☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.09
25
(Thu)

人間の幸福  

事件を通して見えてきた、隣人達の人間模様。

宮本 輝
Amazonランキング:304090位
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 宮本輝さんというと、「文学」を書いている人で、いつも私が読んでいるような本とは違った、重く深いテーマを扱っているというイメージがある。多分、教科書やら国語の便覧に載っているような人だったからだ。教科書に載ると、話の一部を、文節は・・・この文法が・・・作者は何を言おうとしているのか・・・などなど、話を楽しめたものではない。一気にツマラナイ印象になってしまう。宮本さんの作品もきっと小難しいものなのだろうと、勝手に思っておりました。

 この文庫を偶々発見したのだが、「ミステリー」に区分されるようだった。ミステリー好きとしては、ミステリーの切り口なら読みやすいに違いないと思い、購入した。表紙の絵がブリューゲルだったのも買った一因ですが、残念ながら表紙の絵が表示されておりませんね。

 とある民家で主婦が殺害される事件が話しの発端である。主婦は隣のマンションの住人とトラブルを起こしていた。もちろん住人達は、警察の執拗な取調べ・聞き込みを受けることとなる。なかなか犯人は捕まらず、住人達は苛立ち、周囲を疑ったり、わけもなく自分の行動にそわそわしたりする。
 主人公である敏幸は、ここの住人で、犯人ではない。ただ、階上に愛人が勝手に引っ越してきており、警察の取調べの中でそれが露見するのではないかと必要以上に怯えている。この敏幸であるが、事件のせいで、今まで目を向けなかった住人達に目を向け、いろいろ疑いの目で見るようになる。敏幸は他人を尾行すること、他人を言葉でいじめていくことへの快感を自分の中に発見するのである。
 その中で、仲のよかった住人と居酒屋の女将の不倫や、堅物だった老人の意外な素顔、隣人の元に通う謎の男、部下の意外な嗜好、普通のOLの裏の顔など、知らなかった人間の姿を発見していくこととなる。

 主人公は探偵役ではない。見ていたら情けないし、変な嗜好もある、あまり魅力的ではないおっさんである。ただ、疑いをかけていく中で、様々な人間の裏事情がみえてきて、それぞれの絡みも見えてくる。事件の解決も気になるところであったが、いったいこの人々はどんな秘密を隠し持っているのかが非常に気になってしまう。その中には、人がそれぞれ、自分とは違う幸福や不幸を持っていることが分かる。彼らと、比較して自分は実は幸福なんだろうなと感じることもある。なんてことのない隣人達にも、それぞれの心が広がっている。それを敏幸は発見していく。

 日笠のように、怪しいと感じていた奴が次第に仲間となって盛り上げていく様もなかなか面白い。
地味な作品なのかもしれないけれど、奥が深くて面白い作品だった。
 
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2008.09
20
(Sat)

「女王様と私」 

女王様と「オタク」の私


歌野 晶午
Amazonランキング:231908位
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 先日、1作買って読んだ歌野さんの本で、表紙の絵が好みのテイストだったので、借りてみた。
  主人公の男は、引きこもりで少女を趣味としているオタクである。もちろん働いておらず、親は腫れ物を扱うように接し、本人も親に暴力で当たったりする、よく例に挙げられる典型的なダメな感じの男である。
 この前読んだのが王道のThe推理小説だったのに、今回はオタクの妄想だったので、非常に驚いた。
 (この間に発刊された数多の作品を呼んでいないけれど、おそらく、コレだけがこんなテイストなんだろうと推測する。)

 引きこもりのオタクである彼は、ある日、妙に大人びた小学生の女の子に絡まれ、召使のように扱われることになる。彼女は、オタクを矯正することで、世の中から犯罪者を出すのを抑制するのだと豪語。彼女に罵倒されながらも、かいがいしく貢いでいく。
 そんな中、彼女の友人だった女の子が次々に殺されていき、男は事件を解決することになるが・・・。

 男は、美少女の人形といつも会話をしているため、文章が非常に気持ち悪い。2作目でこのテイストを読んでしまうと、多分この作品だけだろうが面食らってしまった。
 事件の様相は、とんでもない現代の小学生とその親の歪んだ関係を浮き彫りにした、苦々しい内容のように思える。モデルとしてもてはやされ、親も子供に金をかけ、自分の欲望をかけている。美容整形もまったく気にせず行ってしまう。そんな小学生が起こした、世も末といった犯罪。

 そう、見せかけておいて、やっぱりオマエ、ダメなヤツじゃん!!  となるのである。

 驚嘆、驚嘆。
2008.09
13
(Sat)

「鬼譚草紙」 


夢枕 獏,天野 喜孝
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 あとで書きますが、「陰陽師」を読んだ勢いで図書館で借りた本。平安時代を舞台として、男女の関係を通して人間に現れる鬼を描いた、妖艶な作品です。天野喜孝さんの挿絵をいくつも挟んでいるところが特徴。この絵もまた、非常に妖しい絵です。
 それと、装丁は、鈴木成一デザイン室。

□染殿の后 鬼のため 嬈乱せらるる物語
 徳の高い法師が、美しき后に魅入られてしまい、修行を捨て、鬼と化して再び后の前に思いを遂げようと現れる。后の持っていた、本当の気持ちが、独白によって明らかに。

□紀長谷雄 朱雀門にて女を争い 鬼と双六をする語
 平安の世の鬼には、芸術・音楽・詩文などを愛する者もいたようである。博雅や琵琶の「玄象」の噺も例に挙がっている。
 紀長谷雄は歌に長けているが、道真やその他の人物といつも比較されることに違和感を感じ、宮中の人間関係は苦手であった。彼の歌を好む鬼が、女をかけて双六をしようと誘いをかけてくる。

□篁物語
 小野篁(たかむら)は眉目秀麗で稀代の文人である。冥界とつながりがあるような噂もある。
その真相は、彼と、母親違いの美しい妹との秘密の恋愛であった。妹と結ばれてしまったが、周囲にばれ、妹は命を落としてしまう。どうしても妹と離れたくなかった彼が相談したのは葦屋道満であった。
2008.09
10
(Wed)

「お伽草紙」 

こんな楽しそうな太宰治なら誰が読んでも面白いと思う


太宰 治
Amazonランキング:31960位
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 最近太宰治の本が、デスノートの漫画家などの絵を使った装丁で売られていた。はたして、古典を手に取るきっかけになっているのかよくわからないところだ。太宰治で読んだことがあるのは、「走れメロス」と「人間失格」と、この「お伽草紙」だけである。メロスはいいとして、「人間失格」は暗かったという印象しか覚えておらず、(高校の冬休みの読書感想文のテーマに選んでしまい、読みながら年を越した記憶がある)、他の作品にもなかなか手が伸びない一因となっているような気がする。

 さて、この「お伽草紙」は、何故購入したのか分からないけれど、版は平成6年であるため、10年以上前に買ったのではないかと推測する。中学生くらいだったはずだ。読む本がなくなったため、本棚を見渡してこの本を選んだ。再読してみたけれど、コレがなかなか面白いのだ。

 「お伽草紙」は言わずと知れた、日本の昔話の原点となっている古典作品である。太宰治は、この中から、「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切り雀」を選び、大人の視点で冷静に各物語に「つっこみ」を入れながら、独自の話の展開を書いている。ちなみに「桃太郎」については、「日本一」をけなすことはできないとして、書くのを辞退されている(笑)。
 「カチカチ山」を例に挙げると、「婆汁」を作る罪もたいがいのものであるが、いさぎよい敵討ちではなく嬲り殺していくとは子供でも不審を抱くのではないか、殺し方が男らしくないのは、兎が女だからであり、愚鈍な狸に思いを寄せられた女の兎であるからこその残酷さに違いない・・・・・というようななんだかもっともらしい解釈をしながら、独特の話を作っていくから面白い。なぜ狸が殺されなければならなかったのか、最終的に行き着いた結論について、是非読んでもらいたい。

 お伽草紙のほかに、「聊斎志異」からヒントを得た「清貧譚」という話や、「新釈諸国噺」として西鶴の作品を骨子に太宰治なりのストーリーに仕立てた短編がたくさん収録されている。
 色々な出演者が、ちょっと屁理屈やであることや、途中で作者の呟きが現れたりする。人間の滑稽さが浮きだっていて非常におもしろく、実は深いような気がする。

 教科書に載っていて、「人間失格」のような重たい作品のイメージが強い太宰治であるけれど、この本にいたっては、楽しそうに文章が書かれており、読みやすくて面白い。これを機に、一冊くらいは代表作を何か読んでみてもいいかもしれない。
2008.09
05
(Fri)

「容疑者Xの献身」 

愛する女性のために容疑者になった男の純愛!



 直木賞受賞作の「容疑者xの献身」が文庫になったので早速購入しました。受賞字は知らなかったけれど、「ガリレオ」シリーズの3冊目にあたり、初の長編となっているもの。

  高校で数学を教えている石神は、密かに好意を抱いている隣人の花岡靖子が、母娘で前夫である富樫を自宅で殺害してしまったことを知る。自首しようとしていた靖子に、石神は自分に任せれば大丈夫と、犯行を隠す手立てを考えるのだ。
 石神は、花岡にはなにも伝えず、秘密裏に死体を処理。花岡母娘には、アリバイを作る行動を実行させ、警察に聞かれた場合の受け答えや、周囲への根回しを巧妙に指示していく。
 警察は、花岡を疑うが、確実に立証もできないが、否定もできないアリバイを潰すことができない。
 しかし、石神に強敵が現れる。物理学者の湯川学である。湯川と石神は、大学の同級生で、数学者として天才であった石神とはよきライバルであり友人だった。嬉しい再会を果たした二人であるが、しだいに湯川は悲しい事実に気がついてしまうのである。罪を犯した友人。その友人の思いは分かるが、みすみす真実を誰も知らずに終わるのが悔しい。その葛藤の末に湯川はどうするのか。

 石神の花岡を思うあまりにとる、あまりにも巧妙で壮絶な行動が目を見張る。崩せないアリバイを作り上げたところもすごいが、花岡を逮捕させないために究極の切り札を用意していた石神。そこまでして、片思いの相手につくせるものなのか。まさに容疑者の献身!という作品だった。

 
 短編のガリレオシリーズは、トリック重視だったけれど、こっちは心理的なものも、犯罪を犯罪で隠していくトリックも文句なしで面白い。犯行の日付に全く着目せず読んでいただけに、最後の仕掛けが分かったときはなんと!!と驚きました。
 シリーズだけど、コレだけ読んでも充分楽しめる1冊。ぜひ読んでみてください。
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4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

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