☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.03
30
(Sun)

「失われた町」 

 人々が消え去る町。大切な人を突然失った人々の戦いと願いを描いた作品


三崎 亜記
Amazonランキング:140096位
Amazonおすすめ度:



 「となり町戦争」の三崎さんの作品。この作品も、私たちの生きる世界と基本はあまり変わらないけれど、異質な現象を抱えている、不思議な舞台を持っている。

 この世界では町から住人が「消滅」するという現象が起こる。「町」は何らかの意思を持っており、住人はそれから逃れることができない。失われた町に関して、残されたものは言及してはいけない。たちまち町に誘われて「汚染」されてしまい、廃人になる者もいるからだ。そのため、「町」は名前も存在もなかったことにされ、住人がいた痕跡も隠されるし、国中の書物・写真もすべてが検閲され、破棄される。町の消滅は人々の間では禁忌であり、「穢れ」として通っている。
 残された人々は、町について、消えてしまった人々について悲しんでもいけないという非常につらい立場に立たされてしまうのである。

 「月ヶ瀬」という町が、30年前の「倉辻」という町に続いて消滅しており、この月ヶ瀬の消滅に様々な形で関わることになった人々の悲しみと戦いの30年が描かれている。生涯を消滅に関することにささげる人。恋人を消滅で亡くし、消滅を食い止める研究へ進もうと決意した人。消滅で家族を失った人々を影で支えながら、心を町に奪われた恋人を見守る人。妻が消滅してしまい、残された特別な子どもと生きていく人。様々な人間が消滅とかかわり、次の新たな悲しみを生み出さないために、「月ヶ瀬」を望める風待ちの丘に集まる。30年という年月を経て、失われるものもあるけれど、新たに生まれる希望が出てくる流れがとても感傷的だった。

 なんだか物々しい雰囲気が漂っていたけれど、決して諦めない信念と家族や恋人への愛情に溢れており、最後はどこか希望を感じられる作品です。

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2008.03
27
(Thu)

「佐藤可士和の超整理術」 


佐藤 可士和 / 日本経済新聞出版社(2007/09/15)
Amazonランキング:243位
Amazonおすすめ度:



 グラフィックデザイナー、アートディレクターとして有名な佐藤可士和さんの著書。

 誰かに「こうしたほうがいいぞ」といっている本ではない。

 アートディレクターとして、佐藤氏がどんな考え方をして取り組んでいるかが書かれている。アートディレクションならではの内容もあれば、普通の仕事でも転用できる考え方もある。
 彼の考え方では、どんなことでも整理していくことがミソだ。ひとつのデザインを作るためにはクライアントの欲求や情報を整理する。物事を考えるときも、状況把握、視点導入、課題設定と、順序良く整理しながら考えていく。職場環境、PC、持ち物にも整理が必要である。

 佐藤氏のデザインしたもの、有名なものではSMAPやDOCOMOの広告、TSUTAYAなどがあるけれど、どれもとても洗練されていてスタイリッシュ。本書で紹介されている「極生」や「StepWagon」の広告の秘話などを読んでいると、徹底的に情報を整理しつくしてでてきたデザインのようだ。
 無機質なデザインが多いので、苦手な人もいるかもしれないけれど、私は彼のデザインを見るといつもすごいと唸ってしまう。無駄がなくてカッコいい。ただシンプルなだけじゃ相手には通らない。そこに確固たる根拠が存在するデザインなのだ。本当にすごい。
 
 整理ができたところで佐藤可士和にはなれないけれど、いつもコテコテの印刷物ばかり作っているので、ハイクオリティな感覚を持つ人の本を見ると刺激になるものです。
(購入)
2008.03
24
(Mon)

「薄闇シルエット」 

恋愛と仕事。生き方をようやくさがしはじめた女性の物語。


角田 光代
Amazonランキング:49310位
Amazonおすすめ度:



 人の人生を羨ましく思ったり、逆に自分がちょっと勝ってるんじゃないかと思ったり、誰でもが持ちそうで、持っていることが後ろめたく感じるような感情を描きだしているおもしろい本だった。 主人公の主人公のハナは37歳、独身。友人のチサトと古着屋を共同経営している、マイペースな女性である。
この30代・独身女性がのんびりしている間に、友情・結婚・仕事に初めて正面からぶち当たり、次から次へと新たな悩みに遭遇していく。

 ハナは恋人に結婚を切り出されるが、全然気持ちが乗らず、断ってしまう。結婚しないといっていた親友の結婚に対して、素直に喜べない。結婚後の親友を見た時は、バリバリ働いていた彼女のの姿と違う、羨ましくないと違和感を感じたりもする。また、対極の存在である、既婚で子どももいる妹も登場する。ハナが持たない、主婦から見た気ままな人生を送る姉に対する苛立ちや、家事に追われる姿がある。

 仕事では、チサトと共に立ち上げた古着屋で、こじんまりとのらりくらりとやっていることが居心地がよかったハナ。しかしチサトはもっと先を見ていて、新たな業態にチャレンジしようとしていた。今までの関係や環境を壊そうとしているような気がして、ハナは反感を覚える。
 
 家庭に安定する、仕事で飛躍しようとする、このどちらにも羨望よりはむしろ、そのような道を選ぶなんて信じられないという感情がハナからは感じられる。
 しかし、ハナはあせり始める。久々に再会した元恋人。フリーターだった彼はいつのまにか正社員になるためスーツで働き、彼女もできていた。彼にこういわれるのである。

「あんたやおれの話って、したくないことでしか構成されてないんだよ。中古のブランド品は扱いたくない、消費社会に流されたくない、どこかに属して盲目的に服従したくない。したくないことを数え上げることで、十年前には前に進むことができたけど、今はもうできないと俺思うんだ。したくないって言い続けてたら、そこにいるだけ。その場で駄々こね続けるだけ」

 なんとも意表を突いた言葉!多くの人が「本当にやりたいこと」「本当の自分」なんてものを負いながら、実際は、やりたくないことばかりを見つけてあがいているのかもしれない。

 ハナの母親は、すべてを手作りして、盲目的に家庭に尽くし、それが家族の最上の喜びであると思っている女性で、ハナはそれが嫌で仕方がなかった。元彼と完全に決別し、この母親が急に亡くなったあたりを境として、自分だけが何も手に残らず、ただ立ち止まっている事実に向き合うようになる。

 自分で見つけて、考えて、やりたいと思える仕事。それをハナは探し、やってみようとする。生き生きとしてきて、仕事もうまくいき、働いている自分に少し酔いしれる。でも、少しうまくいったところで、周りの支援が多すぎて、自分の無力さに気づき、絶望する。
 新たな宝を見つけるたびに、新しい悩みや葛藤を得ていく。
ただのハッピーエンドでは終われない、人生のめんどうさ。他人と自分の人生の違い。本の表紙のように、どこか暖かくとげとげしくない雰囲気で書かれていてよかった。

 

 
2008.03
20
(Thu)

「フラッタ・リンツ・ライフ」 



「スカイ・クロラ」シリーズ第4巻「フラッタ・リンツ・ライフ」です。

"Flutter into Life"

いつも英語はちょっと違った音のカタカナで表現されていて面白いですね。

人生の中に飛ぶ・・・うーん、語彙も表現力もない自分がふがいない。


 この作品は、「栗田仁朗」の視点で描かれている。

 栗田はダレかは「スカイ・クロラ」を読めばチラリと出てくるので分かる。非常に気になる人物だ。栗田も、もちろん戦闘機乗りで、草薙水素大尉のチームの一員である。
 草薙水素とキルドレの真相にぐっと迫る、一作。(裏表紙の本の紹介とはちょっと印象が違う内容。草薙の元で飛び、恋人と風俗嬢フーコに会う空虚な日々・・みたいな印象を受けたので)少し真相が分かると、その分謎が増えていく。それがあと1作で本当にわかるんだろうか?あと1作で「スカイクロラ」にどう繋がるのかもとても気になる。

 いまは、真相が知りたくて読み進めている感じだけど、全巻読んだら、最初からゆっくり読んでみたい。多分、感想は表現できないと思う。難しい・・。

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life

鈴木成一デザイン室 デザインの上製本版。
透明フィルムで巻いてありますが、これは「帯」らしいです。
2008.03
16
(Sun)

森 絵都
Amazonランキング:31213位
Amazonおすすめ度:


 「大切な何かのために懸命に生きる人たちの6つの物語」と表題にあるとおり、仕事や学問に打ち込むような人々を描いた短編集。図書館で見つけて借りた。よく名前は拝見するけれど、初めて読む作家さんだ。

 6つに共通して思ったのが「詳しい」ということ。「備前焼」であるとか、仏像修理師の仕事、「徒然草」の文学的視点、保健所で殺される犬について、UNHCRの活動と葛藤、など、出てくる人々の職業や活動についての描写がとても詳しいのだ。もしかしたら過剰なのではと思えてくるくらいだったけれど、なんだか勉強になるなと思った。背景があってこそ分かるような気もする。森さんは児童文学も書かれているので、雰囲気をつかむ大人の小説というより、しっかり書き表していく児童向けの要素が出てきているのかなぁと深読みをしてみたり。違うか。
 
 おもしろかったなと思ったのは、のは胸のうちにはかなりの勉学意識を滾らせている青年を描いた「守護神」、ちょっと泣きそうになったのはUNHCRで働く女性を描いた「風に舞い上がるビニールシート」。
 いろいろな職業・立場の人を描いた短編が最近は好きです。あんまり惰性で生きている人になると苦手ですが、がんばろうが、怠けようが、凹もうが、深入りせずに読めるところがいいですね。
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2008.03
13
(Thu)

「死神の精度」 

 クールでとぼけた死神と6人の人間の人生を描いたものがたり


伊坂 幸太郎
Amazonランキング:44位
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 伊坂さんの話には、時折、特別な能力を持った人がさらりと出てくるけれど、この作品の主人公は「死神」だ。
 

 「俺が仕事をすると決まって雨が降るんだ」


 彼は「千葉」と呼ばれる死神で、仕事で人間の世界に来てから一度も晴れた空を見たことがない。

 死神といっても、恐ろしい姿かたちで、マント×髑髏×鎌の死神ではない。人間の前に現れるときは、適当な年齢の人間になって人間界に現れる。死神の中でも調査員と呼ばれる彼らは「上」の指示で、死ぬ予定の人間を1週間観察し、死が「可」か「見送り」かを判断することが仕事。サラリーはないだろうが、会社員みたいだ。事故や災害などの不慮の事故で死んだ人間は、死神が「可」を出した人間なのである。彼らは人間に思い入れはないので、たいていは「可」を出す。「可」を出すまでなら、その1週間の間にその人間は死なないのも特徴。
 面白いのは 人間に思い入れはないけれど、人間が作った「ミュージック」を偏愛しており、地上に降りたときは、仕事はそこそこにCDショップに立ち寄り、視聴機にかじりついているというところだ。ミュージックであればなんでもいいらしい。視聴機で何時間も動かない人物をみたら死神なのだ。

 また、素手で触ると人間は失神するため、いつも手袋をしている。味覚もないし、痛みもない、空腹や睡眠もないようである。電波で電話を盗み聞きなんかもできるようだ。

 彼らは、人間の使う修辞や例えが通じないので、会話がズレているところも面白い。「雨男」と聞いて「雪男はいつも雪が降っている男のことか?」なんて聞いたりする。

 伊坂さん式の死神の設定がユニークでクールでおもしろい!一番のイチオシ部分。

 ただ、死神という設定にもひかれるけれど、話自体もいい。一つ一つもそれぞれ面白いけれど、すべての章を通して読んだ後に、時の流れというか人間の人生の長さの重みのようなものが感じられるから不思議。最初と最後の話では、おそらく50年以上は時が過ぎているだろう。人間の死に興味はなく、時の長さや重みも感じることのない千葉だけれど、彼が過去に出会った人物たちが、時を経て交差する場面は、切ないけれど、とても清清しい。最後の「老婆対死神」の章は実に美しい。老婆の生き様も、最後に現れる突き抜けるような晴天も。
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2008.03
08
(Sat)

「自由死刑」 

1週間後に自殺することを決めた男のうまくいかない1週間


島田 雅彦
Amazonランキング:563位
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 主人公・喜多善男は、1週間後の金曜日に自由死刑を執行することに決めた。つまり自殺である。借金苦や精神的に参っているわけではないが、漠然と昔から自分の人生には絶望しか感じてこなかった。それだけだ。
 1週間、酒池肉林を味わおうかと決めた喜多であるが、そこには次々と「邪魔」が入る。
最初は若い女と知り合い、酒や性を楽しむ程度であったが、徐々に、喜多の死をめぐって、様々な人間の思惑が交差し始める。
死ぬと知れたことで生命保険や臓器売買をかけられる。
憧れだったアイドルとの出会えたが、なぜか逃避行に出る羽目になる。
挙句の果てに殺し屋に狙われる。
 地味でお人好しの彼であるが、死んでしまうと割りきっているためどこか他人事である。
気になるのは「無事に」死ぬことができるのか。お願いだから邪魔せずに死なせて欲しい。
死にたい男をめぐって周囲を出会うこともなかったような人間が右往左往し、喜多はドラマティックな最後の一週間をすごすことになる。

 まず面白いのは、前半(Fridayから最後のFriday)までの騒動だ。様々な人間が現れ、騒動を起こしていく。喜多は巻き込まれつつも、いつもうまい具合に自分のペースに戻していく。
 喜多を邪魔するのは大きくいえば2人である。1人は八代。裏家業で稼ぐ怪しい男で、偶然喜多が自殺志願であることを知り、漬け込み始める。いけすかない彼であるが、読者にとっては爽快で驚きな羽目に陥ることになる。もう一人は、アイドル宵町しのぶ。彼女は、現状から逃げ出したくて、この風変わりな喜多という男と出会う。聖書をよりどころとしている彼女は、喜多と行動しながらなんとか死を諦めさせようとする。
 ほかにも、喜多が軽く復讐めいたものをして驚かせたいと思っていた、元恋人のみずほや、夫がなくなったことで呆け始めた喜多の母親、外科医で殺し屋の男などが出てくる。

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2008.03
05
(Wed)

「λに歯がない」 

「Gシリーズ」第5弾。研究所の一室で、関係のない4人組が殺害されていた。「λに歯がない」と書かれたメモがおかれていた。


森 博嗣
Amazonランキング:60505位
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 Gシリーズ第5弾の「λに歯がない」(ラムダに歯がない)です。今回は研究所・密室です。

 建築関連の研究所の一室で、4人が銃殺体で発見された。ポケットには「λに歯がない」の謎のメモが残されており、遺体はすべて歯が抜かれていた。最新の建物の一室から、犯人はどうやって脱出したのか、被害者は誰なのか、謎は深まるばかり。そして、一連のギリシャ文字の事件と何か関係はあるのか?

 だんだん話が、事件自体の難しさや、ダイナミックさというおもしろさから離れてきたように感じる。Gシリーズは、小さい事件の連続で、一連のシリーズの結末への伏線のために存在しているようだ。
 西之園萌絵は、この一連の事件で集団で自殺をする人々がいると知った。両親が飛行機事故で亡くなったとき、どうして自分が死ななかったのか。それについて考えるようになり、封じ込めてきた当時の記憶に向き合う―そんな場面が登場する。
 また、探偵の赤柳初朗は、どうやら保呂草やその周辺と想われる人物と連絡をとりあっている。一体彼らが何を目指して行動しているのかも気になるところ。

 引退宣言をしている森博嗣さんの話によると、Gシリーズは全部で12作になる見通し。それに、Xシリーズが5作ほど加わる形で、どんな結末を描こうとしているのか楽しみ。
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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
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