「家守綺譚」
文筆家の綿貫征四郎氏。
かつかつの暮らしの中、親友だった人の実家の管理人を、住み込みですることになった。親友・高堂は学生時代、ボートに乗ったまま行方が分からなくなっていた。
屋敷の庭は植物であふれかえっている。
ある雨の夜、床の間に飾られた掛け軸の中から高堂がボートに乗ってひょっこり現れた。それ以来、こっちの世界ではない世界からちょくちょく顔を出すようになる。
勇敢な飼い犬・ゴロー。隣のおかみさん。たまに現れる異型の者たち。四季の織り成す植物たち。そして高堂。
それらのものと関わりながら家守としての、ゆったりとした時間がすぎていく。
話はひとつの植物をテーマにした短編で構成されている。
一つ一つ短く、とてもたくさんの話があるように見えるが、すべてちゃんとつながっている。
明治や大正という時代だろうか?
しめっぽい、しっとりとした日本の世界観を感じた。植物や四季の移ろい。心を持った(ように感じられる)植物、河童や小鬼、龍などの異形の者。高堂が住んでいると思われる、神々しい日常とはかけ離れた世界。
今の日本では感じられない(昔感じていたかどうか知らないけれど)世界がそこにはあって、とても落ち着く文章だった。
梨木さんの本は、「からくりからくさ」を以前読んだ事がある。
りかさんという日本人形を扱った、現実のようで、すこし現実ではないような妖しい雰囲気の漂う、日本を感じる作品だった。
今まで他の作品を読もうかと考えていなかったけれど、今思えば大変好きな世界観を書いている作家さんなのではないかと思う。
また、なにか探して読んでみたい。
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