「きょうのできごと」
柴崎友香 / 河出書房新社(2004/03/05)
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何気ない若者達のひとときが、クリアに切り取られている作品です。
1作品ずつ、中心となる人物は違いますが、全てどこかでつながっています。自由奔放な女の子「けいと」。けいとの友達「真紀」と、彼氏でけいとの幼馴染の「中沢」。中沢の大学の「正道」や後輩「かまち」。彼らが正道の家に引っ越し祝いで集まったその日や、その周辺で起こったことが綴られています。
普段、頭の中で移ろっている認知や思考と同じように、主人公その人が頭の中で考えたり、見たり、行動したり、感じたりしたことが、そのまま切り抜かれて、書かれているかんじでした。
また、主人公達はみんな関西弁だというところもおもしろいところです。柴崎さんは関西の人なので、関西弁や、関西のディティールが詳しいです。
最後まで読んで、「で、結局何?」といわれてしまえば、それまでなのですが、私はおもしろいと感じました。
』 『「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」二月二十五日 午前三時』・・・・けいと
正道の引越し祝いの京都からの帰り道。中沢が運転する車の中で、けいとと中沢がとりとめもないことを話している。
『「ハニー・フラッシュ」三月二十四日 午後六時」』・・・・真紀
正道の引っ越し祝い。お気に入りのスカートを逃し、落ち込み、すさんだ真紀の話。酔ったまま西山とかまちの散髪をする。けいとはかまちが気に入ったようで、今回は「おたまじゃくしの卵の気分」について放している。真紀もそんな気分で中沢とゆっくりする。
『「オオワニカワアカガメ」三月二十五日 午後四時』・・・・中沢
京都からの帰り道。髪型をおかしくされて西山が暴れていると連絡が入る。中沢は、高校のときのけいとと、豊野という同級生とのある夏の日の出来事を回想しながら運転している。けいとはそのとき「オオワニカワアカガメ」の夢を見たと話していた。
その高校に真紀を連れて行ってみる。
『「十年後の動物園」三月二十四日 午後一時』・・・・かまち
引越しパーティの日。彼女と待ち合わせに遅刻し、彼女は甚く腹を立てている。そのまま天王寺動物園に連れて行くが、彼女の心は晴れないまま。そのうえ、夕方から京都へ行かねばならないことを告げたことで、なんでも人に流される弱気な性格について攻撃されてしまう。かわいいと、後にけいとに気に入られる彼だが、心配性で今日も腹を痛めてしまう・・・。
『「途中で」三月二十五日 午後三時』・・・・正道
暴れる西山、おびえるかまちの対処に振り回されてしまう夜。
西山はかまちの髪を切ろうとしたり、ふすまを直角二等辺三角形に綺麗に切り取ったり、コップをアロンアルファで台に綺麗に設置したりとどこかおかしい。
コンビ二に出かけるが、派手にこける。高校時代の同級生山田に会い、のちに朝方から山田の車で蟹を食べに行くことになる。
『きょうのできどとのつづきのできごと』
A面 けいとと真紀のできごと
けいとと真紀がコンビニに出かけたときに、けいとの恋愛についての話をしている場面。マカダミアナッツチョコレートを拾い、それを食べながら、たまたまやっていたなにかの映画の撮影を見る。
B面 映画の撮影現場を見に行った小説家のできごと
冬の夜、鴨川の撮影で、行定監督ひきいる「きょうのできごと」の撮影を見る作者の、事実と創作が入り混じった作品。
この2作は、うまい具合に交錯している。
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