☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.11
14
(Fri)

「もうひとつの季節」 

 

保坂 和志
Amazonランキング:81803位
Amazonおすすめ度:



 先日読んだ「季節の記憶」の続編です。これも購入。文春文庫率が上がってきた。

 マイペースの極みのような中野さん、松井さん、美沙ちゃん、そしてクイちゃんにまた会うことができる、おもいがけないプレゼントのような本である。しかもなぜか挿絵つき。
 
 この本も特別なドラマはない。前作からさほど時間がたっていない、冬の鎌倉。いつもと同じように中野・クイちゃん・美沙ちゃんは散歩に出かける。ただ変わったところは、迷い猫の茶々丸が仲間に加わったことだ。クイちゃんはこれでもかというほど茶々丸と遊ぶ。唯一のドラマといえば、茶々丸の本当の飼い主が見つかるという「危機」くらいである。
 
 そんなクイちゃんを見ながら繰り広げられる、哲学的な会話も健在である。
 クイが中野が赤ちゃんだったころ、猫と写っている写真を見て、「あの赤ちゃんは赤ちゃんだったパパなんだよね」「赤ちゃんだったパパは死んじゃわなくてパパになったのに猫は死ん、じゃったの」と問いかける。人間が成長することは知っていても、ぱっと写真を見せられると、地続きで人が成長していくということがまだ認識できていない。そんな細やかなことを描いているのだ。成長と、猫には訪れた「死」。大人でも出せない答えを中野がありきたりにならないように伝えようと苦心する。

 もうひとつは「世界」の感じ方についての議論。突然昔の旧友に出会ったときに感じる気持ちや、自然の一場面で感じた言葉で表せない気持ちがある。言葉という枠組みの中で感じているのか、言葉の外で感じているのか?それならば子供は大人と同じように考えられないのではないか、いや、感じられるはずだ。そんな答えの出ない議論が続いていく。

 どうでもいいところで、彼らの家の周りではヤマバトがないている。「クックックゥ、クゥウ、クゥウー」。
実家の周りでこの鳥の鳴き声がよく聞こえており(早朝によく聞こえていたような気がする)、ハトらしいというのは大きくなってなんとなくわかったのであるが、どの鳥なのか、ヤマバトという名前すら知らなかった。そもそも、あの独特な鳴き声を声や文字にしたことがなかったので、軽く感動を覚えてしまった。今住んでいる都会にもハトがいっぱいいるが、やつらは違うハトのようである。

 この作品の場合は、クイちゃんが非常に魅力的な存在である。子どもの思考、動き、ことばの描き方がとてもうまいし、大人を唸らせるような問いを投げかけてくるところがかわいいし賢い。
 続編が読みたくなる作品は、その作品でしか味わえないの空気がずっと続いていて欲しいと思わせるものがある。また、登場人物が非常に魅力的である。主人公だったり、仲間の雰囲気であったり色々であるが、もっと彼らの「未来」もしくは「過去」が知りたいと思う。
 ただ、あんまり続きすぎると、やはり、飽きるし、内容が乏しくなる感じも否めない。
 この作品は2冊目でも、1冊目と変わらぬ清清しさがあって、うれしい。
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2008.10
30
(Thu)

「季節の記憶」 


保坂 和志
Amazonランキング:32820位
Amazonおすすめ度:



 あまり読むことのない雰囲気の本と出会った。
 大きな展開がないのだ。
 恋愛や不倫であるとか、病気や生と死とか人生の喜怒哀楽を揺さぶるビックウェーブもなければ、変なトラブルを巻き起こす人物が現れて引っ掻き回すとかいう喜劇もないし、悲劇もない。離婚して父と子が二人で暮らしているが、母親の不在についてなにか問題が起こるわけでも、親権を争ってどうこうとかいう問題も起こらない。

 とにかく穏やかな話なのである。

 舞台は鎌倉。主人公の中野は、コンビニ本などを執筆しながら、息子の圭太(クイちゃん)5歳と二人で暮らしている。どういう理由か分からないが離婚して、鎌倉に引っ越してきている。二人は近所の便利屋の松田さんと、その妹の美沙ちゃんとの交流が深く、一緒に晩御飯を食べたり、毎日のように散歩に出かけたりしてのんびり暮らしている。この大人3人は微妙に似た波長を持っており、生きることについて議論を交わしたりしている。
 たまに、ゲイの二階堂(失恋中)が遊びにきたり、3人にとっては異質な、人とのコネクションとやらを重視するナッチャンと、その娘で男性嫌いのつぼみちゃんとの交流が始まったり、和歌山に住む宗教を立ち上げるのが目標の豪快な友人・蝦乃木が電話をかけてきたりする。
 のんびりとした毎日、散歩の風景、息子と父親の成長を見守る温かい会話、そして人生を見つめる3人の会話。それが延々と続く、穏やかな日常の話だ。

 とくに事件が起こることはなく、哲学的な会話が多く、人が殺されるだとか、事件を解決するとか、そういう本ばかり読んでいるので(笑)、最初戸惑った。このゆるやかな話に色を添えているのが、息子のクイちゃんだ。 クイちゃんは保育園には通っていないが、なかなか面白い感性を持っており(父親と読者の贔屓目かもしれないが)、記憶力がよく宇宙の本をそらで唱えたりできる。クイちゃんが時間とは何かと問いかけ、それに中野が丁寧に答えたり、無邪気に遊んだり食べたりする様がほほえましい。
 中でも、保育園で字を習ったつぼみちゃんに馬鹿にされたクイちゃんに、字を覚えさせるかどうかで中野が苦悩する場面は印象的。保育園くらいで字がすでに書ける子が今は多いと思うが、中野は字を書くことはあまり早すぎると書くことが目的になってしまって、色々考える力がなくなるんじゃないかと思っている。1年後には小学校で字を習うことになるにも関わらず、ナントカしてぎりぎりまで字を覚えないでいいようにならないかと頭を悩ませるのである。まず「字」とは、「言葉」とは、「読む」とは、なんなのかというところから、丁寧にクイちゃんに教えることにする。こういうことから教えようとする親はほとんどいないだろう。字がない状態で物事を考えられるのが凄いといった、普段通り過ぎて着眼しない発見が、会話の中にたくさんちりばめられていて面白い。

 都心に近くて、家も人もたくさんいるけれど、海と自然がのびやかな雰囲気でよく描かれる鎌倉付近。九州と関西にしか住んだことがないが、鎌倉のような雰囲気ところはないと思う。どんな雰囲気なのかいったことがないので、一度見てみたいものだと思う。
 表紙のみどりのように、みずみずしくて、おだやかな、なにも起こらないのにじっくり読んでしまう不思議な話だった。

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