☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
--.--
--
(--)

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2005.11
29
(Tue)

「スイートリトルライズ」 


江國 香織 / 幻冬舎(2004/03)
Amazonランキング:79,960位
Amazonおすすめ度:



 くまちゃんの表紙がかわいくてずっと読んでみたいなと思っていた本です。でも内容は「The・不倫」。

「人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに。」
 テディベア作家の瑠璃子は、夫・聡との結婚生活にそれなりに満足して暮らしている。聡にしても同じで、大きな不満も公開もない。ただ、近すぎず遠すぎずの関係の生活。お互いの世界にはあまり立ち入らない。例えば、瑠璃子は聡のゲームやスキーに、聡は瑠璃子のテディベアに興味を示せない。
 お互い、二人での生活を尊重しているにもかかわらず、二人とも不倫をしてしまう。瑠璃子にとって、それは聡との生活の中になかった「」だった。
 瑠璃子はテディベアを買ってくれた客の春夫と。
 聡は大学時代の後輩のしほと。
パートナーにない部分を恋人に見つける。パートナーといると恋人のことを、恋人といるとパートナーのことを知る。
恋人とずっと一緒にいたい、会いたいという情熱を感じる。
でも、浮気をすることで、なぜか夫婦での生活が潤滑にいくように感じる。

「人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに。」

 瑠璃子とって守りたいものは夫との生活だった。
瑠璃子は聡に浮気の事実を、聡は瑠璃子に浮気の事実を隠す。小さな嘘がたくさん増えていく。意外と隠せるもの。でも、その嘘は恋人のためではなく、夫婦の生活を守るためにある・・・。

 なんだか矛盾しているような嘘の考え方。でも、夫婦関係が守りたいものではなくなったとき、嘘は入らなくなる。だから、たしかにそういえるような気がする。

 浮気をしたいと思ったことは(多分)ない。
この二人の生活がうらやましいとも思えない。でも、結婚生活のなかに次第に「恋」はなくなっていき、スパイスのような恋を求めるようになる、というのはなんとなく分かるような気がする。恋することに執着がないので自分にそれが訪れるかは分からないけれど。

 江國さんの作品にしてはストレートな恋愛(不倫だけど)に属する作品でした。ただの不倫話じゃないかと言ってしまえばそうなってしまうけれど。修羅場なんかなくても十分危うい心情をやわらかく描写しているところは、やっぱり江國香織さんだと思う。
スポンサーサイト
2005.11
24
(Thu)

「夏のレプリカ」 


森 博嗣 / 講談社(1998/01)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:



 S&Mシリーズ7作目。「誘拐・失踪・ちょっと密室」。今までの作品の中でいろいろな意味で異なる風合いの作品です。

あらすじ
 那古野市の実家に帰省したT大学大学院生の簑沢杜萌。西之園萌絵にあった後、実家に戻ると、家族は誰も在宅していなかった。
 次の朝、杜萌の前に仮面をした誘拐犯が現れ、自分が誘拐され、家族も囚われていることが発覚した。しかし、誘拐事件は、犯人3人のうちの2人が殺害されるという奇妙な結末を迎える。逃亡する、3人目には殺害が無理。一体誰が殺したのか。
 しかし、事件はそれだけではなかった。杜萌の異父兄弟である兄が、外から施錠されていた部屋から失踪していたのだ。目が見えず、詩人である、綺麗な心を持った兄。わだかまりを残したままの兄の所在を心配する杜萌・・・。


 まず、前作「幻惑の死と使途」の表裏をなす作品です。こちらは偶数章しかありません。手品師匠幻の事件を追っている時期とちょうど重なっているのです。萌絵はこちらの事件にのめり込み、院試もあったため、この事件には最初殆ど関わることがありません。
 どうでもいいけど、幻惑~と夏の~を、1章から順番に読んだらしんどそうですね。萌絵がジグソーパズルに二つの絵が混ざっていたら気持ちが悪くなると言っていましたが、まさにそのとおりになりそう・・・。

 杜萌の視点から話は進んでいきます。萌絵も犀川先生もあまり出てこないというところで、他の作品と違います。特に犀川先生はあんまり出てきません。
 誘拐事件と、その犯人たちの謎の殺害事件。
 杜萌の兄の失踪と、事件はかかわりがあるのか。読者は杜萌と兄の間にどんな秘密が隠れているのか、杜萌は兄に関して家族が何を隠しているのか、とても気がかりになります。
 
 S&Mシリーズを読んできた中で、「夏のレプリカ」は初めて泣きそうになりました。
 ラストの真相もそうですが、表現がとても印象的で、とても切なかった。読み直してしまいました。F~も印象に残りますが、今までで一番印象的な話でした。
続きを読む »
2005.11
22
(Tue)

「幻惑の死と使途」 


森 博嗣 / 講談社(1997/10)
Amazonランキング:290,359位
Amazonおすすめ度:


 S&Mシリーズ6作目。今回は「奇術・密室」。でも密室らしい密室ではない感じです。

 どんな状況からでも脱出を果たすことができる天才奇術師・有里匠幻。大勢の人が見ているステージ。箱からの脱出。しかし、箱から現れたの胸を刺され、殺された匠幻だった。密室である箱、大勢の人の目がある中、どうやって匠幻は殺害されてしまったのか。
しかし、奇跡はそれだけではなかった。葬儀の際、直前まであった匠幻の遺体がマジックのごとく失踪してしまったのだ。
 もちろん、たまたまショーを見に行った萌絵はこの事件に頭をつっこんでいくことに・・・。

 
今回はマジシャンが出てくる事件なので、状況を頭で描くのが少し難しかったです。
でも、トリックは分かりやすかったです。(読む途中でわかったわけではなくて、理解しやすかった)。
サブテーマ?の「名前」のほうが重要かと。なぜこの殺人事件が行われたのか。その核心にあるのが「名前」です。今までの作品にはなかった、意味深な独白がありました。

 萌絵の高校のときの親友、簑沢杜萌が初登場。杜萌は、萌絵には適わないけれど、かなり頭の切れる女の子です。だって口頭でチェスしあってるんですよ。すごすぎです。
 実は、この杜萌さんは、次の話のかなり重要な人物のようです。
この幻惑の死と使途」は、なんと奇数章しかありませんでした(1章読み終わるまで気づかなかった・・・。)この匠幻の事件と平行して、もうひとつの事件が同じ時系列で起こっていて、それが多分別の巻で、偶数章で語られるのだ(ろうな)。

 犀川先生は、今回そんなに活躍はしません。残念。最後のほうにはちゃんと活躍してくれます。今までの車を廃車にし、新しい車を買うところがなんとなくおもしろかった・・。黄色て・・。
 超能力に対する見解もおもしろい。スプーン曲げは、力を入れれば折れるものなので、別に能力を超えていない。空中浮揚は本当なら見てみたいけど役に立たない。立ったほうが早い。テレパシィは携帯電話くらいの価値しかない・・・。
 「金魚すくい」をしらない、萌絵の常識エアポケットぶりも楽しいですねぇ。
 サブキャラもキャラクターがでてきました。
私も諏訪野さんがほしいなぁ。ちょっとこの方お気に入りです。
警察では萌絵のファンクラブが正式に組織化され、週1回西之園亭で会合が・・・。おいおい。
 衝撃的にやられたっ!感はありませんでしたが、おもしろかったです(^^)

以下ネタばれ!
続きを読む »
2005.11
17
(Thu)

「プラナリア」 


山本 文緒 / 文藝春秋(2000/10)
Amazonランキング:19,817位
Amazonおすすめ度:



 直木賞受賞作、短編集です。
 どこにでもとは言わないけれど、どこかにありそうな人と生活が描かれています。自分の人生にまったく満足することなく、自堕落に生きるか、流されて生きているか。

 表題の「プラナリア」は扁形動物。淡水に棲むヒルみたいなもので、なんと切ったらそこから再生するという恐ろしい生き物。二つに切れば、尻尾からは頭、頭からは尻尾がちゃんと生えて2匹になる。3つに切ったら、まんなかの部分は両方頭になるのだろうか。猟奇的だ。
 高校の生き物好きの生物の先生が捕まえてきて見せてくれた。1匹しかいないので切ってみたいけれど切れないと言っていた。切れば2匹に増えるが、失敗して死んでしまうのが怖かったからだ。

 そんなことはどうでもいいとして、以下の作品が収録されています。
「プラナリア」
「ネイキッド」
「どこかではないここ」
「囚われ人のジレンマ」
「あいあるあした」


 下にどんな話だったかざっと書きますけど、何気ない日常、生活、自堕落な人の人生。そんな日常からなにを読み取ればいいのだろうとか、いつも考えていました。
 社会を見るときには二つのアプローチがある。文学と学問だ。」と、ゼミの先生が言われました。学問的に見るのは私もやっていることで、誰にでもある程度できること。でも文学として社会を見ることは感性がないとできない。
 これを聞いて、角田光代とか、「空港にて」とか、この「プラナリア」とか、なにを読み取ればいいのだろうと思っていたのは、なにかを感じ取るというよりも、現在の世の中を見ていると考えたらいいのかなと思いました。
 これらの文章の中の生活や、恋愛や人生は、現在を生きる人たちを、物語として映し出しているわけで、なにか感じることがよく分からなくても、今の社会を分かりやすく見ることができるからおもしろいなぁと感じてしまうのかなぁ、と。
 最近、そういう話をつむぎだすことで、その中に人や社会の形を映し出せる力って本当にすごいと感じています。
 
 そういう見方からも、このプラナリアは本当によく描かれているなと感じました。おもしろかったです。
続きを読む »
2005.11
16
(Wed)

よみたいんです。 

 まったくどこに時間があるのか。社会人に比べたら腐るほどあるんですけれど(卒論とバイトの時間を除けば)。あぁ、卒論・・・。
読みたい本がたくさんあります。忘れそうなのでメモしておこう。

 いま手元にある読もうと思っている本は・・・
森博嗣「幻惑の死と使途」「四季 春」
山本文緒 「プラナリア」
宮部みゆき「人質カノン」
岡崎祥久 「昨日この世界で」
岡田尊司 「誇大自己症候群」(新書・購入本)

5冊借りてプラス1冊です。いつ読む気で借りてきたんだろうか・・・。
最近週2回学校に行くので、市立図書館によることができます。よるたびに5冊くらい借りています。重いです。買わなくてすむので経済的。でも、新刊が読めないのが残念。

 森博嗣氏の大ファンになっています。(ホームページやブログにも訪れています)。シリーズも多ければ作品も多いのではまらざるをえない感じですね。とりあえずS&Mシリーズは後5巻じっくり読みたいですし、図書館に「四季」シリーズが入ってきたのでそれも読みたい!ミチルとロイディの続編も、スカイ・クロラシリーズも読んでみたい!
十二国記」を友達から借りたときも、シリーズ全部を一気に読みげるという暴挙に出たのですが(とてもおもしろかったです)、それ以上のボリュームがあります。追いつかないですねぇ。

 <<読みたい本>>わすれちゃうんでメモしておこう・・・。
★森博嗣
「S&Mシリーズ」残り4巻
「四季シリーズ」春夏秋冬
「女王の百年密室」(これは買いたい)
「星の玉子様」(これも買いたい)
「スカイ・クロラシリーズ」3巻 (表紙がきれいだからほしいけどお金が・・)
★江國香織 読んでない奴全部(笑)★角田光代 「空中庭園」
★リリーフランキー「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」★京極夏彦「京極堂シリーズ」★町田康 「告白」「パンク侍切られて候」★「半落ち」★「インザプール」★村上 春樹「東京奇譚集」
★新書 「下流社会」(期待薄いけど)★「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(興味本位)


 
2005.11
15
(Tue)

「封印再度」 


森 博嗣 / 講談社(1997/04)
Amazonランキング:118,479位
Amazonおすすめ度:



 S&Mシリーズ5巻目。
半分まできました。近作は「パズル・禅・密室」という感じでしょうか。密室は定番のようです。
 

 N大学助教授犀川の妹の儀同節子はパズルマニア。ガラスの瓶から物を取り出すパズルで、木でできた鍵がどうしても取り出せないという物を持っている(1巻かどこかでもでてきた)。節子がパソコン通信でであった漫画家の実家には、それによく似た「鍵の入った壷」があるという。その謎について儀同が萌絵に話すところから話は始まる。
 仏画師の旧家である、件の香山家には、「天地の瓢」と「無我の匣」と呼ばれる家法が伝わっている。「無我の匣」には鍵がかけられている箱で、壷である「天地の瓢」にその鍵が入っている。しかし、鍵は壷から取り出すことができないのだ。萌絵の関心を引いたのはそこだけではなかった。
50年前の当主が、鍵を瓢のなかに入れ、息子に残して自殺したというのである。自殺した部屋は密室であり、凶器は発見されなかったのだ。萌絵はさっそく香山家を訪れる。
 ところが、数日後、現在の当主(50年前の息子)が何者かによって殺害されてしまった。凶器は見当たらず、部屋も一定時間密室だった。
 またまた萌絵は首をつっこんでいきますが・・・。


 「封印再度」の英語題は「WHO IN SIDE」。うまくできているものですね。どんな意味が込められているのでしょうか・・・。
 目次もおもしろいですよ。「1章 鍵は壷のなかに」「2章 壷は密室のなかに」・・・と続いて「10章 真実は鍵のなかに」で終わります。ループしていますね。それでもって、この3つはキーワードになっているような気がします。
 壷と鍵の謎も、密室の謎も、理系的なトリックで驚きです。よく考え付くなぁ、本当に。

 この話では、トリックは当然ですが、犀川先生と萌絵の関係のほうもかなりドキドキものでした(笑)ちょうどクリスマスから4月まで、(バレンタインはなかったけれど)イベントがある期間ですね。ちょっとした(あんまりちょっとしていないかも)事件がおきますが、犀川先生があんな行動にでてしまうとはっ!!!このことで犀川が事件を真剣に解き始めるんですけれども、ほんとうにおもしろい所を目撃した気分です。読むほうが恥ずかしい。萌絵は本当に滝に打たれたほうがいいかもしれません。

 脇役のキャラクターも出てきていい感じです。
萌絵にダシに使われた院生の浜中君とか、萌絵の友達の牧野洋子とか儀同さんとか。
国枝女史が今回はたくさん出てきますね。冷徹な彼女の一瞬の穏やかな部分がでてきていておもしろいですよ。ほんとうに「ごちそうさまでした」。
刑事は、前作に出てきた萌絵を気に入っている鵜飼刑事。
あと、豪華な西之園ライフと一族がでてきます。うらやましい限りです。

 タイムラグや密室、死の謎、壷の謎。イロイロなものが緻密に絡まっていておもしろかったです。
あと5巻だ~!

続き ネタばれかもなので注意↓
続きを読む »
2005.11
13
(Sun)

「おめでとう」 


川上 弘美 / 新潮社(2003/06)
Amazonランキング:14,767位
Amazonおすすめ度:



 「センセイの鞄」を書いた川上さんの本を借りてみました。ほかになかったんですよね。
これは短編集です。女友達の話や、昔の恋人との話、不倫している相手との話など、これはまたゆったりとした雰囲気で描かれていました。

いまだ覚めず
どうにもこうにも
春の虫
夜の子供
天上大風
冬一日
ぽたん

冷たいのが好き
ばか
運命の恋人
おめでとう
 
 
 私がよかったと思ったのは「どうにもこうにも」「ぽたん」。
「どうにもこうにも」は、別れた不倫相手の前の恋人である幽霊が、なぜか主人公の女性にとりついてしまったという変なお話。幽霊のマイペースさが素敵でした。
「ぽたん」は、いつもめんどりを散歩させている人と公園でおしゃべりをするという話。約束もせずになんとなく出会っているというところが、センセイ~を思い出しました。

 突飛な設定も、なんとなくな一瞬もマイペースに書かれていて、落ち着きますね。
2005.11
12
(Sat)

「池袋シネマ青春譜」 


森 達也 / 柏書房(2004/03)
Amazonランキング:232,213位
Amazonおすすめ度:

「森」さんの本が置いてある棚を凝視しているときに発見した本です。タイトルの水色の部分がテカテカしている素材で綺麗な色だったという理由だけで借りました。

 森達也氏はテレビディレクターだそうです。以前ゼミで見た、オウムのドキュメンタリー映画「A」「A2」の監督をした人です。
映画や芝居に傾倒した大学時代の自伝のような小説です。フィクションですが、数々出てくる若きころの俳優や監督は実話だと思われます。
黒沢清とか、三田村邦彦とか映画にまったく詳しくない私でも知っているような名前がたくさん出てきます。70年代くらいの駆け出し映画が好きな人にはおぉっと思える名前が出てきているのかもしれません。

 主人公・森克也は大学四年生。映画の製作と芝居に明け暮れる毎日だ。単位が足りず、卒業できずに留年。就職する予定もない。冒頭はそんな時期に、彼女である梨恵子が妊娠したことが分かった。梨恵子は今は子供を育てられる時期ではないと堕胎することを決意。これを期に、夢をあきらめ、就職して梨恵子と子どもを養うべきか。それとも、夢をあきらめずに映画の道にすすみ、梨恵子を失うべきか。その決断のために、大学に入り、梨恵子に会ってからの自分について必死に思い出すことになった。

 克也は、映画に衝撃を受け、自主映画を作製し、芝居の養成所にかよう毎日を送っている。大学4年なので、周りはリクルートスーツに身を包み、まっとうな人生を選択していく。芝居を目指す仲間の中にも、夢をあきらめて社会に出るものも現れる。しかし自分は就職活動をしていない。
 はじめは、一度の人生だから、やりたいこと、なりたいものになりたいと思っていると思っていた。映画や芝居が自分のすすむべき道だと思っていた。しかし、いざとなると、自分に本当にその情熱はないことに気がついた。ただ、普通に就職し、サラリーマンになり、家庭を持つ…というような凡庸な人生は嫌だった。でも実は映画を理由に、どの道に行くことにも不安で、怯えていただけだった。自分は「何かをしたかったのじゃなく、何かをやりたくなかっただけなんだ」。そう気がついた。

 現代社会の言葉で言うと、ニートやフリーターの予備軍になる状況の若者像です。夢を追うべきか、現実を見てまっとうな道をすすむべきかという葛藤。夢をかなえるために必死で努力すれば成功するかもしれない。しかし、成功しなかったらどんな人生になってしまうか。夢をあきらめたら、後に後悔するかもしれない。どちらに進めば間違いがないのか、誰でも悩み、立ち止まってしまう岐路だと思います。
 立ち止まったまま、夢のカタチだけを追いかけたり、現実を見ないようにしたり、危機感を感じないというのが、現代の若者に多いのかもしれません。今は、迷ったままでもなんとか暮らしていけますしね。厳しい話、何かをしたい、したいことは何かばかりを考えていたら前に進めなくなるような気がします。

 最後は、イロイロなものを失い、あきらめてしまったけれど、なんとか今に至っているというかんじの終わり方でした。
 大学4年生なら誰でも経験するような葛藤が描かれていて、すこしつらくもあり、シビアでもありました。昔よりも成長していないし、何も変わっていないけれど、今もずっと走り続けている。大成功!ではないけれど、前向きにがんばっているよという終わり方でした。



2005.11
11
(Fri)

「詩的私的ジャック」 


森 博嗣 / 講談社(1997/01)
Amazonランキング:164,085位
Amazonおすすめ度:


 S&Mシリーズ第4作目!
本当に森博嗣さんのミステリーを気に入ってしまいました。とりあえずS&Mは読破しようと決めました。中央図書館においていないという由々しき事態になり、分館の書庫から出してもらって借りてきました。
 この作品は「連続殺人」そしてやっぱり「密室」です。
那古野市内の大学施設で女子大生が立て続けに2人殺害されるという連続殺人事件が起こった。現場はどちらも密室。しかも、被害者は服を着ておらず、体には謎の痕跡がナイフでつけられていた。捜査線上に上がったのは、ロックミュージシャンの青年で、犀川が担任する学年の生徒だった。彼の作る詞と、事件がよく似ているのだ。しかも被害者は、彼の追っかけだったらしい。どうやって密室が作られたのか。謎の傷跡は何を意味しているのか。犀川と萌絵はお互いに事件の関係者と知り合いだったことから、次第に事件について考えるようになる。
 大体こんな感じでしょうか。

 今回は、現場は大学で連続殺人ということで、2巻目に近しい雰囲気の話です。ミステリー特有の場所や天才博士などの特異なキャラクターが出てくるわけではないです。今回も密室ですが、犯人の殺害心理や、殺害にいたるまでの細かい動きが複雑で、理系的。やっぱりよくできているなぁと思いました。
 それにしても那古野市はやたら殺人事件が起こってしまう市のようですね(笑)。調べると、本当にある市ではなく、実際は名古屋市の西区にある場所のようです。

 今回は、「密室」という状況について興味深いことが言及されていました。
「本当に密室で殺人が起きたら、犯人はすぐに捕まりますよね。部屋から出られないんですから。それが密室でしょう?だからつまり、殺人が起きたときは密室ではなくて、後で密室になるんですね。ということは、密室殺人、じゃなくて、密室前殺人ですね・・・」
「それに人間代の物質に関する密室、最近代の物質に関する密室、気体に対する密室、電磁波に対する密室、などと定義する必要があります。外部からいかなる影響を受けない部屋を作ることはたぶん不可能です」
 
 ミステリーで言う密室について、犀川先生は理系的見地から痛烈な批判(?)を浴びせかけています。これ自体ミステリー作品なのに。
 そもそも密室は自殺の偽装工作として使われる手段です。他殺だと知られたくないときに密室に見せかけます。でも今回のように、明らかに他殺と分かるのに密室になってるというように、ミステリー作品の中に出てくる密室は、他殺なのに複雑な密室を作り出すもののほうが多いです。他殺でいいのなら、密室なんて小細工をせずにさっさと逃げればいい。密室に頭を絞るくらいならアリバイ工作に時間を割いたほうがいい。ミステリーに出てくる、読者をどきどきさせる密室は、実は現実には馬鹿馬鹿しくて、危険な行為ですね。それをミステリー作品の中でずばっと指摘してしまうことが、またすごい。
 こんなブログ書くまで読んでたのしんで終わり!だったので、少しだけだけど考えるようになったかもしれません。

 萌絵と犀川先生の関係もまた、ちょっと前進。1巻に比べると、二人ともなかなか人間味のあふれるところとか、キャラクターも出てきて、いろいろな心理描写が出てきています。萌絵は、今度は犀川について、実はあまり知らないということ、自分が彼に甘えている子供だということで葛藤します。それでもって結構大胆な行動に!きゃぁ。
 犀川は、萌絵の子供なところも、大人になったところも見透かしています。でもちゃんと萌絵は特別ななんらかの可能性もありうる存在としてみているみたいですね。酔っ払った萌絵にタバコをくわえさせるシーンとか、最後のシーンとか、ミステリーあるまじき光景です。
 はじめ読んだときは、あまり好きなタイプのキャラクターじゃないと感じていましたが、読んでいくうちに愛着がわいてきました。今では犀川先生大好きですね。10巻までにどう展開するか闇に楽しみなところです。
続きを読む »
2005.11
09
(Wed)

「ブラフマンの埋葬」 


小川 洋子 / 講談社(2004/04/13)
Amazonランキング:93,828位
Amazonおすすめ度:



 「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
芸術家たちが集う<創作者の家>で、世話人として働く僕。ある日僕は傷ついた小さな動物を見つけてこっそり飼うことにした。
 碑文彫刻師の彫った墓碑から、動物を「ブラフマン」と僕は名づけた。

 動物は私は犬だと思って読みましたが、どこにも犬とは書いていないので何の動物か分かりません。でもブラフマンの様子は、ことこまかに描かれていて、とても愛らしい。僕とブラフマンの、短い間ですが幸せな時間が描かれます。
 動物の設定だけでなく、話の舞台も謎に包まれています。日本のようで日本ではないかもしれない。出版社によって作られた創作者の家。車もあるし、街から遠い、森の中の話のようである。でも石棺への埋葬、石棺の並ぶ遺跡など、日本ではないような雰囲気もある。
 
 「ブラフマン」とは、「Brahman」 ヒンドゥー教またはインド哲学における宇宙の根本原理。自己の中心であるアートマンは、ブラフマンと同一(等価)であるとされています(梵我一如)。サンスクリットの「力」を意味する単語から来ています。倫理で習いましたが難しいですね。
どっちかとゆうとバンドの「ブラフマン」が思い浮かんでしまいます。

 碑文彫刻家=墓石に字を彫る人や、石棺に埋葬していたという風習や遺跡。ブラフマンという動物の名前。タイトルからも生や死がテーマになっていることが分かります。最後はとてもあっけなく、せつない。別れとはそんな突如としたものですね。
 とてもゆったりとした文章。きれいな雰囲気。そして単調にすすんで迎えるラストのさみしさ。(ゆえに、男性の読者や、動物嫌いの人にはちょっと受け入れられないかもしれないですね)
 私は動物を飼ったことがないので(実家でウサギを飼っていましたが、とても遠い存在でした)、あまり感慨が沸きにくいのですが、とても落ち着いた雰囲気になる本でした。
2005.11
07
(Mon)

「笑わない数学者」 


森 博嗣 / 講談社(1996/09)
Amazonランキング:133,206位
Amazonおすすめ度:




 なんだかんだゆって、結局読んでしまいました(^^)
S&Mシリーズ第3巻です。
この作品はずばり「館・密室・天才博士」です。
天才博士と館というシチュエーションが、より難解な謎を呼んでくれるので大満足ですね【^^】四季さんといい、天王寺博士といい、博士と呼ばれる人は、地下の密閉空間でひっそりと暮らしたいものなんですかね。


 犀川と萌絵は、天才数学者・天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館でのクリスマスパーティに参加する。
三ツ星館の庭にある大きなブロンズのオリオン像を、12年前、博士は一夜だけ「消した」という。
博士の数学的問いかけと、プラネタリウムを眺めている間に、またしても博士は像を消してしまった。
 しかし、ブロンズ像が再び姿を現したとき、その足元にはパーティに参加していた女性が死んでいた。その上、死んだ彼女の部屋には別の死体が発見された。
またもや殺人事件に巻き込まれた犀川と萌絵。殺人事件と、博士の消したオリオン像消失の謎に二人は挑戦する。


 殺人のトリックもそうだけれど、オリオン像の謎にとても興味を惹かれました。この二つは関係ないように見えて、かなり関係のあることなのです。ちょっとこうなんじゃないかなと気づいたけれど、情報がないし、シチュエーション、仕掛けがまったく分かりませんでした。最後は「図」を書いて考えてしまいました。

 殺人とあまり関係ないキーワードは「定義」でしょうか。
 数学者が出てくるということで、数学の問題や、考え方など、少し文型人間には難しい文章もありました。その中で定義について語られています。
 常識とよばれるような判断に対する定義。自分自身に対する定義。
 萌絵は、両親の前では完璧なレディとして振舞ってきたけれど、それは本当の自分ではなく演技だった。自分の自然な振る舞いはどれ?犀川先生の前ではどう振舞うべき?そう彼女は悩みます。
自分の定義を失った天王寺博士を見て、犀川も自分は何者なのか考えます。
 自分を定義するものはなんでしょうか?人は場面に応じて仮面を使い分けます。社会にさらされている様々な自分像があり、それを束ねているの真ん中にいる自分です。社会のなかの様々な価値判断により、自分というものは作られます。でも、自分が一体何者なのかを様々な自分のなかで定義するのは、やっぱり自分。難しいですね。定義できなくて、周りにいるたくさん自分像だけで、束ねる自分がいないというのは、ちょっと怖い。あと、全ての人が自分の定義(尺度)で物を判断し始めても恐怖ですね。

 犀川と萌絵の関係は今回は、萌絵はよりヤキモキし、犀川はより「さぁどうしよう」みたいな感じで微笑ましかった(笑)

 
 ちなみに、天王寺博士の出した数学の問題、「3、3、7、7 をどんな順でもよいから四則計算を使って24にせよ」を、工学部の人に出してみました。萌絵は結構すぐといたものです。私ははじめから解けないと分かっているので渡航ともしませんでした。彼は30分かかって、ちょっとヒントを出したらようやく解けました。意地でも30分かかっても解こうとするなんて、理系の人はやっぱりよく分かりません。

以下ネタばれ
続きを読む »
2005.11
02
(Wed)

「キャベツの新生活」 


有吉 玉青 / 講談社(2005/10)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:



 学校の友達に紹介してもらって貸してもらいました。
初めて聞く作家さんですが、有吉佐和子さんの娘だということです。
 はじめはゆったりした恋愛の物語ですが、最後に予想もしなかった真相がわかってとても驚きました。

 主人公勝部拓人は、文具メーカーの営業サラリーマン。出張から帰ってくると、なぜかアパートがごっそりとなくなってしまっていた。謎の爆発が知らないうちに起こっていたのだ。学生時代からのあふれかえる物、拓人の数年間を詰め込んだ部屋だった。
 これを期にすべてを一新することに決めた彼は、新しい部屋に入ると同時に、腐れ縁でつきあってきた夏帆とも別れることにした。自分からふったつもりがフラレタ感が否めなかったが。
 新しく、何もない部屋には、今度は必要な、しかも、完璧なものしか置くまいと、インテリアショップを巡り始める。でも、どうしてだろう。あれもいいし、これもいい。決まらなくて何もおくことができない。
 そんな中、出会ったコンビニ店員の女の子。勝部があだ名である「キャベツ」と名乗ったため、女の子はたまたまそこにあった「キウイ」と名乗った。そんな不思議な「キウイ」と同居がはじまることになった。
 キウイは昔の恋人がどうしても忘れられない。キウイと暮らす中で、キウイにとても優しいし、一緒にいて楽しいキャベツである。でもどうしても幼馴染で、彼女だった夏帆のことを考えてしまう。
    
 
 何もない部屋に、なにかを置こうと必死になるキャベツ。キウイと暮らしながらも、昔からの恋愛や夏帆のことを考えるキャベツ。
心にぽっかり空いた「夏帆」という穴を埋められなくて苦しんでいることがあらわされているのかな。
 キウイは昔の彼氏と不倫して玉砕してしまいました。生きる意味を、自分の存在の意味をなくしたキウイ。キャベツは「君の愛した奴は、君がいたことの証人なんだ。彼がいる限り、君は生きている、残ってるんだ。」
 キウイは結局いなくなってしまいます。果たして彼女は本当にいたのでしょうか。
 キャベツの心穴をぴったりとはめたのが一枚の心象風景のリトグラフ。買ったその絵は、以前、夏帆にあげようとした絵だったんですね。ひっかかるものがなくなったキャベツは夏帆の大切さを思い出します。
そこに現れた夏帆。こころから愛し合った二人は・・・・。

 以下、結末。本書の「あとがき」もだけど、今から読む人は絶対読んではいけませんよ。
 
続きを読む »
2005.11
01
(Tue)

「阿修羅ガール」 

 

舞城 王太郎 / 新潮社(2005/04)
Amazonランキング:6,003位
Amazonおすすめ度:


Amazon.co.jp
『煙か土か食い物』でミステリー作家としてデビューし、第15回三島由紀夫賞候補作となった処女短編集『熊の場所』で、圧倒的な存在感を見せつけた舞城王太郎の長編小説。主人公による軽妙な口語体で、まくしたてるようにストーリーを展開させていく独特の手法はそのままに、『熊の場所』の重要なモチーフであった、危険で暴力に満ちた世界観を、現実と妄想、現世と冥界までをも巻き込んで、さらにダイナミックに押し広げた作品に仕上がっている。
好きでもないクラスメートの佐野明彦となぜか「やっちゃった」アイコは「自尊心」を傷つけられて、佐野の顔面に蹴りを入れ、ホテルから逃げ出す。翌日、佐野との一件で同級生たちにシメられそうになるアイコだが、逆に相手をボコって、佐野が失踪したことを知らされる。佐野の自宅には切断された指が送られてきたという。アイコは、思いを寄せる金田陽治とともに、佐野の行方を追うが…。

同級生の誘拐事件、幼児3人をバラバラにした「グルグル魔人」、中学生を標的とした暴動「アルマゲドン」。謎の男・桜月淡雪、ハデブラ村に住む少女・シャスティン、グッチ裕三に石原慎太郎。暴力的でグロテスクな事件とキャラクターたちが交錯する中を全力疾走するアイコの物語からは、限りなくピュアなラブ・ストーリーが垣間見えてくる。純文学やミステリーといったジャンルを遥かに飛びこえた、文学そのものの持つパワーと可能性を存分に味わっていただきたい。(中島正敏)


 初めて読んだタイプの小説でした。パワフルー。
 現代女子高生の、本当にまっすぐで、短絡的で自堕落な思考回路と、行動が、かなりのテンポで書かれていて、「最後まで読めるかなぁ?」と思いました。
 ミステリーと言えばミステリー。でもアイコが事件を解決していくと言うわけではない。昏睡状態のアイコの思考回路と、無差別殺人犯グルグル魔人の思考がシンクロしてしまって、なぜか事件が解明してしまうという感じ。間に入る、アイコのイメージも最初はなにこれって戸惑ったけれど、最後まで行くと、何のイメージだったのか分かる。面白い構造の文章でした。
 まぁ、あんまり現代っ子の考えばっかりよんでと疲れちゃったけどね。「神の声」(2chみたいな巨大掲示板)も、アルマゲドンも、ありそうでないけど、疲れました。

 他の作品はどんなかんじなんだろう。
 | ホーム | 
ブグログ
プロフィール

4040

Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

最近の記事
カテゴリー
オススメ☆

Wishリスト
最近のコメント
最近のトラックバック
おすすめ

ブログリスト

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧
フリーエリア
ブログ内検索
リンク
新しい本を探しにでかけよう♪

ほんぶろへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 ポータルブログへ
ブログ王へ
amazonさんより

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。