「太陽の塔」
女性に縁のない、妄想と幸せそうな男女を恨む、男汁あふれる京大生たちのファンタジー小説!?
ちょっと変な本を手にしました。新潮文庫夏の100冊の中の1冊。
主人公は京大農学部を休学中(5回生)の男。バイトと、元彼女の水尾さんの「研究」をしてすごしている。水尾さんにはクリスマスに振られてしまい、いまだその影を引きずっている。飾磨や井戸、高藪といった、同様に女気のないモサイ友人たちと、幸せであることを主張しあう浅はかな男女達に憂いを感じながらたくましく暮らしている。(勝手なイメージだけれど)京大生っぽい、やたら無駄に理論的な主人公たちの、くどくどしい語り口がおもしろい。
ずっとグダグダな生活やモサイ大学生たちの生活描写の小説なのかと思いましたが、水尾さんに関しては別。大坂万博の「太陽の塔」の魅力にとり憑かれ、叡山電鉄に乗って遠くを眺める不思議な印象の彼女。夢に入り込むといった不思議な場面もあります。
独り身にはこたえるクリスマス。四条河原町で「決起」するモサイ男集団。その喧騒の中、水尾さんを失った喪失感を1年たってようやく実感するラストはとてもしんみり。ここまでアホパワーあふれるないようだったのに、切なくなり、とても不思議でした。
四条河原町、吉田山、北白川別当交差点、叡山電鉄、「鴨川等間隔の法則」(笑)・・・・・。京都(特に京大付近)を中心とした舞台は近辺を知っている人にとってはとても親しみを感じます。
特に内容がある話ではなかったのですが、くどい文章がおもしろかったです。 私は京大生でも京都人でもありませんが、左京区大好きなので、そういう意味でもおもしろい本でした。
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