☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.01
28
(Mon)

「とるにたらないものもの」 

とるにたらないものを江國香織が輝かせるエッセイ


江國 香織 / 集英社(2006/05)
Amazonランキング:132486位
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 ほんとうに取るに足らないものなのだ。信号に始まり、輪ゴム、食器棚、フレンチ・トースト、洋画劇場、ピンクなど生活の中で使ったり見たりしているものたち。それらがたとえば不便である、便利である、もしくは、好きだ、嫌いだという印象を述べるだけでも、江國さんが書くとやわらかく素敵なものに思えてくる。たとえば、嫌いなものだとしても、それに対する恨みごとではなく、好きだと感じられる人間になりたいとか、嫌いだけどどうしても気になるとか、そういう否定ではない表現になる。
 それでなくとも、彼女がそれらに持っている印象は、普通に暮らしている人では持ちえない印象であると想う。ユーモアがあって、ちょっと世間からずれているというか、ゆったりしているところが微笑ましい感じがする。
 自分がたまに断片的に思い出す、昔見ていたもの、感じたものを、こんなふうにあらわせたら素敵なことだと想う。でも、自分が書いても、きっと「だからなんなのだ」とおもしろくもなく、輝きもしないような気がする。
 江國さんが感じ、書くものだから読んでみたいと想うのだ。
(江國さんに思い入れがなかったら、やっぱりツマラナイのかもしれないけれど)

 この本を読んでいると、ゆったりした気分になり、生活のいろいろなものがいいものに思えてくる。心が豊かになるような気分だ。でも、この本を読んでいたのは移動途中の電車の中だった。それも、大阪で最も煩雑な環状線。「京橋」というアナウンスを聞いたあたりから現実に戻り始める。雑居ビルの立ち並ぶ風景に、騒がしいおばさんやうつろなおじさん。失礼な話がっかりする。「玉造」で電車を降りるころには、仕事のことを思い出し、キリキリ歩きはじめなくてはいけない。非常に残念だ。
 やっぱり、江國さんの短編やエッセイは、家で、それも寝る前に読むのがベストに違いないと思う。
 
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2008.01
24
(Thu)

「チーム・バチスタの栄光」 

連戦連勝のバチスタ手術が一転して術中死の連続に。運命か、医療ミスか、それとも殺人か・・・?現役医師が書いた医療ミステリー


2005年の第4回「このミステリーがすごい大賞」受賞作。
刊行されたときずいぶん話題になっていたので読んでみたいと思っていた。最近文庫化されましたので買ってみた。

 主人公・田口公平は病院の権力闘争から逃げて、彼は不定愁訴外来と呼ばれる課でひそやかに働いている。(治療の必要はないが愚痴だけを言いに訪れる困った患者の話を聞いてあげる仕事のようだ。ちょっと古いけれど「ショムニ」みたいだ。)
  病院の外科には「チーム・バチスタ」と呼ばれる華々しい手術チームがある。拡張型心筋症に対する難易度の高い「バチスタ手術」を行うチームで、米国帰りの桐生助教授を筆頭に編成されている。平均成功率が6割と低いにも関わらず、桐生医師は27回の手術を連続で成功させてきた。ところが、このほど3回連続その手術が失敗しているという。つまり患者は死亡してしまったということ。
 この事態が、仕方のないものだったのか、医療ミスなのか、それとも作為的な原因があるのか。原因が分からないが公に調査できないので、調査して欲しい。それが桐生医師が依頼し、高階院長から田口に命じられた任務だった。

 渋々了解した田口はメンバーの「聴取」をはじめる。外科医、助手、看護師、麻酔科医、病理医、臨床工学士…。彼らの話を聞き、実際に手術を見るも、なにも分からなかった。
念のためと見学した2度目の手術。なにごともなく完璧な手術だったと思われた矢先、患者の心臓は二度と動くことがなかった。
 田口が自分の手には負えませんと根を上げた。そこで、院長が呼んだ厚労省の役人がとんでもない人物だった。
「厚生労働省大臣官房秘書課付 技官 (医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長」の白鳥圭輔。役人とは思えないぶしつけでハイテンションな変人だった。
 白鳥のとんでもない行動に引っ張られる形で、田口が事件の真相に迫っていくという話。
 
 
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2008.01
19
(Sat)

「ナ・バ・テア」  


森 博嗣 / 中央公論新社(2005/11)
Amazonランキング:2753位
Amazonおすすめ度:



「スカイ・クロラ」シリーズの2巻目の「ナ・バ・テア」です。

 「none but air」、つまり「空気しかない」ということでしょうか。

 このシリーズは、1作目「スカイ・クロラ」がシリーズの中で一番最後になるもので、2作目からは過去に何があったのか探っていく形になる。それでなくとも、設定が現代社会ではないにもかかわらず、余計な説明が一切ないため、設定やことの真相をより知りたくなってしまう。秘密めいた作品だ。結末を最初に与えられしまうと、その結末に向けて、主人公がどういう道を辿っていくのかとても気になる。最初に読んだラストに繋がる内容を拾っていきながら読むのはとても楽しい。でも、森博嗣さんの作品だから詳しい真相なんて結局分からないまま終わってしまうんだろうなと思う。もちろん、時系列に順番にこの2作目の「ナ・バテア」から読むのも悪くないと思うけれど、どっちがよかったかはもう試すことはできない。
 また、そういう内容もいいけれど、シンプルで研ぎ澄まされた世界観がこの作品の好きなところ。

 あらすじはみなまで書いてもおもしろくないので、適当に。

 主人公の「僕」は、永遠を生きる子ども“キルドレ”で、飛行機に乗り飛ぶためにだけ生きていると思っている。新しいチームに配属された僕。そのチームには尊敬されている「ティーチャ」と呼ばれる飛行士がいた。僕は彼と一緒に飛べることになった。
 この主人公の「僕」は徐々に女性であること、そして、1巻目で登場した草薙水素であることが分かってくる。この「ナ・バテア」は草薙が飛行士として飛んでいたころ、それも若くて頭角を現し始めるころの話だ。


↑鈴木成一デザイン室による装丁<ハードカバー>

 
2008.01
15
(Tue)
動物たちが織り成すおとなの絵本。


安東 みきえ, 下和田 サチヨ / 理論社(2007/04/02)
Amazonランキング:5169位
Amazonおすすめ度:



*頭のうちどころが悪かった熊の話
*いただきます
*ヘビの恩返し
*ないものねだりのカラス
*池の中の王様
*りっぱな牡鹿
*お客様はお月さま

 新聞広告で見かけて気になっていたこの本。
「頭のうちどころが悪い」というなんとも絶望的な表題に、
「頭のうちどころが悪かったんだろうな」と思わせる、くまさんの絵が印象的な本だ。
中の挿絵も、手書きの字も崩した感じが暖かい。この気の抜けた絵がなんともツボで、思わず買ってしまった。本棚を買ったら是非飾っておこうと思う。

 子どもより大人向けだと思われるこの本。
たとえば「いただきます」では、トラがキツネを食べたことを後悔している。腹の中のキツネはニワトリを食べたことを、ニワトリは…という風に、それぞれ他生物を食べてきたことを後悔している。食物連鎖のなかで命の尊さを訴えかけているように見えるが、最後に悩みを聞いてくれた旅人をトラが美味しそうに見つめるあたりがブラックだ。
 他にも、欲しいものが手に入ると次のものが欲しくなってしまうことをあらわしたカラスや、姿かたちが変化しても続く友情を手に入れたおたまじゃくしとヤゴなど、ちょっと子どもにしては難しい内容。
 ユニークな動物で、軽く人生を一考させてしまう、なんだか不思議な本だった。
2008.01
11
(Fri)

「淀どの日記」 

秀吉の側室・茶々の凛とした生涯を描いた1作。


井上 靖 / 角川書店(2007/11)
Amazonランキング:158235位
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 豊臣秀吉の側室・茶々の生涯を描いた、井上靖さんの小説です。
この本が2008年最初の読書となりました。同期から借りました。
表紙は、映画「茶々-天涯の貴妃(おんな)-」の主人公・和央ようかさんとのこと。
この映画の原作になります。

 織田信長の妹・お市の娘として生まれ、秀吉のせいで城を追われ、家族を悉く失ってきたともいえる茶々が嫁いだのは、その秀吉である。憎むべき相手と婚姻ということで自害も考えるが、どんな境遇でも生きようと決心し側室に上がる。この作品の茶々は、目の前で戦に負けてきた人ばかり見てきた彼女にとって、戦に勝ち続ける秀吉の姿のなかに憎しみとは違う感情を持っていたと解釈している。また、後半では、秀吉の死後、最後まで息子の秀頼を頂点に立たせたいと守り、尽力する母親の茶々の姿が描かれている。

 あまり歴史小説を読まないため、秀吉関連を読むのも初めて。他の作品で茶々がどういう人物で描かれているのかはわからない。秀吉で思い出すのは、小6のとき見た大河ドラマの「秀吉」くらい(笑)。竹中直人の濃い秀吉、北の政所・ねねは沢口靖子、茶々は松たか子。そのときはおね(ねね)のほうがヒロインで、穏やかですごくいい人物像だった。当然ながらねねびいきだったので、側室になって子どもまで産んだ若い茶々は、ねねの邪魔者と映っていて、嫌いだった。
 本作では逆に、ねね・北政所は冷たい雰囲気の描かれ方で、ドラマのイメージを持っていたので、残念に感じた。しかし、ドラマは秀吉とねねを中心に描かれたものであったし、秀吉の死後は描かれていない。秀吉の死後、大坂城で自害なんていう壮絶な最期を茶々が遂げていたなんて知らなかった。秀吉の世継ぎをトップに立たせようと最後まで踏ん張って死んでしまった茶々と、最後は家康とうまくとりもって、高台院として生きたねね。こう見ると、ねねもドラマのような穏やかな人物ではないかもしれない。作品によって人柄が変わってくるところも歴史小説では面白いと思う。
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2008.01
06
(Sun)

「シナン」 

 神を空間に描き出した、オスマン帝国の最高建築家・シナンのロマンの物語

夢枕 獏 / 中央公論新社(2007/11)
Amazonランキング:15062位
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 (私の中では)「陰陽師」の夢枕獏さんが書いた「イスラム」の歴史小説。面白いのだろうかととりあえず買ってみたけれど、2007年最後にしていい話に出会えたと思った。
 「シナン」は(「スィナン」ともカタカナ表記される)オスマン・トルコの建築家だ。イスタンブールには「聖ソフィア寺院」という非常に有名なモスクがある。しかし、このモスクはオスマンではなく、前のビザンツ(東ローマ帝国)時代に作られた正キリスト教会の聖堂である。イスラム文化に入って1,000年もの間、この聖ソフィアを超える大きさのモスクが作られることはなかった。
 シナンはオスマン帝国が最大に反映したスレイマン1世の時代に現れた建築家で、50歳を過ぎてから100歳で死ぬまでの間に、477もの建造物を建てたらしい。スレイマンのスレイマニエ・ジャーミーは最高傑作と呼ばれ、セリミエ・ジャーミーは、オスマンで初めて聖ソフィア寺院を超える大きさのジャーミー(モスク)となった。そのような素晴らしい人物と建物があったとは知らなかった。早速グーグルアースで旅に出てしまった。
 

 夢枕獏が書くシナンは、偉大なる聖ソフィアには「不完全で神がいない」と感じている。ヴェネチアで見た、素晴らしいサンマルコ寺院にも聖ソフィアも、偶像で満ち溢れ、人間の祈りばかりが強調されている、と。聖ソフィアを超える神が存在するジャーミーを作ることがシナンの目標であり夢だった。
 1.5巻分は若い兵士時代のシナンと、スレイマン1世の時勢が描かれる。スレイマンと宰相のイブラハム、シナンの同士ハサン、詩人のザーティなどの人物が現れる。オスマンのヨーロッパ侵略や、スレイマンの妻のロクセラーヌの陰謀など、政治の舞台が大いに描かれる。建築と関係がなさそうに見えるこの歴史背景たちだが、最後に必要なものだったと気づかされる。
 戦争中に砦や橋、船を驚く手際で完成させたシナンは50を超えてから主席建築家になる。彼の建築物は「複合建築(コンプレックス)」であり、モスクを中心に街の主要な要素をその周りに作るという、現代みたいな素晴らしい都市計画でもあったという。彼の夢である、聖ソフィアを超える完全なジャーミー造りは、オスマンの繁栄を示し、いつしか、そこに祀られることになるだろうスレイマン大帝の夢でもあった。しかしいくら金を積まれてもシナンは造れないと言った。それほど聖ソフィアは偉大で完璧な建造物だったのだ。そんな中で完成させたスレイマニエジャーミーは、大きさ以外は聖ソフィアに勝る、神の存在するジャーミーだった。
 ジャーミーをめぐってスレイマンとシナンの間に交わされるやりとりは、まさに男のロマン。死を覚悟した、弱り、疲れ果てた大帝に、聖ソフィアを超える大きさのジャーミーを作ると約束するくだりは感動ものである。最後は夢を追い、働き、手を動かし生きてきたシナン。その間に、ハサンやイブラハム、スレイマン…と多くの人が去っていった。その時間の重みと寂しさが、前半の描写があったからこそ際立っていた。心に響くいい作品だった。

 
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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

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