☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2006.02
22
(Wed)

「博士の愛した数式」 


小川 洋子 / 新潮社(2005/11/26)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:




 この話は、80分しか記憶の持たない博士と、家政婦と、その息子の愛情あふれる、温かな物語だ。
 彼女は、これまで9人も辞めていった問題の家に家政婦として派遣された。家主の老婦人は、離れに住む義弟の面倒をみよという。
 義弟である男性は、昔大学教授で数学の博士だった。交通事故の後遺症で、記憶が80分しかもたなくなってしまい、以来、数学雑誌の懸賞を解くなどして細々と暮らしてきた。彼のスーツにはたくさんのメモ書きの紙が留められている。そうしないと何をしていたかスッパリ忘れてしまうからだ。その姿は異様にも見える。
 彼女は、彼女自身のことでさえすぐに忘れ、仕事に没頭する博士への対応を苦慮しながらも、博士について様々な発見をし、だんだん理解するようになる。
 博士のコミュニケーションの架け橋になる話題は「数字」である。誕生日、靴のサイズ、電話番号・・・。相手にそれらの数字を尋ね、その数にまつわることをつぶやく。それが彼なりの場の持ち方だ。彼女は、博士が説明する、数の魅惑に、最初は戸惑いながらも引き込まれていく。博士の書く数字、説明はとてもわかりやすく、安心するようなものなのである。
 その博士に魅入られたのは家政婦だけではない。家政婦の小学生の息子もである。息子を一人で留守番とは何事かと、家に連れてきなさいと言った博士。博士は子どもには強い愛情を示すようだった。
 博士は息子を「ルート」と呼んだ。
 息子の頭のてっぺんがルート記号のように平らだったからだ。
「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与えることができる」
 
 博士、家政婦さん、そしてルート。穏やかだったり、楽しかったり、悲しかったりする3人のささやかな日々が描かれている作品だ。 
  
 こんなに暖かい話はひさしぶりに読みました。
何が暖かいんだろう。
小川さんの作品の雰囲気からかな。
博士の言葉も、家政婦さんの理解しようとする姿勢も、しっかりしたルートも。全部暖かい。

 目を引くのが博士の境遇。
80分たつとリセット。事故の日までの記憶でストップ。
80分の中で、考え、見聞きし、出会ったもの全てが失われる。
その瞬間に見るのが「僕の記憶は80分しかもたない」という宣告のメモ用紙。80分たつごとに、博士はその恐ろしい絶望感と戦わなければならない。数式だけが時間の中をそのまま移動できる。でも博士の記憶や体験は80分向こうには移動できないのだ。
本当にあるのか分からない病気だけれど、なんて悲しい病気なんだろうと思いました。

 「数字」「数学」は不得意でした。学年があがるごとにそれは顕著になりました。基本問題や計算はできても、パズルのような応用問題がでるとおしまいです。考えられない。センスがないんだと言ってごまかしていました。素数、友愛数、ルート、双子素数・・・。博士が説明し、家政婦さんが見るその数字たちは、とてもおもしろいものでした。話の雰囲気に流されているのかもしれませんが、冷たい、無味乾燥な数字があたたかく、かわいらしいものに感じられるのです。不思議でした。
 
 悲しい病気が元に作られた出逢い。博士は自分たち3人で蓄積した時間は覚えていないけれど、たしかにそこには愛と呼ばれるようなものがある。本当に素敵な話だと思います。  
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2006.02
20
(Mon)

「月は幽咽のデバイス」 


森 博嗣 / 講談社(2000/01)
Amazonランキング:73,532位
Amazonおすすめ度:


Vシリーズ3作目。微妙に密室館モノ。

 「薔薇屋敷」「月夜邸」と呼ばれる豪邸には、狼男が出るのではないかという噂が囁かれている。その屋敷のパーティーに、瀬在丸紅子は屋敷の娘の友人として、保呂草潤平は仕事関係で参加した。しかし、パーティー会場から出入りするオーディオルームで女性が殺害されているのが発見される。血まみれで引き裂かれた遺体、水に濡れた床、散らばったガラスの破片。そして誰もが部屋を出入りした人を確認しているという衆人環視の状態。もはや「狼男」などの化け物でなければ不可能なのでは??と思わしめるような状況で、紅子が事件を解決(解釈?)へと導きます。

 なんだか仰々しい館の名前ですが、あんまり関係ありません。出てくる人も普通といえば普通。
でも、どうやって事件が起きたかは、思いつきもしない真相です。森博嗣って感じです。
そして、事件の本当の真相は闇に包まれたままというのも特徴でしょうか。事件が起こった現象は解明されますが、結局それはひとつの解釈であって、実はもっと別の要素が隠れているかもしれないという余韻を残して終わります。それも、この話が保呂草が語っている形式になっているからでしょうか。

 この作品で怖いのは、狼男ではなく、むしろ林を巡る紅子と祖父江七夏の張り詰めた緊張感(笑)。林さんはやたら配慮の少ない人間ですね。
 あとは、保呂草さんの裏の仕事ですか。見抜いている紅子は保呂草にとって危険な人物であり、弱みを握られていることになる。逆に紅子は保呂草の秘密を握っていることで、立場的に上にいるとも考えられるけれど、保呂草によって消されてしまう危険性もある。すこし、この二人の関係もスリリング。
 小鳥遊・香具山さんに加え、阿漕荘の住人も増えました。前作で別荘で一緒に働いていた森川素直(もとなお)君。犀川先生みたいな青年です。これからも出てきてくれるでしょうか??
2006.02
17
(Fri)

江國 香織 / 朝日新聞社(2005/11)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:




緑の猫
テイスト オブ パラダイス
飴玉
雨、きゅうり、緑茶
櫛とサインペン


 江國さんには珍しく、全て女子高生の視点という短編集。
3人称ではなく、1人称だ。
 殆どの話が、同じ高校を舞台に繰り広げられる。例えば、一目置かれた存在である高野美代のように、複数の話にまたがって出てくる少女もいる。
 これも雰囲気を楽しむ小説だと思う。
大人でもなく子どもでもない。友達や家族のこと。恋愛。自分自身のこと。そんな少女の微妙な時期の日常を切り取っている。

 現代の女の子の姿だけれど、殺伐としていたり、生々しかったりはしない。自分もそうだっただろうかと考えながらゆっくり楽しめる本でした。
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2006.02
16
(Thu)

「人形式モナリザ」 


森 博嗣 / 講談社(1999/09)
Amazonランキング:77,229位
Amazonおすすめ度:


Vシリーズ2作目。
 
 小鳥遊練無がバイトしているペンションに避暑にきた、香具山紫子、瀬在丸紅子、保呂草潤平。そこにある施設博物館「人形の館」では、「乙女文楽」という女性による人形劇が上演されている。しかし、そこで演者が何者かによって殺害された。彼女は、劇の上演中、客や他の演者がいる中で殺されていた。一体どうやって、なぜ殺されたのか。
 2年前に殺された被害一族の青年。
 盗まれた「モナリザ」をイメージした絵。
 老女に元愛人が残したおびただしい数「モナリザ」の人形の謎。
以前の殺人事件や、作品にまつわる謎は今回の事件と関係があるのか・・・。

 事件自体は、そんなに難しいトリックがあるわけではありません。
はじめのほうの文章からも、誰が犯人かはなんとなく察することができます。何を持って犯人は犯行を犯したのか。その犯行の意味は何か。そのあたりの解釈が難しいです。特に最後の最後の一行で、何かがわかったようで、逆に分からなくなったような状態に陥ります。

 おもしろいのは、やはりサイドストーリーのほうでしょうか。
この話だけではなく、これから先ずっと続いていくような伏線がたくさん仕掛けられています。
 紅子、林、そして林の恋人・祖父江の関係。保呂草。
まだ、2作目なので、彼らがどんなかんじのキャラクターかなかなかつかめないのでこれからが楽しみです。
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2006.02
15
(Wed)

「ものいふ髑髏」 


夢枕 獏 / 集英社(2001/08)
Amazonランキング:226,355位
Amazonおすすめ度:


<収録作品>
夜の訪問者
二本肢の猫
抱きあい心中
闇の中の小指
びくいしとい
もののけ街
真言士
ミサちゃんの生霊の話
ものいふ髑髏
安義橋の鬼、人を喰らふ語

 
 夢枕獏さんの短編小説集です。
 まだブログでは紹介していませんが、私は「陰陽師」シリーズが大好きです。短編は8割方現代が舞台の面妖な話がメインでした。
 最後の「ものいふ髑髏」と「安義橋の鬼、人を喰らふ語」は、昔の日本が舞台なので、陰陽師とおなじ雰囲気を楽しめます。そういえば、安義橋の鬼~は、オムニバス短編集の「7つの怖い扉」に収録されていました。
 幽霊の出るような怪しい話もあれば、不思議な人間関係のめぐり合わせを感じる作品、狂気の話、なんだかエッセイのような話といろいろ入っていておもしろかったです。
 べたといえば、べたなのですが、「夜の訪問者」が好きです。桜の季節にやってきた「お迎え」の話です。

 表紙の髑髏の絵は「MAYA MAXX」さんの絵です。
彼女の絵、最近好きです。クレパスのような筆使いで塗りつぶされた髑髏さんは、怖いけれど、かわいさがあるようなきがしませんか?
2006.02
14
(Tue)

「むかしのはなし」 


三浦 しをん / 幻冬舎(2005/02/25)
Amazonランキング:46,918位
Amazonおすすめ度:


<収録作品>
ラブレス
ロケットの思い出
ディスタンス
入江は緑
たどりつくまで

懐かしき川べりの町の物語せよ


 三浦しをんさんの本ははじめて読みました。
表紙がいい感じだったので借りたのですが、それもそのはず。
私の好きな装丁家鈴木誠一デザイン室のものでした。

 この短編集は、日本の昔話にヒントを得て、いま、昔話が生まれるとしたら、こうなるだろうなと考えて作られた作品だそうです。
昔話たちになんとなくヒントを得ているなと感じ取れるものもあれば、どのあたりがそうなのか、あまりよく分からないものもありました。
 全てばらばらの作品かと思えば、最初のほうは、ある男性、後半は、地球があと3ヶ月でなくなるという設定で繋がっていました。
 地球がなくなるというなさそうで誰もが考えたことがある瞬間。そのときの人々の思いや寂しい雰囲気が感じられる本でした。
まだコレしか呼んでいなくて、ほかにどんな作品があるのか知らないのですが、この現実とギリギリのところで離れている感じの文章はいいなと思いました。
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2006.02
14
(Tue)

「模倣犯 」 


宮部 みゆき / 小学館(2001/03)
Amazonランキング:23,954位
Amazonおすすめ度:


模倣犯、下巻は、第2部後半と、第3部が収録されています。
 主犯である栗橋浩美と、罪を擦り付けられようとしていた高井和明の
死の真相。なぜ浩美まで死んでしまったのか、浩美を死に至らしめた彼
の心の落とし穴が描かれます。
 そして、第3部。ピースの新たな「舞台」が始まります。
ピースの本名は、網川浩一。彼は、高井和明の無実を訴える、妹・由美
子の応援者として積極的にメディアに露出するようになる。犯人である
彼は、自ら、高井ではない共犯者がいるという自論を持ち上げて世の中
を騒がしていた。
 一方で、被害者の遺族である有馬や、彼と接点を持った第一発見者の
少年・塚田真一ともコンタクトを取りはじめる。他にも、栗橋と高井犯
人説を念頭にルポを書いている前畑滋子とも対立する。
 自分が作り上げた殺人舞台を、自ら解明するような立場に立ち、世の
中が騙され、自分をもてはやしている状況に有頂天になるピース。
彼の本性と事件の真実は誰の手によって、どのようにして明かされてい
くのかが見どころとなります。

-----------------------------------------------------------------
「ピース」は、当初のイメージではもっと頭のいいキャラクターでした。
 でも本当は、虚栄心、誇大自己の塊。栗橋浩美よりは頭もいいし、何かに左右されたり、すがったりはしていないけれど、同じように誇大自己の塊でしかなかった。
 周りの「馬鹿でおろかな」人間が、全て自分の思いどうりに動く「駒」であり、ピースはそこに舞台を用意して、シナリオを思い描く。そこに駒が思い通りに動くのを楽しむ。それが彼の犯行の全てだった。

 推理小説では、たまに犯罪者だろうが、それはそれで応援したくなってしまうような、知能的で、すごい人物が出てきたりしますが、このピースはそういう類ではない。もっとも現実的な犯罪者の姿だと思いました。根拠のない「全能感」がもたらす犯罪って、最近は後を絶ちませんよね。彼らの最もタチ悪い性質を兼ね備えたのがピースだったんじゃないかと思います。
 犯罪の中身は、卑怯で、愚劣。やり口も簡単。
ここまで劇場型なものはありえないけれど、実際の犯罪は汚い。推理小説で犯罪を「解く」ことを楽しみながらよんでいるけど、犯罪の怖さを改めて考えてしまう作品でした。
 やっぱり、ひとりひとりへの書き込み方が半端じゃないところがすごかったです。流石宮部!
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2006.02
10
(Fri)

「模倣犯 」 


宮部 みゆき / 小学館(2001/03)
Amazonランキング:23,953位
Amazonおすすめ度:


 とうとう手を出しました。長くて読む気がしなかったのですがようやく。上巻下巻あわせて1400ページくらいですか?2日で読みきりました。自分の暇さ加減に凹むばかりです。
 文庫版では5巻。私の中での最長は「蒼穹の昴」だったんですが、越したと思われます。

 簡単なあらすじ(上)
<第1部>
 早朝、公園のゴミ箱で女性の手が発見された。一緒に失踪した女性・古川鞠子の鞄が捨てられていた。手は鞠子のものなのか?
 しかし、テレビ局に一本の電話が入る。
「ハンドバックはあそこに捨てたけど、彼女は別のところに埋めてあるんです。だからあの右腕は彼女のものではないです・・・」
 犯人からの電話。変声機で変えられた声。それが始まりだった。
犯人は、古川の祖父に挑発的な電話をし、弄ぶ。報道関係者に死体を捨てる場所を予告したり、殺した少女を、家族が一番ショックを受ける形で返す・・・。警察や関係者が右往左往するのを楽しむ犯人。
 警察、古川の祖父、第一発見者の少年、女性ルポライターの視点から、女性連続事件が刻々と語られる。
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2006.02
08
(Wed)

「黒猫の三角」 


森 博嗣 / 講談社(1999/05)
Amazonランキング:207,991位
Amazonおすすめ度:


S&M シリーズが終わったら、次は「Ⅴ シリーズ」。
ということで、なんだかんだゆって読み始めました。
「Ⅴ」は、主人公の「瀬在丸紅子」の「紅子」の頭文字でしょう。

 探偵の保呂草潤平のところに、殺人犯から身を守って欲しいとの以来が舞い込んだ。この殺人犯は、那古野市内で連続して起こっている助成殺人事件で、ある数字にのっとって犯行が行われており、自分がそのターゲットとなったというのだ。保呂草は、同じアパートに住む大学生、小鳥遊練菜と香具山紫子に助手を頼んで屋敷を見張ることとなった。
 その晩、依頼者の小田原和江の誕生パーティーが行われていた。屋敷の敷地内に住む、瀬在丸紅子と、紫子パーティーに参加した。外では保呂草と小鳥遊が見張りについた。しかし、そのような状態の中で、依頼者・和江は一連の事件と同様に殺害されてしまった。
 部屋は密室。見張りがつく中、一体どうやって中に入り、出てきたのか。そして窓に見えた男の影は・・・。

 「黒猫の三角」の「三角」は「デルタΔ」のこと。作中に出てくる猫の名前ですが、実は結構重要なキーワードだったりします。
そういう、言葉や数字のパズルがたくさん登場するのもこの作品のおもしろいところでした。
 「すべてがFになる」みたいに、すごい人物が出たり、すごい犯行だったりではありませんでした。でも、犯行の動機が、最初にしては、深いといってはおかしいですが、普通の恨みやいさかいとは違った信念によるもので、そのへんの思考はやっぱり森博嗣というかんじでした。
 はい、よくわかりませんね。
 おもしろかったです(結局いうことはコレだけ。)
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2006.02
07
(Tue)

「沈黙博物館」 


小川 洋子 / 筑摩書房(2000/09)
Amazonランキング:126,183位
Amazonおすすめ度:


 博物館技師の僕が雇われた先は小さな村の屋敷。
依頼主は偏屈な老婆。
老婆が作りたい博物館は、村の人間が死ぬたびに集めてきた「形見」の博物館だった。

「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。それがなければ、せっかくの生きた歳月の積み重ねが根底から崩れてしまうような、死の完結を永遠に阻止してしまうような何かなのだ。」

 高圧的な老婆に罵倒されながら、膨大な量の形見を整理し、博物館の構想を練る。そして、老婆の代わりに死者が出るたびに形見となるものを盗みにいく。そのような日々が始まった。
 老女の娘や、同居する庭師、沈黙の伝道師とのかかわり。そして心にひっかかる殺人事件と、僕の兄の存在。そういうものも織り交ぜながら「沈黙博物館」は完成へと向かっていく。


 ストーリというより、世界観にひき込まれました。
日本であるとか、時代がいつであるとか定かではない。ヨーロッパのような雰囲気もあれば、現代のような雰囲気もある。土着の伝統のような雰囲気もある。
 
 死者の形見の収集という、異様な仕事。 
 老婆に圧倒されながらも、のめりこむ博物館や形見たちへの思い。
 自分の内側からなにも発することがない沈黙の伝道師。
 母の形見の「アンネの日記」、兄との思い出の詰まった顕微鏡。

 死や悲しい雰囲気に満たされていて、表紙のように、ずっと頭の中は灰色だった。死は完結で、モノは朽ち果てる。そのモノを保存し、意味を与え、死を完結させないようにする。
その行為に意味はあるのか?私たちはなぜモノに意味をこめるんだろう?そういうものの答えをだす話ではないけれど、そのことについて巣こそ考えました。

 暗い、物悲しい雰囲気で、不思議な世界観。私は好きでした。こういう雰囲気を楽しみたい人にはお勧めです。
2006.02
06
(Mon)

「セイジ」 


辻内 智貴 / 筑摩書房(2002/02)
Amazonランキング:93,025位
Amazonおすすめ度:


 「本屋さんも泣いた」のキャッチコピーで一押しされていた「セイジ」を図書館で見つけたので借りてみました。書店員の方が読んで、一押しして、それが全国に広まったと聞きます。セカチューブームのころだったためか、結局そんなに話題にはなりませんでした。

 「セイジ」と「竜二」という2作品が収録されています。
定職についている風でもなく、だらしがなく見える。一般的な目で見たら変わっている男性。どちらも、社会というものにうまくなじめずにいる。でも、生きるってなんだろうという疑問を抱いて、純粋に生きる二人の男性の姿が描かれています。

「セイジ」
 夏休みにふらりと自転車旅行に出かけた僕。旅先の寂れた街の喫茶店で、僕はセイジさんに出会った。どこか哲学的で、あまり物事に関心を示さない彼にに興味を持つ。喫茶店に集まる仲間、セイジが発する少ないけれどとても深い言葉。そして、ある少女に起こった悲惨な事件と、それを目の当たりにしたときのセイジの衝撃的な行動。

「竜二」
 東京の雑踏の中で、20年ぶりに幼馴染の竜二と出会った。竜二は若者に混じり、歌を歌い、自由に生きていた。社会にもまれる中で自分のなくしたものをまだ抱いている竜二に惹かれて、頻繁に会うようになった。そんな竜二にとって重要な存在だった、母親や兄との強い絆を感じる作品。

 どちらも短い話ですが、書かれていることは、なにか人間の深いものを捉えようとしている感じがしました。短いがゆえに物足りない幹事もしたので、もっと長くて書き込まれた作品があれば、ぜひ読んでみたい。
2006.02
02
(Thu)

「アフターダーク」 


村上 春樹 / 講談社(2004/09/07)
Amazonランキング:9,313位
Amazonおすすめ度:



「海辺のカフカ」の次に選んだ村上春樹の作品は「アフターダーク」。
古本屋さんが一日限定500円セールを開催。あまり種類がなく、好きな作家のはちゃんと新刊を買おうという謎の配慮をした結果、表紙がシックなこの作品を手に取った。
 

 話は、謎の「視点」から見た夜の街から始まる。短い夜の間に、様々な人間が錯綜する。それを「視点」が淡々と見つめている。

 ファミレスで時間をつぶす少女マリ。
そこに現れたタカハシという姉エリの同級生。その出会いから一晩の物語が始まるといってよいだろう。
 タカハシの知り合いの、カオルやコオロギと呼ばれる女性達との出会い。そして、そのラブホテルで起こった、中国人売春婦への暴行。
 マリは、それらの出会いを通して、姉と自分の間にある壁のようなものについて考える。

 一方、視点は姉・エリのほうにも及んでいる。エリは眠っている。その部屋を視点は眺める。つくはずのないテレビに映る謎の男。夜の間にエリと、エリの部屋で起こっている不可解な状況。エリはなぜ眠っているのだろうか。

 そして、もう一人、中国人売春婦に暴行し逃げた男・白川である。IT関係の会社で淡々と残業をこなす。彼は家族もいる、なぜそのような行為に出たのかはわからない。ただひとつの事実は、中国人たちが彼を追い始めたということである。

 近づきそうで近づかない接点。
 謎のまま、分からないこと。
 
 結局なんだったのだろう?なにが伝えたかったのだろう?
分からない。海辺のカフカでもそうだった。すべてはうやむやのまま、一体どういうことだったんだろうという疑問を残して終わる。
村上春樹の作品はこういう感じのものなのかもしれない。何冊読んでもつかみきれそうにない。難しい。
 でも、作品の雰囲気は好きだった。夜ではあるけれど、裏社会を扱っているわけではない。そういう部分もあるにはあるけれど。いい感じでスリリングだった。
 女の子と男の子の出会い、女の子の姉への感情。そういうところは好きだった。姉に夜中の体験はよく分からなかったけれど。そして「視点」はそもそも何だったのかも分からない。
  
 また時間を置いて読んでみよう。
2006.02
01
(Wed)

「今夜はパラシュート博物館へ」 


森 博嗣 / 講談社(2001/01)
Amazonランキング:36,410位
Amazonおすすめ度:


 森博嗣氏の短編集3作目。どのタイミングで読むべきか迷いました。
この作品でまだ読んでいないVシリーズの登場人物が登場するから。でもおもしろく読めたので問題なしです。Vシリーズも読めってことですね、きっと。
 境界条件を考慮しながら読んでいたら分からない。
 客観的であるということが、すなわち自由という意味。
 森さんの短編を読むときは、これ、鉄則?
 
『どちらかが魔女(Which is the witch)』
 またもTMコネクションの会合。そこに現れたごくごく普通の男性は、なんと、あの大御坊安朋だった。彼に何があったのか。そして彼が連れてきた女性の不思議な体験談。そしておいしいところはやっぱり諏訪野さんが持っていく。

『双頭の鷲の旗の下に(Unter dem doppeladler)』
 出身高校の学園祭に来た喜多と犀川、そして萌絵と国枝。窓ガラスに残された謎の穴。文化祭の夜に現れたその穴は誰がどうやった開けたのか?「きっと、それが、男の子なんじゃないかな」
 でも問題は、穴ではなく、頭から決めてかかって読む読者。またしてもやられた感。
 そして、なんと、国枝先生の旦那様が登場。うーん、でも想像つかない。

『ぶるぶる人形にうってつけの夜(The Perfect Night for Shaking Doll)』
 S&Mシリーズの西之園嬢(フランソワ)と、Vシリーズの小鳥遊練無(ロベルト)が構内で遭遇。(あだ名は西之園嬢が命名)。初対面の西之園嬢に誘われて、最近N大構内を騒がせているという「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加する。ぶるぶる人形は紙でできて踊り狂っているのろいの人形で、近寄ると炎上するというが・・・。

『ゲームの国(The Country of Game) -名探偵・磯莉卑呂矛の事件簿1-』
 ある小さな島に招かれた探偵磯莉と、助手のメテ。玉島には、26年前に殺人を犯した男がのこした謎の言い伝えがあるといい、今日がその日に当たるという。そして、実際に事件が起こる。森博嗣というかんじのへんてこなシチュエーション、言葉遊び。
 
『私の崖はこの夏のアウトライン(My Cliff is the Outline Against this Summer)』
 恐怖を呼び起こす断崖絶壁。そこにたたずむ男に出会う。左目のない男。何度も繰り返す悪夢。

『卒業文集(Graduation Anthology)』
 子どもたちの卒業文集の作文がそのまま並んでいる。感謝される先生。なんだこれ?最後まで読んで、気づいた事実。そしてもう一度読んで納得。

『恋之坂ナイトグライド(Gliding through the Night at Koinosaka)』
 昨日あったばかりの彼女。明日去ってしまう彼女。トリップできるという恋之坂へ。彼らはどうやら・・・・。

『素敵な模型屋さん(Pretty Shop of Modelsand Toys)』
 幼いころに取り付かれた模型の魅力。僕の家の近くに何でもそろう模型やさんがあればいいのに!そんな願いがつまった話。森さんがこういう風に考えていたんだろうな。



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Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

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