☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2006.09
20
(Wed)

「照柿」 


高村 薫 / 講談社(2006/08/12)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:


照柿(下)


 これは、初めて読んだ高村薫さんの本です。
「ハードボイルド」「深くて難しそう」というイメージだけ持っていて、なかなか手を出せなかった作家です。
 「12年ぶりの全面改訂」という、なんだかすごい力が込められているような作品が、ちょうど新刊として並べられていて。しかも、ちょうど上司が高村薫はすごいと絶賛していたので、読んでみようと思いました。


 二人の男が、一人の女性をめぐり人生の歯車を狂わせて行く作品。
 合田雄一郎は、警視庁の警部補である。ホステス殺害事件の捜査に携わっており、捜査の過程でヤクザの賭場へ足を運び、賭博をやる中で情報を聞き出そうとするなど、一線を越えた捜査をしていく。
 一方の野田達夫は、ベアリングの製作工場で働いている。教師の妻と息子を持つ。熱処理の現場主任で、荒々しい現場を取り仕切っている

出版社 / 著者からの内容紹介
『マークスの山』に続く 合田刑事第2幕 「こんな人生、もう嫌なの」 その瞳が、2人の男を狂わせる。 難航するホステス殺害事件で、合田雄一郎は一線を越えた捜査を進める。平凡な人生を17年送ってきた野田達夫だったが、容疑者として警察に追われる美保子を匿いつつ、不眠のまま熱処理工場で働き続ける。そして殺人は起こった。暑すぎた夏に、2人の男が辿り着く場所とは――。現代の「罪と罰」を全面改稿。
 大変であるとか、ハードではなくて、ずっしりとしていて、重量感のある作品だったという意味でヘビィな作品でした。
 ミステリー好きなので、「ほぉ、殺人事件で、刑事モノか。」と手に取ったら大間違い。殺人事件は話のひとつの道具であって、そこに書かれているのはあまりにも深すぎる人間の内面でした。
 
 前作「マークスの山」という作品から出ている「合田刑事」。続き物だから、さぞかし切れ者で惹かれる男なのだろうと思えば、悩み、ねたみ、疲れ、そういう人間的なものが詰まった男。一目惚れした女性に執着する姿など、あまりにも率直で人間くさすぎて、主人公がこれで・・・と驚いてしまいました。
 一方の「野田達夫」にしても、工場労働という過酷な仕事でいつも感情むき出しで人とぶつかり合い、苛立つ姿があり、なじめない家庭があり、過去にトラウマや憎しみを持つ姿があり、それでいて繊細な感覚を持つ姿も・・・と非常に複雑な人間模様が見えてきました。

 人間の内面の書き方を助けているのが、それぞれの設定の書き込み方にもあるのかもしれません。
 例えば、警察内部のことが描かれるのは、こういう作品ではよくありますが、工場の仕事のことがことかまかに描かれることは少ないでしょう。最初は、延々と続く、工場内での作業や工程、問題、人間のぶつかり合い、不満などがあまりにも詳しすぎて、慣れることができませんでした。
難しくて、話に関係あるのか?、必要なのかな?と思うほど。
でも、それくらい、工業部品の製造工場という想像もしないような仕事のことを詳細に描くことで、それに従事する野田がどう考えて動いているかが分かってくるような気がしました。

 やはり、一番引き込まれたのは、ラストです。
ラストで、野田達夫が、ずっと囚われていた心を抑えることができなくなり、大切なものを自ら壊し、だんだん追い詰められていくまでの刻々と進む速さ。
 憎み、そして憧れていた旧友が堕落し、憔悴していく様を警察として眺めるしかできない合田。他人から自分自身と野田の間柄について尋ねられる中で、自分の中で野田がどういう人物だったのかをだんだん理解するところ。
 幼馴染の心のそこに潜んでいた闇の正体が、父親や目の前で死んだその情婦、激しかった母親だけではなく、合田の子供の頃に発した、たわいもない絶交の言葉にあったこと。
 そして、雨の中、憔悴しきって合田に電話をかけた野田と、電話越しに野田に必死で声をかける合田の姿。

 粗野で、自分中心に振舞っていた野田が、だんだん弱弱しくなり、その、繊細でもろい内面をみせていくところが、とても痛々しくてたまりませんでした。全ての原因が、じつは、こどものころにあったのではないかという、誰も責められず苦しい真実がとても重かったです。

 なんとも圧倒される作品でした。ぜひ読んでみてください。

 

 

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