「ファースト・プライオリティー」
山本 文緒 / 角川書店(2005/06/25)
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銭湯
三十一歳
最近、恋愛小説をあんまり読みません。
いかにも恋愛っていうのは嫌いだし、
どろどろしたものも、
不倫のごたごたも嫌い。
よくわからないし、自分には当てはまらない世界だけにめんどうに感じてしまう。
読み始めるまでが億劫なのです。
読み始めたら、おもしろく読めるんだろうけれど。
その点、短編はいい。
いろいろな人間の面白い所だけつまみぐいのように読むことができるから。
長いドラマはないけれど、凝縮されたドラマもあれば、何気なく終わってしまうものもある。
でも後にずるずる内容をひきずることがないから、あっさり読める。
とくにこの作品は、すべての作品の主人公が31歳の女性になっています。
同じ年齢の女性でも、そういえば、こんなにも違う人いるよなぁと感心させられます。
結婚している人、離婚しそうな人、する人、子供がいる人、結婚できない人、不倫をしている人、恋人と暮らしている人。
みんな幸せそうじゃなくても、おそろしく不幸でもない。
みんな違うものが一番大切で、違うものに幸せを感じて暮らしている。
31歳の31人の女性の話。
なんだかよかった。
「プラナリア」
直木賞受賞作、短編集です。
どこにでもとは言わないけれど、どこかにありそうな人と生活が描かれています。自分の人生にまったく満足することなく、自堕落に生きるか、流されて生きているか。
表題の「プラナリア」は扁形動物。淡水に棲むヒルみたいなもので、なんと切ったらそこから再生するという恐ろしい生き物。二つに切れば、尻尾からは頭、頭からは尻尾がちゃんと生えて2匹になる。3つに切ったら、まんなかの部分は両方頭になるのだろうか。猟奇的だ。
高校の生き物好きの生物の先生が捕まえてきて見せてくれた。1匹しかいないので切ってみたいけれど切れないと言っていた。切れば2匹に増えるが、失敗して死んでしまうのが怖かったからだ。
そんなことはどうでもいいとして、以下の作品が収録されています。
「プラナリア」
「ネイキッド」
「どこかではないここ」
「囚われ人のジレンマ」
「あいあるあした」
下にどんな話だったかざっと書きますけど、何気ない日常、生活、自堕落な人の人生。そんな日常からなにを読み取ればいいのだろうとか、いつも考えていました。
社会を見るときには二つのアプローチがある。文学と学問だ。」と、ゼミの先生が言われました。学問的に見るのは私もやっていることで、誰にでもある程度できること。でも文学として社会を見ることは感性がないとできない。
これを聞いて、角田光代とか、「空港にて」とか、この「プラナリア」とか、なにを読み取ればいいのだろうと思っていたのは、なにかを感じ取るというよりも、現在の世の中を見ていると考えたらいいのかなと思いました。
これらの文章の中の生活や、恋愛や人生は、現在を生きる人たちを、物語として映し出しているわけで、なにか感じることがよく分からなくても、今の社会を分かりやすく見ることができるからおもしろいなぁと感じてしまうのかなぁ、と。
最近、そういう話をつむぎだすことで、その中に人や社会の形を映し出せる力って本当にすごいと感じています。
そういう見方からも、このプラナリアは本当によく描かれているなと感じました。おもしろかったです。




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