自分以外の誰もが彼を「ルーキー」と呼んでいたこと、日本一数学の得意な少年だったこと、スケートがとてもうまく、最近もスケート場で技を披露していたこと・・・・。
 涼子は、恋人だったにもかかわらず、弘之について何も知らなかったことに愕然とし、かき集めるように彼の過去を、恐れながらも知っていきます。その過程で、弘之が残した詩の様な謎の遺言の場所をプラハに見つけ、彼の死の真相にも近づいていきます。
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2006.09
27
(Wed)

「薬指の標本」 


小川 洋子 / 新潮社(1997/12)
Amazonランキング:17,380位
Amazonおすすめ度:


 「薬指の標本」には2作品が収められています。

「薬指の標本」 


 事故で薬指の先がなくなってしまった「わたし」が働いている「標本室」。そこには様々な人がひっそりと、自らの思い出を標本にしてほしいとやってくる。楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、焼け跡に生えていたきのこ、火傷の傷跡…。人々の思い出が封じ込められていく。
 そんな密やかな標本室で、わたしと標本技士は関係が深まっていく。しかしそれはどこか隠微である。技術士から贈られた革の靴。足にぴったりのその靴は、わたしから離れられないような魔力を持っていた。
 もし、わたしが標本にしてもらうならば、それは何なのだろうか。

 小川さんの作品は、こんなけっして大昔でも、外国でもないはずなのに、昔の、どこか遠い国の色あせた秋のような雰囲気を漂わせている。そして時間を切り抜いて、封じ込めるようなものが多いような気がします。
 以前読んだ「沈黙博物館」もそんな雰囲気がありました。博物館と標本室という、生きているもの、もしくは死に行くものの時間をそこで止めて、しまっておくあたりが似ています。
 そのへんがとても不思議な気持ちになります。
 また、技術士との恋愛も狂気を感じさせていて、それも小川さんの作品で常々感じるものです。自分を彼のコレクションの一部にしてしまいたい・・・とは・・。そうやって彼のコレクションの一部になった女性がひっそりと何かの形で並んでいるのかしらと考えると、ちょっとしたサスペンス。

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2006.06
27
(Tue)

「密やかな結晶」 


小川 洋子 / 講談社(1999/08)
Amazonランキング:29,959位
Amazonおすすめ度:



 一つ一つあるモノの記憶と、そのもの自体が「消滅」してしまう島。
そういう小川さん特有の雰囲気を持つ作品です。前に読んだ「沈黙図書館」と同じように、日本であるようで異国でもあるようであり、現代のようでもあり、現代社会ではないような場所が舞台。
 人の記憶と、狂気めいた愛が見え隠れする作品です。

 島では、朝突然、人々の元に「消滅」が現れる。消滅が起こると、そのものの記憶を一切失ってしまうことになる。消滅が始まったものは一切捨ててしまうのが島の人たちのきまりごとである。最初は名残惜しくも、2・3日も経てばその記憶さえ消えてしまうので、人々は諦めている。
 たとえば「鳥」の消滅。朝のさえずり、空を駆け巡るその姿、人々は一切の記憶をもたなくなる。「バラ」の消滅では、花弁が川に流され、川は1日中花弁であふれかえった。花との別れを惜しんでいても、しだいに、バラに対する思い入れや美しいと思う心を失い、完全に忘れてしまう。その光景は綺麗であるはずであるけれど、想像すれば悲哀に満ちているのではないかと思う。
 そういう寂しい島が舞台だ。
 
 主人公の女性は島には少ない小説家だ。何かが消えてしまうことを題材とした小説を書いている。
 
 彼女の死んだ母親は、今思えば「記憶がなくならない」特殊な人物だった。消えてしまったもの―例えば、エメラルド、香水など―の話をしてくれた。異国の不思議なお話のようであるが、記憶がない彼女の心には訴えてくるものがない。
 「記憶がなくならない」人々はたくさんいて、「秘密警察」の手によりどこかへ強制連行されていく。連行は日々激しさを増していく。
 編集者のR氏もその一人である。彼女は、消滅してしまった「フェリー」乗りだったおじいさんとともに、彼を匿うことにするが・・・・。

 
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2006.02
22
(Wed)

「博士の愛した数式」 


小川 洋子 / 新潮社(2005/11/26)
Amazonランキング:位
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 この話は、80分しか記憶の持たない博士と、家政婦と、その息子の愛情あふれる、温かな物語だ。
 彼女は、これまで9人も辞めていった問題の家に家政婦として派遣された。家主の老婦人は、離れに住む義弟の面倒をみよという。
 義弟である男性は、昔大学教授で数学の博士だった。交通事故の後遺症で、記憶が80分しかもたなくなってしまい、以来、数学雑誌の懸賞を解くなどして細々と暮らしてきた。彼のスーツにはたくさんのメモ書きの紙が留められている。そうしないと何をしていたかスッパリ忘れてしまうからだ。その姿は異様にも見える。
 彼女は、彼女自身のことでさえすぐに忘れ、仕事に没頭する博士への対応を苦慮しながらも、博士について様々な発見をし、だんだん理解するようになる。
 博士のコミュニケーションの架け橋になる話題は「数字」である。誕生日、靴のサイズ、電話番号・・・。相手にそれらの数字を尋ね、その数にまつわることをつぶやく。それが彼なりの場の持ち方だ。彼女は、博士が説明する、数の魅惑に、最初は戸惑いながらも引き込まれていく。博士の書く数字、説明はとてもわかりやすく、安心するようなものなのである。
 その博士に魅入られたのは家政婦だけではない。家政婦の小学生の息子もである。息子を一人で留守番とは何事かと、家に連れてきなさいと言った博士。博士は子どもには強い愛情を示すようだった。
 博士は息子を「ルート」と呼んだ。
 息子の頭のてっぺんがルート記号のように平らだったからだ。
「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与えることができる」
 
 博士、家政婦さん、そしてルート。穏やかだったり、楽しかったり、悲しかったりする3人のささやかな日々が描かれている作品だ。 
  
 こんなに暖かい話はひさしぶりに読みました。
何が暖かいんだろう。
小川さんの作品の雰囲気からかな。
博士の言葉も、家政婦さんの理解しようとする姿勢も、しっかりしたルートも。全部暖かい。

 目を引くのが博士の境遇。
80分たつとリセット。事故の日までの記憶でストップ。
80分の中で、考え、見聞きし、出会ったもの全てが失われる。
その瞬間に見るのが「僕の記憶は80分しかもたない」という宣告のメモ用紙。80分たつごとに、博士はその恐ろしい絶望感と戦わなければならない。数式だけが時間の中をそのまま移動できる。でも博士の記憶や体験は80分向こうには移動できないのだ。
本当にあるのか分からない病気だけれど、なんて悲しい病気なんだろうと思いました。

 「数字」「数学」は不得意でした。学年があがるごとにそれは顕著になりました。基本問題や計算はできても、パズルのような応用問題がでるとおしまいです。考えられない。センスがないんだと言ってごまかしていました。素数、友愛数、ルート、双子素数・・・。博士が説明し、家政婦さんが見るその数字たちは、とてもおもしろいものでした。話の雰囲気に流されているのかもしれませんが、冷たい、無味乾燥な数字があたたかく、かわいらしいものに感じられるのです。不思議でした。
 
 悲しい病気が元に作られた出逢い。博士は自分たち3人で蓄積した時間は覚えていないけれど、たしかにそこには愛と呼ばれるようなものがある。本当に素敵な話だと思います。  
2006.02
07
(Tue)

「沈黙博物館」 


小川 洋子 / 筑摩書房(2000/09)
Amazonランキング:126,183位
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 博物館技師の僕が雇われた先は小さな村の屋敷。
依頼主は偏屈な老婆。
老婆が作りたい博物館は、村の人間が死ぬたびに集めてきた「形見」の博物館だった。

「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。それがなければ、せっかくの生きた歳月の積み重ねが根底から崩れてしまうような、死の完結を永遠に阻止してしまうような何かなのだ。」

 高圧的な老婆に罵倒されながら、膨大な量の形見を整理し、博物館の構想を練る。そして、老婆の代わりに死者が出るたびに形見となるものを盗みにいく。そのような日々が始まった。
 老女の娘や、同居する庭師、沈黙の伝道師とのかかわり。そして心にひっかかる殺人事件と、僕の兄の存在。そういうものも織り交ぜながら「沈黙博物館」は完成へと向かっていく。


 ストーリというより、世界観にひき込まれました。
日本であるとか、時代がいつであるとか定かではない。ヨーロッパのような雰囲気もあれば、現代のような雰囲気もある。土着の伝統のような雰囲気もある。
 
 死者の形見の収集という、異様な仕事。 
 老婆に圧倒されながらも、のめりこむ博物館や形見たちへの思い。
 自分の内側からなにも発することがない沈黙の伝道師。
 母の形見の「アンネの日記」、兄との思い出の詰まった顕微鏡。

 死や悲しい雰囲気に満たされていて、表紙のように、ずっと頭の中は灰色だった。死は完結で、モノは朽ち果てる。そのモノを保存し、意味を与え、死を完結させないようにする。
その行為に意味はあるのか?私たちはなぜモノに意味をこめるんだろう?そういうものの答えをだす話ではないけれど、そのことについて巣こそ考えました。

 暗い、物悲しい雰囲気で、不思議な世界観。私は好きでした。こういう雰囲気を楽しみたい人にはお勧めです。
2005.11
09
(Wed)

「ブラフマンの埋葬」 


小川 洋子 / 講談社(2004/04/13)
Amazonランキング:93,828位
Amazonおすすめ度:



 「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
芸術家たちが集う<創作者の家>で、世話人として働く僕。ある日僕は傷ついた小さな動物を見つけてこっそり飼うことにした。
 碑文彫刻師の彫った墓碑から、動物を「ブラフマン」と僕は名づけた。

 動物は私は犬だと思って読みましたが、どこにも犬とは書いていないので何の動物か分かりません。でもブラフマンの様子は、ことこまかに描かれていて、とても愛らしい。僕とブラフマンの、短い間ですが幸せな時間が描かれます。
 動物の設定だけでなく、話の舞台も謎に包まれています。日本のようで日本ではないかもしれない。出版社によって作られた創作者の家。車もあるし、街から遠い、森の中の話のようである。でも石棺への埋葬、石棺の並ぶ遺跡など、日本ではないような雰囲気もある。
 
 「ブラフマン」とは、「Brahman」 ヒンドゥー教またはインド哲学における宇宙の根本原理。自己の中心であるアートマンは、ブラフマンと同一(等価)であるとされています(梵我一如)。サンスクリットの「力」を意味する単語から来ています。倫理で習いましたが難しいですね。
どっちかとゆうとバンドの「ブラフマン」が思い浮かんでしまいます。

 碑文彫刻家=墓石に字を彫る人や、石棺に埋葬していたという風習や遺跡。ブラフマンという動物の名前。タイトルからも生や死がテーマになっていることが分かります。最後はとてもあっけなく、せつない。別れとはそんな突如としたものですね。
 とてもゆったりとした文章。きれいな雰囲気。そして単調にすすんで迎えるラストのさみしさ。(ゆえに、男性の読者や、動物嫌いの人にはちょっと受け入れられないかもしれないですね)
 私は動物を飼ったことがないので(実家でウサギを飼っていましたが、とても遠い存在でした)、あまり感慨が沸きにくいのですが、とても落ち着いた雰囲気になる本でした。
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