☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2007.01
25
(Thu)

「I’m sorry,mama.」 


桐野 夏生 / 集英社
Amazonランキング:148346位
Amazonおすすめ度:



 「グロテスク」で気になって、そのまま図書館で借りてみました。
ショッキングピンクの表紙、廃墟に少女、ゴシックで「I'm sorry mama」の文字。もう、それだけでなんかすごそうだこの本…と惹きつけられてしまいますね。新聞の2面に広告が出たとき、読んでみたいと、そういえば気になっていたことを思いだしました。

 グロテスクほどの緻密さはありませんが、主人公・アイコの破壊的な悪役っぷりがパワフルな作品です。さえない見た目のアイコ。話ではすでに中年の女性。人生の中で、盗み、売春はおろか、実は殺人まで何度も起こし、それも足がついていない。根から腐ったような人間です。救いようのない、潔すぎる悪役ぶりです。
 この悪役が、悪事をエスカレートさせ、どうやって追い込まれていくのか。このまま悪事がばれずに逃げおおせられるのでは!?とハラハラするようなスピード感もよかったです。

 アイコは、娼婦のいる宿で生まれ、親は誰か分からぬまま、娼婦たちと過ごしていました。宿主の死で、児童施設で暮らし始めますが、普通ん子供とは違う、妙に大人っぽいというか、大人のずるがしこさを持った奇妙な子供でした。
 前半では、アイコにかかわってきた人がアイコについて思い出したり、アイコを中心に事件が起きたりします。
 後半は、アイコの視点です。アイコは実は殺人事件を起こすのですが、それから逃れるために居候の地を離れ、昔からの知り合いの老婦人の元を尋ねていきます。娼婦だった老婦人、昔の娼婦たち、新しい働き口。そういうものと関わるうちに、アイコは自分の出生の秘密を辿っていきます。


 快か不快かだけで生きているようで、怒り、苛立ち、狂気、敵意。そういうものの塊のよう。悲しみなどが全く感じられない。そんなアイコなのですが、ひとつだけ弱点のようなものがあります。それは、母親の存在です。生まれたころから娼婦の元で暮らし、親はだれか分からない。捨てられて蔑ろにされてきたアイコ。彼女の支えは宿主からもらった母親の肩身という白いハイヒール。
 世を捨て、悪事を働きながら生きる大人になっても、それを大事に持ち続け、そして話しかけ続けているのです。

 この話には、色々な女性が出てきます。どれも、一般的な「まっとうな人生」を送っている人ではありませんが、色々な母親の形が見えるような気がしました。
 桐野さんは女性を、すごい角度からばっさり切り取って表現する作家さんなのでしょう。他の作品も読んでみたいです。

 
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2007.01
20
(Sat)

アガサ クリスティー, Agatha Christie, 清水 俊二 / 早川書房
Amazonランキング:3322位
Amazonおすすめ度:



 前回は森博嗣「そして二人だけになった」を読みましたが、このタイトルを見るとどうしても読まずにいられない作品がありますよね。
そう、アガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」です。
クリスティは中学生のころ嵌りました。文庫はオリエント・ABC・アクロイドのみで、あとは児童向けの本の短編しか読んだことがないですが、ミステリーを好きになった・文庫本という小さな本を読んだ、貴重な出会い(笑)を作ってくれた人です。

 内容は、もう語ることもないでしょう。
インディアン島に集められた10人の人々。お互いも、そして自分を呼んだ人物のこともよく知らずに集まった10人に突きつけられたのは、裁きの宣告。過失や罪にならない事柄で結果的に他者を死に追いやってしまった。その「殺害」したという罪で10人は、次々と殺害されていくのです。
 最初から結末が見えるタイトルに、内容。一人一人インディアンの童謡にあわせて殺されていく。居間におかれたインディアンの人形はひとつずつ減っていく・・・。数が減るにつき人々を襲う、猜疑心と死の恐怖!
 展開がわかるのに犯人がわからないというところもすごい。

 この本だけは絶対に、後ろのページ、あとがきの前は見てはいけません。犯人がわかってしまいますから。一度読んだ後、犯人を知ってから読み直すとまた面白そうです。
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2007.01
20
(Sat)

「そして二人だけになった」 


森 博嗣 / 講談社
Amazonランキング:261875位
Amazonおすすめ度:



 今回は、森博嗣さんのシリーズものではない作品を読んでみました。
舞台となるつり橋の「アンカレイジ」と呼ばれる部分の知識や、登場人物の考え方に、工学的な森さんの知識や考えと思われるものが含まれています。

 盲目の天才科学者の勅使河原潤が、A海峡大橋の基礎部分「アンカレイジ」の内部に、国家機密で作った巨大シェルター。その、窓ひとつない空間に勅使河原と、助手、科学者・建築家・医師の六名が集まります。プログラムの異常により海水に囲まれ完全な密室となったこの建物の中で、一人ひとり、人が殺害されていきます。
そして、最後に残ったのは、勅使河原と助手の森島有佳の二人だけ・・・。

 普通であれば、この二人のどちらかが犯人と考えられるでしょう。
一人減るごとに増す猜疑心が、最後の二人になるとどうなるのか・・・というのも考えるだけで恐ろしい。
 しかし、読者にはこの二人が犯人ではないことが分かっています。
 天才科学者の勅使河原潤ですが、こちらは、実は潤の身代わりである弟なのです。有名になった潤は、そっくりな弟にマスコミなどの対応を変わってもらっていたのです。
 一方、助手の有佳も、海外に身を置くと告げて、双子の妹に代役を頼んでいたのでした。
 (この、名前のない、代役の二人の視点で話は進みます。)

 それでは4人を殺したのはいったい誰・・・?という話です。

 設定が二転三転と予想を裏切られて、びっくりする作品ですよ。
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2007.01
15
(Mon)

「グロテスク」 


桐野 夏生 / 文藝春秋
Amazonランキング:2799位
Amazonおすすめ度:


グロテスク〈下〉


 今年初めて読んだ本が「グロテスク」です。
実家で父が読んでいたものを発見しましたので、借りてみました。
下巻だけ持って帰りました。ごめんなさい。
新年早々エグイ本を選択してしまったものです。

 恐ろしいの美女であった娼婦のユリコ。
 大手企業の会社員の裏で娼婦をやっていた和恵。
 秀才で優等生だったミツル。
 そして、ユリコの影で目立たずに生きている「私」。

 この4人の女性の生き様を描いたこの作品。基本的に、名を明かさない「私」の独白で進められます。
 娼婦だったユリコが何者かによって殺害されます。1年後、ユリコの姉の知人だった和恵がアパートの一室で殺害されます。一流企業に勤めていたにもかかわらず和恵は娼婦をしていたことが明かされます。「私」は事件を静観しつつ、過去のことを振り返ります。
 この事件は「東電OL殺人事件」として、実際にOLと娼婦を両立させていた女性が殺害された事件をモチーフとしたものです。ずいぶん、OLの過去についてマスコミがセンセーショナルに報じたようです。
 この作品は、誰に、何故ユリコや和恵が殺されたのかではなく、社会的な役割を得ながらも、娼婦に身を落とした女性(=和恵)の心理を表した作品です。

 親子兄弟姉妹、学校、家庭、会社、社会の中、様々なところに現れる階級や差。残酷なまでの格差をこの小説は描いていて、空恐ろしかったです。
 一番痛々しかったのは、認められたいがために、ひたすらズレたまま突っ走った和恵。(それを、どこか小気味よく感じてしまうのも恐ろしい)。
 一番悲しいのは、和恵やユリコと距離をおいているようでいて、その自分との違いにずっと固執し続けていた「私」でしょう。
 グロテスクという言葉がぴったりの、女性の人生を描いた、読み応え十分の作品でした。
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2007.01
08
(Mon)

「地下鉄に乗って」 


浅田 次郎 / 講談社
Amazonランキング:4618位
Amazonおすすめ度:



 最近映画になった「地下鉄に乗って」の原作です。
いつも映画より先に小説を読んでしまって、めんどうになって映画を見ないのですが、これは見てみたいですね。(←オジサン俳優の中で堤真一が結構好き。)

 いつもの地下鉄の駅を降りると、昭和39年の日本だった。
これは、主人公である真次が、過去にタイムスリップしながら憎んでいる父の過去を知っていく話です。
 真次の父・小沼佐吉は他人を蹴落としながら突き進んだ実業家。家族をもいたわらない傍若無人な態度。真次はそんな父の元から逃げ、家業は弟に任せ、いまは小さな会社のサラリーマンです。
 家族に暗い影を落としていたのは、そんな父と争い、結果、高校生で地下鉄に投身自殺を遂げた兄の存在でした。

 タイムスリップといっても、どうやって戻るか…という問題にはなりません。地下鉄の階段さえあればすぐに現代に戻ります。
最初は兄が死んだ昭和39年。兄の死の真相を知りたくて、過去への入り口に向かう真次ですが、その度に時代はどんどんさかのぼり、戦後直後、戦時中へと向かいます。
みち子と共に出向いた過去で、アムールという青年と、お時という女性に出会います。それは真次の父・佐吉と、みち子の母親でした。

 過去と現代を行き来し、アムールの生き様をさかのぼる中で、真次は知らなかった父の素顔を見ます。
そして、その先待ち受けている、真次とみち子の秘密と運命。
特に、みち子が最期、自分と母親と、恋人を秤にかけたところは衝撃でした。
家族の関係や愛情が悲しいけれど暖かく書かれた作品でした。
2007.01
08
(Mon)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉


「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。
長い題名で意味がわからないなぁと思いつつ買ってみました。
村上春樹さんの作品で読んだものは、これでまだ3作目です。
何かが面白いのだけれど、何処が面白いのか、非常に説明しづらいのが村上さんの作品のイメージです。
きっと、専門家や、文学系の大学生が論文のテーマや批評の的にしてしまうのでしょうけれど、そういう難しいことはわかりません!
そこまで考えるには知識もなければ、時間もありませんねぇ。

 この作品は、「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の2つの話の舞台が平行して語られます。

■□「世界の終わり」
「世界の終わり」という謎の世界に入ってしまった僕。
高い壁に囲まれ、外に出られるのは一角獣のみ。閉塞感がいっそう強まる長い冬。そこでは、人間と影は引き離され、人間は心をなくし、影は死に絶える。
僕は一角獣の頭骨から夢を読むという夢読みの仕事をしながら、影を救い、この世界を脱出できないか画策する。

■□「ハードボイルド・ワンダーランド」
 私は「計算士」というデータを他者に読み取られないように変換する仕事をしている。その複雑な意識の回路を脳に埋め込んだ老科学者との出会いで、いろいろな立場の者に追われる羽目になる。自分にうめこまれた意識の回路について調べ、解明していく。

 まったく接点のない二つの話。
いつかはクロスするんだろうという期待を持って読むのですが、
上巻でクロスしたのは「一角獣」くらいでしたか。
(非現実的な部分もあるが)現実の世界と、幻想的な世界が何処でつながってくるんだろうと、ずっと手探り状態で読んでいきました。
奇妙で淡々としている世界に惹かれる、先が気になる。
それが面白いところなのかも知れませんね。



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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

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