「ニシノユキヒコの恋と冒険」
『ニシノユキヒコ』という一人の男性。
彼は人生を通してたくさんの女性と関わってきた。
西野君、ニシノ、ユキヒコ、ニシノくん、西野さん、幸彦・・・。
その10人の女性から見た『ニシノユキヒコ』像が描かれた、ちょっとかわった作品です。
ニシノくんは生涯、結婚せず色々な女性とつきあってきたようです。一人だけのときもあれば、二股・三股かけていることもある。ちょっと真面目に恋愛をしたい人にはお勧めできない様子の男の人です。
そのためか、たくさんの女性とつきあいますが、いつも女性のほうから去られてしまうことが多いようです。
かといって、彼はだらしのない、女たらしの、悪い男というわけではありません。心にすっと入ってきて、優しくも、少し凶暴でもある魅力のある男の人なのです。
女性達は、彼を好きでたまらないこともあれば、彼が自分を好きで、自分は距離を置こうとしていることも、互いに距離を保ってつきあっていることもあります。「本気で愛することは難しい」。最終的にはそうなってしまう人のようです。
ニシノユキヒコ自身も、姉の死から続くのか、女の人を心から愛することができない、ちょっと寂しい人だったよう。
でも、ニシノユキヒコが人を愛せなかった変な奴かといえば、荘でもないと思いました。逆にそんなに本気でひとを愛している人のほが珍しいのでは?冷めていますか(笑)
川上さんの作品はここ2年くらいで好きになりました。
仰々しい恋愛話ではなくて、ほっこりした雰囲気の話が気に入っています。
色でたとえるならば(?)
小川洋子さんがボルドーやブラウンならば、
川上弘実さんは、暖かい桃色のイメージがあります。 ◇パフェー
いきなりニシノユキヒコ死後のお話。恋人だったニシノさんの思い出を、娘の成長と共に振り返る。ニシノさんは死んで約束どおり、母娘の前に現れた。
◇草の中で
両親の離婚で、ちょっとアンニュイな少女。一応彼氏もできそうだが、そんな折に西野君とお姉さんの奇妙な光景を目撃して・・。
◇おやすみ
「凶暴なユキヒコ」。職場の先輩であるマナミのお話。ユキヒコは人を好きになるのを怖がっている・・・。
◇ドキドキしちゃう
カノコにとってユキヒコは元彼。でも「マナミ」と付き合っている間、カノコとユキヒコは旅行に出かける。何で別れてしまったんだろう?
◇夏の終わりの王国
最初は愛していたのに、急速に、なぜか心が離れてしまった「例」。
弱い西野くんの一面がチラリ。
◇通天閣
同居している不思議な女の子昴。通天閣の近くに住みたいという彼女は、これまた不思議な雰囲気のニシノとつきあっているようだ。そんな二人を観察しているうちにタマは・・・。
◇しんしん
隣の部屋のベランダ伝い、ネコのナウを介したお付き合い。
「正しい生活が怖い」という年下のニシノくんにきちんと距離をとったエリ子の話。
◇まりも
主婦ユリ子の短い、ひさしぶりのドキドキしているけれど、淡々とした、ワカモノニシノくんとの日々。
◇ぶどう
刹那的な恋愛に走る西野さんと、その死について(!!)。中年の西野さんと恋人になった女子大生愛。何かに追い詰められた西野さんは愛を閉じ込めてしまいます。
◇水銀体温計
大学でであった、高校の後輩だという西野君との思い出。
姉の死が心に影響を与えていることが如実にわかる一編。
膨張する宇宙の外側が何であるかを、知ることはできただろうか。
いきて、誰かを愛することができただろうか。
とめどないこの世界の中で、自分の居場所を見つけることが、できたのだろうか。
大学生の愛の最後の問いかけの答えは、ここまで読んできた話の中で感じ取れるでしょうか?
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://chaserainbows.blog29.fc2.com/tb.php/152-47b1f907



【ほんぶろ】〜本ブログのリンク集


