☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
--.--
--
(--)

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2008.06
29
(Sun)

人生ベストテン 


角田 光代
Amazonランキング:398291位
Amazonおすすめ度:



 角田さんの恋愛短編6編収録。
この本も、ちょっと飽き飽きした自分の人生にちょっとしたドラマが起こったり起こしたりするけれど、なんだかんだで現状打破ってそんなにできないのよね・・・というのを感じさせる短編である。
 
「床下の日常」 水漏れの工事現場のマンションで、陰気な人妻から昼食に誘われた若者が、あれこれ考えてしまう話。
「観光旅行」 恋人と訣別するためイタリアに旅行した女性。その先で喧嘩ばかりしている日本人の偏屈な母親と、少々鬱陶しい娘に付きまとわれるハメに。
「飛行機と水族館」 海外から帰る飛行機で隣りに座っていた女性が泣きながら自分の失恋について語ってきた。はじめ鬱陶しかった彼女が、帰国後気になってしまい、様子を伺おうとする。
「テラスでお茶を」 男とのダラダラした関係を断ち切り、出直すために中古マンションを探し始めた女の話。
「人生ベストテン」 もうすぐ40歳なのに、恋すらしていないことを猛烈にあせりを感じた女性。久しぶりの同窓会ではじめての彼氏と再会するが・・・
「貸し出しデート」 夫以外の男を知らない主婦が、お金を払い、若い男とデートしてみることに。しかし来たのは自意識過剰の冴えない若者だった。

スポンサーサイト
2008.06
25
(Wed)

「狐闇」 


北森 鴻
Amazonランキング:530025位
Amazonおすすめ度:



 旗師である・宇佐美陶子が、自分が陥った苦難と、歴史の大きな謎に迫る長編ミステリー。宇佐美陶子が出てくる作品は4作あるらしく、これは3つ目くらいのようだ。 1つ前に紹介した「凶笑面」(蓮杖那智シリーズ)の「双死神」とリンクしており、その他いくつかの別作品の登場人物も出てくるという、順番に読んでいる人にはたまらないであろう1冊。

 宇佐美陶子は「冬孤堂」と呼ばれる骨董業者。店舗は持たずに、市で競り落とした美術・骨董品を他の業者や個人に転売する旗師である。彼女はとある市で青銅鏡を落札する。しかし、この鏡は市に出るはずのない「三角縁神獣鏡」だった。この魔境に関わったせいで、何者かに交通事故にあわせられ運転免許を剥奪される。その上、贋作つくりの疑いをかけられ骨董業者の免許である「鑑札」を剥奪されてしまう。また、鏡に関わった2名が謎の死をとげてしまう。
 様々なものを失った陶子は、自分を陥れた何かに立ち向かう決心をする。
 ここで、青銅鏡の謎と、徐々に浮かび上がってくるのが「税所コレクション」の謎である。
税所コレクションとは、明治時代・堺県の県令であった税所篤が集めた骨董品であり、宮内庁管轄である「大仙古墳(仁徳天皇陵)」を盗掘したのではないかという、大きな疑惑と探るには危険すぎるもの。陶子は、友人の硝子や、民俗学者の蓮杖、骨董業者の雅蘭堂たちの大きな協力を得て、税所コレクションと、自分を落としいれようとする者たちの目的を暴いていく、スリリングな話である。

 私は、大仙古墳の真隣にあった大学に4年間通っていたという点で、非常に興味をひかれた。4年間、さほど古墳の歴史について何も知らず、横から見てしまえば、ただ青々とした山というか森のような存在だっただけに・・・。税所篤という人もはじめて知った。彼は、私欲のために遺跡を荒らした悪人か、廃仏稀釈から遺跡や遺品をぎりぎりのやり方で守った善人か、2つの見方をしていたところがおもしろかった。

 事件をめぐって、陶子と、犯人達が互いに相手を崩すために用意する切り札が、実際に現在起こった事件だけでなく、歴史上の解釈まで含んでいるため、難解で何の事件を探っているのかわからなくなりそうだった。歴史の謎と事件の謎、両方を追うとても深くて面白い作品だった。
 
2008.06
20
(Fri)

「凶笑面」 

 民俗学者・蓮杖那智が解決する、民俗学に詳しくなれる!?ミステリー 



 民俗学教授である蓮丈那智と、助手の内藤三國が、民俗学のフィールドワーク先で出会う事件を解く、民俗学を盛り込んだ異色ミステリー。シリーズ化されており、この本はすべて5作の短編が収録されている。
  伝説があるところに偶然事件が起こったり、伝説を巡り事件が起こったり、舞台は様々。短編だけれども、事件についても、民俗学についても初心者にも分かりやすくコンパクトにまとまっているところがすごい。民俗学というと、漠然と柳田國男・・・くらいしか想像がつかない世界。読んでみると、学校で習う歴史程度で分かることもあるけれど、日本に散らばる伝説や風習も多々出てくる。ちょっと不気味な感じがするけれど、事件はさほど大きくないので、民俗学の知識がおもしろく感じた。

 なかなかなじめなかったのは、蓮杖那智と内藤三國のキャラクター。蓮杖は異端の研究者であり、頭脳明晰な氷の美女。彼女の口調や存在がこの短編1冊ではまだまだ人間味が少なくて慣れれなかった。「狐闇」という、蓮杖が出てくる別の作品があるけれど、そちらを読んだり、これから続刊を読めば愛着もわいてきそうである。


「鬼封会」
 ストーカーに関連する殺人事件。旧家に伝わる異色の「鬼封会」、明治の廃仏稀釈運動にまで説明が及ぶ。 

「凶笑面」
 謎の禍々しい面「凶笑面」をめぐる殺人事件。面とは何を表すのか、蘇民将来伝説。

「不帰屋」
 旧家に残された建造物は何を意図して作られたのか?そこで起こった殺人事件。

「双死神」
 内藤に製鉄民族の遺跡があると共同研究を持ちかけてきた者が殺される事件。製鉄民族・だいだらぼっち伝説、そして古墳から掘り出されたという「税所コレクション」と謎めいた案件が山盛りの章。
 これは北森さんの「狐闇」という作品の一部を内藤側から描いた1作。是非「狐闇」を読むことをオススメする。

「邪宗仏」
 とある秘仏をめぐって起こった殺人事件。「聖徳太子はキリストだった!?」など、突拍子もないような説が出る所以、日本に密かに伝わっていたキリスト教について。
2008.06
14
(Sat)

「ドラママチ」 



角田 光代
Amazonランキング:133708位
Amazonおすすめ度:



 そこらへんにいそうな、あまりぱっとしない女性の日常をうまく書いてくれる角田さん。きっと、それがどうした、つまらんと思う人も多いと思う。ありふれた日常、けだるさなんてどこにでもあるだけ、誰にでもかけそうだけど、主人公がどんな人で誰とであってどんな話をするのか、その組み合わせがおもしろくなかったら、本当にぱっとしない会話だったらつまらない話にかならない。この倦怠感を書ける角田さんは凄い人だと思う。
 私が、このようなけだるい話を好き好んで(というわけでもないけど)読んでいる理由はよく分からない。自分はこの人たちみたいにはならないぞとでも思っているんだろうか?まぁいいや。

 ドラママチは、8人のなにかを「待つ」女の短編。子供ができるのを待つ女、不倫していて男を待つ女、倦怠感溢れる夫婦生活になにかドラマが起こらないか待つ女、強烈な姑とのワカレを待つ女・・・・などなど。30代半ばから後半と思われる、既婚・未婚、なんだか幸薄なけだるい女達の話ばっかり。

 まだ20代なので、こうなったらやだなぁ位ですむが、30代で読むときついのかもしれないし、優越感(本に対してか?)に浸れるのかもしれない。

 8つに共通しているのが、喫茶店、しかも昔からあるTHE喫茶店が出てくるところか。

 現状に、飽き飽きし、嫌気が差し、なにか違う展開を思い描いてはいるけれど、結局は現状に戻ってくるしかないのだ。文や設定がリアルというのもあるけれど、みんないつも諦めて現状にとどまって生きていることが多いんだなということが書かれているから、余計リアルだなと感じるんだと思った。
2008.06
08
(Sun)

「送り火」 

 哀愁があり、どこか不気味なのに暖かな”アーバンホラー”
 

重松 清
Amazonランキング:394831位
Amazonおすすめ度:



 重松さんの話は、(まだ数作しか読んだことがないけれど)人間味というか人情に溢れている。
中には、イジメなどの人間の弱いところをついた作品もある。それを一旦読むと、しばらくの間その話しについて悶々と考えてしまいそうなので、なかなか手をつけていなかった。
 この「送り火」は短編なのでそんなに気負いせず読めそうなので借りた。

 舞台は東京からベッドタウンに伸びる富士見線の沿線。(富士見線は実在しないのですね)
帯に「アーバンホラー」と書かれている。現代の都会で暮らす人々に起こる、少し不気味で、でも暖かいところもある不思議な短編ばかりだ。最初の2作はホラーテイストだけれど、あとはそうでもない。怖くなくてしんみりする、なかなか面白い本だった。

□フジミ荘奇譚
 行き場をなくし、ホームレス寸前の男が住み始めた古いアパート。そこには不気味な老婆が5人暮らしている。老婆と猫。不気味なことこの上なし。一度は金と引き換えにアパートを燃やそうとする男であるが・・・。

□ハードラック・ウーマン
 売れないライターの由紀子。町の噂のネタに行き詰まり、駅にいるホームレスの老婆に「富士見地蔵」と名づけ、拝むとご利益があるという記事を掲載した。すると瞬く間に噂はブームを起こし…。
人生に行き詰った女性にちょっとしたヒヤリ体験。

 老婆モノ2作連続は恐ろしい。

□かげぜん
 夫婦は6歳で息子を失った。1年がたち、笑顔も戻りつつある二人だが、妻が少し思いつめ気味だ。息子宛に未だ届くDMをしまい、かげぜんを据えるのはまだよいが、ランドセルを買い、近所の子供に背負ってもらったりしはじめた。いなくなった現実を受け止めるつらさを描いた1作。
 (あまり関係がないけれど、自分を含め営利で送りつけているDMが受け取る人によっては思い意味を持ってしまうんだなぁ・・・)
 
□漂流記
 仕事をやめ、家庭に入り、新しいマンションに引っ越してきた女性。公園デビューを果たすが、序列関係や自分のこどもをまったく関係のないあだ名で呼ばれることにストレスを感じ、次の公園へ。
 マンションに伝わる不気味な感じが結局なんだったか分からなかった。

□よーそろ
 実直な富士見追分駅の駅員原島。彼は自殺をしようとする人を嗅ぎつけては止めてきた。
一方、小学生の太郎はイジメに悩み、それを親に打ち明けられずにいた。彼を元気付けていたのは、とある「冒険家」のひよわな日本人に対する熱意に溢れたメッセージだった。
 太郎が折れそうになったとき、原島と冒険家が救いの手を差し伸べる。

□シド・ヴィシャスから遠く離れて
 かつてパンクバンドとして勢いのあった男に、敬一は再会する。敬一はパンクへの熱い思いを語る伝説のライターだった。しかし、再会した双方とも以前の面影はまったくなかった。そこへかつて敬一が書いた文章を心から尊敬している男を紹介される。
 夢を棄てた大人と、棄てきれず、それでいて前に進めない大人。苦いけれど前に進むしかないのだ。

□送り火
 弥生子は一人でくらす母親に同居をして欲しいと頼むため実家に向かう。彼女は今は廃れて閉園した遊園地と、そのそばの実家が大嫌いだった。自分のために無理をして働き、住まいを買い、そして過労で死んでしまった父親がわかってはいても理解できなかった。幼い自分、母の寂しさと、家への思い、そして父への思いが、閉園した遊園地をぼうっと照らす。
 
□家路
 妻と積もり積もった互いの瑣末な不満が噴出し、家を出た男。毎日家に「帰りたくない」男に、家に「帰れなくなった」男が話しかけてくる。男は駅で急病で亡くなった幽霊だった。
 こういうオッサン話嫌いじゃないな。

□もういくつ寝ると
 両親の墓を決めに行く娘とその夫。娘は富士山が見える墓にこだわるが、夫はあまり興味がない。子供の墓を探す若い夫婦、自分がひとりで入る墓を探しにきた老人。「お隣」の事情は様々である。
 娘は次第に夫と、その家族の墓には入りたくないなと思い始める。
2008.06
01
(Sun)

「蒲公英草紙―常野物語」 



  以前読んだ「光の帝国」とおなじ「常野」という不思議な一族が登場する長編小説。
穏やかな田舎の情景と真摯な人々がでてくる話だけれど、そこに、戦前の厳しい自然と戦争の影がゆっくりと近づいてくる切ない作品。

 『蒲公英草紙』は、主人公である峰子が書いている日記。おっとりとした峰子が美しく、もうもどることができない少女時代を回想している。
 時は日露戦争前か、日本が世界に立ち向かい、血気と不安が広がる時勢。東北の小さな農村で、その村を支える槙村家には、一人娘・聡子がいた。体が弱く、外出もできない彼女の相手を峰子はすることになった。旧家のお嬢様で、体が弱い聡子であるが、ひがんだところはいっさいなく、聡明で優しく、そして美しい。峰子は、聡子や、その兄の廣隆、画家の椎名や永慶などと美しい田舎でゆっくりとした時間を過ごしている。
 そこに「春田一家」が槙村家の客人として現れる。穏やかだけど、どこか常人とはなにか違う秘密を隠しているような不思議な一家。『光の帝国』を読んでいれば分かるが、彼らこそ『常野一族』である。春田一家は人の記憶・歴史を「しまう」特殊な能力を持っている。どうやらサイコメトリー的な能力も持っているようだ。
 最初はその能力を隠している彼ら。しかし、不思議な出来事が起こるなか、槙村家と「常野」、そして聡子と常野には大きな関係がわかってくる。

 「常野」という超能力的な力を持つ人々が出てくる話だけれど、おもしろおかしく力を発揮して活躍するはなしではない。人の悲しみを和らげる力でもあるけれど、世間の風当たりが強かったり、厳しい役目を負っていたり、切ない場面が多い。
 幸福なときは続かない。戦争はそれを奪う。悲しみのふちにいる主人公はその後力を取り戻せただろうか?
 | ホーム | 
ブグログ
プロフィール

4040

Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

最近の記事
カテゴリー
オススメ☆

Wishリスト
最近のコメント
最近のトラックバック
おすすめ

ブログリスト

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧
フリーエリア
ブログ内検索
リンク
新しい本を探しにでかけよう♪

ほんぶろへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 ポータルブログへ
ブログ王へ
amazonさんより

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。