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☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。

「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」


大崎 善生 / 新潮社
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■キャトルセプタンブル
■容認できない海に、やがて君は沈む
■ドイツイエロー
■いつか、マヨール広場で

 恋愛を終えて、沈んだ後、いかに立ち直るかは人それぞれ違います。母親の昔の悲恋を想うことで浄化されたり、やけに陽気な父に励まされたことで前向きになれたり。逆に昔の恋人の面影をいつまでも追い続けたり・・・・。
この本には、喪失に遭遇した若い女の子の短編が4つ収められています。4作とも海外の情景が出てくることくらいで、まったくつながりのない話ですが、4つとも淡々としています。
 私は前半の2作が好きでした。どちらも、恋愛に敗れた少女が親の恋愛経験や考えを力に前向きになる話で、恋愛話に親というと変な感じがしますが、悪いかんじではありませんでした。
 大崎さんの本は、海外がよく出てきます。東欧のどこか切ない情景の街の風景。なぜそのような題材が多いのかは分かりません。そのためか、文章が淡々としているせいか、とても透明な水のような、印象を持ちます。
 あとは、そうですね、表紙の写真がとてもきれいです。いつもながら表紙で惹かれてしまいます。今回は「ドイツイエロー」ということででしょうか。外国の公園?の黄色い写真の装丁です。(ドイツイエローはグッピーの品種らしいですが)
 

「ドナウよ、静かに流れよ」


大崎 善生 / 文藝春秋
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 ドナウ川の美しい写真に惹かれて借りました。
(大崎さんの作品の表紙はどれも綺麗ですね)
 ここ最近読んだ中で心にずっしり残った作品です。

 これはノンフィクション作品です。大崎さんがどうしても気になって、なにか力にひきつけられたひとつの新聞記事。―日本人の18歳の少女と33歳の男性がドナウ川で投身自殺をした―。日常の中では、たったそれだけの記事。それを調べ始めて、彼女がなぜその齢で死を自ら選び取ったのかを探っていく。そういう作品です。
 読んでいて「小説みたいだ」と感じました。ノンフィクションであるのに、自殺した少女日実が辿った境遇と恋愛は小説のようなストーリーだったからです。これが普通のフィクションならば、悲劇の恋愛小説の定番系で終わっていたと思います。ノンフィクションであるがゆえに、最悪の結末へと誰も止められないまま進んでいくという過程が、「おもしろい展開だ」と素直に受け止めてはいけない気がしてしまいました。生きていたら自分の一年年上の女性の人生だったのですから。
 生き方については、正直に言えば共感できるところ、感動するところはないでしょう。周りの静止も聞かず、海外の地で好きな男と生活することを選び、生活すること、誰かを頼ることもできなくなって自殺した。これが現実の話であるがゆえに、死を持って愛をつらぬいたという美談にはできません。
 では、なにがこの話ですごいと思ったのかといえば、この事実を丁寧に調べて、できるだけ第三者の目で、しかも小説のようなストーリーをつけ、人々の心の攻防を描き出したところだと思います。
 日実さんが寂しさのあまり千葉とつきあいだし、周りをシャットダウンし不信感でいっぱいになったあと。両親と友人達、そして渦中の二人の複雑な精神状態の書きかたがとても丁寧でした。なにをやっても、何を言ってもうまくいかず、すれ違い、日実さんが逃げ道を失い、破滅に向かっていく話のテンポも圧巻でした。
 
 主人公が自殺ということ、ノンフィクションということで、この作品は一体何のために書かれたのかということも重要になってくると思います。日実さんが入れ込んだ男性・千葉は経歴もあやしい、精神病の疑いのつよい人でした。一時日実さんは彼に洗脳されていたように見えますし、実際にそうだったのかもしれません。
 日実さんの両親は、千葉のせいで日実は自殺した、パラノイアの千葉に殺されたということをしきりに訴え、作品にもそれを求めました。しかし大崎さんはそれをしませんでした。
 丁寧に調べる中で、消息をたった後の日実さんの生活を知ることで、必至に生きようと働いていたという姿から、決して洗脳されたり、殺されたりして死んだのではないのではないかという結論を出しました。
 一方的に千葉を攻めるのではなく、両親の途中の対応から、生まれたときからの生活環境まで洗いざらい明らかにしました。たくさんのああすればよかった、これがいけなかったという状況が複雑に絡み合って怒った悲劇だった。日実さんの本当の心のうちはわからないけれど、たくさんの事実から導き出される死の真相、日実さんがなにを思って生き、死んだのかが描かれました。
 犯罪にあった遺族が本を出すことはしばしばありますが、あれは事件と犯人への怒りと、大切な人を失った悲しみ、2度と怒らないことへの祈りをつづったものだと思われます。それは書くことでひとつの気持ちの整理のようなものになるのでしょう。
 しかし、この作品の場合、書いたのは第3者で、遺族である両親にとっても、かなり厳しい事実が書かれたものとなります。
結局、誰に向けて、何のために書かれた作品なのでしょう?
日実さんの「生きた証」なのか、
大崎さんの知りたいと思ったことへの満足なのか、
判断がかなり難しい作品だと思いました。
 
 どんな意義があるかわからないし、
話も寂しく、重々しいし、
涙も感動も、得られたものなんてないのだけれど、
とても印象的な作品でした。

(どうでもいいことですが、日実さんは太田莉菜さんに雰囲気が似ているなぁと思いました。)

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「ロックンロール」


大崎 善生 / マガジンハウス(2003/11)
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内容(「MARC」データベースより)
ある中年新人作家が第2作執筆のためにやってきたパリ。そこに突然新米女性編集者が訪ねてきた。新しい恋がはじまるのか、それとも…。ツェッペリンの名曲をバックにパリで繰り広げられる恋模様と人生を描く長編小説。


なんとなく目に付いたので借りてきました。
40歳の新人作家植村吾郎。おじさんが主人公。熱帯魚雑誌の編集長を辞めて、作家業に専念することにするも、2作目を書かないまま、だらだら2年くらいの時が過ぎてしまいました。
 担当編集者の高井真吾に2作目をせかされ、一念発起してパリで執筆活動をすることに。何とか、少年の旅物語を書き初め、山手線のようにルーティンする毎日が訪れます。

 高井の彼女の遍歴は「奈美、美久、久美子」というしりとりで並べられます。
その3人目の「久美子」がまた曲者です。
 久美子は他出版社の新人編集者。ある日、いきなり植村の元に訪ねてきます。
植村はルーティンが崩され、彼女に対する「恋」のような気持ちに揺れ動きます。
 久美子の男性遍歴は、「一真、真吾、吾郎」・・・・。

 ロックらしいロックを聴いたことがないので、それに対するおじさんの精神とか、よく分かりません。
中年おじさんの一時の心のよろめきというかなんというか。
格段おもしろいとか、すばらしい!とか言うわけではなかったけれど、さらりと読める文章でした。

 大崎さんのもっと有名な話から読めばいいものを、ちょっとマイナーなものを選んでしまったみたいです。
「パイロットフィッシュ」とか有名みたいですね。

♪BGM♪ YUKI   WAGON

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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
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