「ナイルに死す」
アガサ クリスティー, Agatha Christie, 加島 祥造 / 早川書房(2003/10)
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エジプト・ナイル川をさかのぼる豪華客船のなかで、若く・美しい資産家のリネットが銃で殺されます。犯人は同乗していた、リネットのかつての友人で、リネットの夫の恋人だったジャクリーンかと思われました。ジャクリーンは新婚の二人を追い回し、殺意を抱いていたからです。しかし、状況から彼女にはアリバイがあり、他に犯人がいることになりました。資産家のリネットには恨みを持つ人間や、財産を狙う人間がたくさんいる。一体誰が殺害したのか、旅行中のポワロが謎を解いていきます。
クリスティの話の中でも長いこの作品は、20数人もの登場人物がでてきます。全員があたりまえですが外国人の名前なのでわかりにくく、登場人物一覧なしでは読めません。
はじめの200Pくらいは、これら登場人物がエジプトへの旅へ出る前の前置きになります。彼ら一人一人の誰もが話の中でも重要であり、この前置きにはたくさんの「伏線」が張られています。
前置きもかならず読んでおいたほうがいいと思います。もしくは後からじっくり読んでみてもいいかもしれないですね。
中でも注目すべきは、リネット、ジャクリーン、サイモンの3人。この3人の愛憎が必然的に話の中心になってきます。
リネットは20歳の美しい女性であり、莫大な遺産を相続した資産家です。エジプトに豪邸を建てていて、それが今の一番の楽しみ。とある富豪から求婚されており、世界中の注目を浴びる“セレブ”です。
そんな彼女の元に親友ジャクリーンがやってきます。彼女はリネットとは違い、金持ちではなく、貧しいが、いつも希望に満ちた女性でした。ジャクリーンはリネットに婚約したことを告げ、愛なしでは生きていけないというほどの熱の入れよう。リネットは彼女を祝福し、彼女の婚約者であるサイモンを、リネットの屋敷で働くことを許可します。
ところが、2ヶ月ほど後、サイモンと結婚し、幸せの絶頂にいたのはリネットでした。一目でサイモンを気に入ったリネットは親友の恋人を奪ったのです。本人にはそんな気はなかったのかもしれません。
それは悲劇の始まりでした。リネットとサイモンの二人の新婚旅行を、裏切られたジャクリーンはひたすら追いかけるのです。危害を与えるわけでもないので法に訴えることもできません。余裕で微笑むじゃクリーンに、リネットたちは怒り、恐れ、精神的にまいってしまいます。それほどジャクリーンのサイモンへの愛は恐ろしく深かったのです。
この3人の話に他の乗客たちのそれぞれの問題が複雑に絡み、事件は混迷を極めていきます。
最後、ポワロが丁寧に一つ一つ、一人一人の抱える問題を紐解いて、最後の犯人にたどり着くあたりは、さすがといった感じ。
なんとなーく犯人は予想できるけれど手口までは分からない。犯人は分かるけれど最後つまらない!ということにはならない。
やっぱり面白いですね。
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