☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.08
29
(Fri)

「マークスの山」 


高村 薫
Amazonランキング:57338位
Amazonおすすめ度:



マークスの山(下) 講談社文庫


 合田雄一郎刑事シリーズの1作目で直木賞をとった作品。

 南アルプスの山中で心中した親子が発見され、奇跡的に幼い男の子が生還した。しかし、彼の心の中には「暗い山」が影を落とし、重度の精神障害を残すこととなる。
 一方、近くの工事現場では、酒に酔った精神を病んでいた作業者が登山者を殴り殺す事件が発生。凶器のあった場所など不可解な点が多い中、捜査は打ち切られてしまう。 

 この16年後、刑事の合田雄一郎は、東京で起こる連続殺人事件の捜査に当たる。
公務員、元暴力団員・・・。どちらも鋭利な刃物のようなもので突き刺されて死んでいた。
なかなか被害者の関係が見出せない。

 この連続殺人犯こそが、心中して生還した少年・水沢裕之。彼は重度の精神障害を負っており、健忘症を患い、「暗い山」が心を覆いつくす。「暗い山」の間は、心の中にいる残酷な人格が彼を攻め立てる。 水沢は、とある事件で刑務所から出所した後、頭の中の声「マークス」の言うとおりに大金を得る計画に着手し、殺人を繰り返していく。

 水沢が青年になってから、残虐な人格を持ち、殺人を犯していく様子が描かれるため、犯人は分かりますが、被害者がなぜ被害者になってしまったのか、その背景が分からない。最初は合田ら、警察が、犯人である水沢までどうやってたどり着くのかを読んでいく。そのうち徐々に、水沢が標的とした被害者達の接点や過去の秘密が明らかになり、「16年前」の南アルプスへと回帰していく構造。「マークス」の名前も大きな意味があったこともわかり、非常にスリリング。
 また、警察内部の描写も緻密で、警察や地検の軋轢や横槍もそうであるし、個々の捜査員の周りを出し抜こうとしたりする心理戦が濃密。警察のちょっとした捜査の怠慢が、どんどん明らかになってあせっていく様子も面白い。

 今まで読んだ「照柿」や「李歐」では、工場の描写が凄かったけれど、今回は「山」の、何かを飲み込みそうな重い感じの書き方が凄い。本当に女性が書いたのだろうかといつも驚いてしまう。
 ラストの終焉に向かう部分がスピード感や捜査員の最後の意気込みがあるのと、哀しい殺人者の最後がとても悲しいのに、自然がとても雄大で美しいという対比が、あっさりしてるラストだけど印象的だった。
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2008.07
19
(Sat)

「李欧 」 

22歳で出会った、大学生と殺し屋の15年越しの危険を孕んだ絆を描いたサスペンス


高村 薫
Amazonランキング:41174位
Amazonおすすめ度:



 李歐という男がいる。彼は「アジア一の投資家で、億万長者で、スパイで、ギャングで、殺し屋」である。容姿端麗で、美しい声で謡い・舞うこともできる。非常に危険で、不思議で、小説においては非常に魅惑的な男である。
 主人公の吉田一彰は、この李歐に「惚れた」。
 彼は大阪大学に通う大学生で、ナイトクラブなどでアルバイトをしている。普通の大学生のようだが、友人はおらず、女を渡り歩き、危険にも手を染めたりする陰のある青年だ。彼は6歳の頃、母親と大阪の工場がひしめく街に住んでいた。遊びに行っていた工場で働く韓国人が殺され、その直後に、母親は忽然と姿を消してしまったという過去を持つ。
 彼は、大学生になり、母の奇跡を辿って再び大阪に。母親が最後に一緒になったとされる趙文礼を発見するも、その趙を殺害する計画に巻き込まれ、趙ら5人が一彰の目の前で射殺される。
 その後、幼い頃に世話になった工場主の守山の元を訪れると、そこには5人を射殺した男が匿われていた。その男が李歐である。一彰とおなじ22歳の男は、いくつもの偽名を持ち、各方面から狙われる危険な男で、どの顔が本物か分からない。一彰が出会うはずのなかったような男である。一彰は李歐という存在に一気に惹き付けられてしまう。
 二人は「友人」になり、拳銃を貿易商の笹倉から大量に盗むことに成功。一緒にいこうと誘われた一彰であるが、李歐だけがシンガポールへ逃げることになる。いつか大陸に一彰を連れて行くという約束を残して。
 
 殺人教唆で服役したあと、一彰は守山工場で働くようになる。幼い頃にひきつけられた鉄を削って部品を作り上げる作業を毎日続けて堅実に働く。しかし、堅実に生きる一方で、危険な世界にも半分身をおいたままである。刑務所で知り合った組長の原口と男の関係と拳銃というつながりで逢瀬を重ねる。拳銃を解体し、部品を削り、修理する。鉄を削る作業―それが部品でも、拳銃でも―にのめりこんでいく。
 そして、もう二度と会うことでないであろう、李歐のことを幾度も考える。時折耳に挟む、投資家として活躍しつつ、様々な組織から狙われ、いくつも名前を変え代役を立て、死んでは新たな名前で生き返り、本当の姿は見せないという李歐。本当に李歐という、あの清清しく妖艶な男は存在していたのだろうか。李歐と大陸に行くという、叶わない夢を抱きつつ、一彰はどこか空虚な人生を歩んでいる。

 李歐については、冒頭で登場する以外は、一彰が思いを馳せ、警察や側近、テレビの噂でしか一彰や読者の前には現れない。詳しくかかれないからこそなのか、非常に魅力的に見えてしまう。(実際にいたら危険すぎて関わりたくはないけれど。)
 一彰は、手に入れたささやかな幸せや、関係してきた人間を、李歐という男に関わったことから失うことになる。その上で、この2人は再会するのであるが、危険な世界と断絶することなく、巻き込んでしまった果ての再会は、非常に身勝手な感じもするのだけど、なぜかラストは清清しいから不思議。
 鉄工所の情景や拳銃、暴力団、マフィアなど、非常に硬質で男臭い題材であるにも関わらず、二人をつなぐ桜の情景が美しい。女性が書いたものだからなのだろうか?
 描写が細かく、登場人物にどんどん味が出てくる、面白い本だった。
2006.09
20
(Wed)

「照柿」 


高村 薫 / 講談社(2006/08/12)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:


照柿(下)


 これは、初めて読んだ高村薫さんの本です。
「ハードボイルド」「深くて難しそう」というイメージだけ持っていて、なかなか手を出せなかった作家です。
 「12年ぶりの全面改訂」という、なんだかすごい力が込められているような作品が、ちょうど新刊として並べられていて。しかも、ちょうど上司が高村薫はすごいと絶賛していたので、読んでみようと思いました。


 二人の男が、一人の女性をめぐり人生の歯車を狂わせて行く作品。
 合田雄一郎は、警視庁の警部補である。ホステス殺害事件の捜査に携わっており、捜査の過程でヤクザの賭場へ足を運び、賭博をやる中で情報を聞き出そうとするなど、一線を越えた捜査をしていく。
 一方の野田達夫は、ベアリングの製作工場で働いている。教師の妻と息子を持つ。熱処理の現場主任で、荒々しい現場を取り仕切っている

出版社 / 著者からの内容紹介
『マークスの山』に続く 合田刑事第2幕 「こんな人生、もう嫌なの」 その瞳が、2人の男を狂わせる。 難航するホステス殺害事件で、合田雄一郎は一線を越えた捜査を進める。平凡な人生を17年送ってきた野田達夫だったが、容疑者として警察に追われる美保子を匿いつつ、不眠のまま熱処理工場で働き続ける。そして殺人は起こった。暑すぎた夏に、2人の男が辿り着く場所とは――。現代の「罪と罰」を全面改稿。
 大変であるとか、ハードではなくて、ずっしりとしていて、重量感のある作品だったという意味でヘビィな作品でした。
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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
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