「私が語りはじめた彼は」
三浦 しをん / 新潮社(2007/07)
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大学教授の村川融。不倫を経て、家族を捨て、新たな家庭を持った奔放な男である。彼を取り巻く女や男、息子や娘たちは、彼を通してどのような愛を求めていたのだろうか・・・?
三浦しをんさんの作品で読んだのはこれが2作目です。前に読んだむかしのはなしが幻想的な感じだったので、リアルな社会が舞台で淡々とした文体で書かれた本作は意表をつかれた感じがしました。すべての短編の中心人物、村川融は幾人もの女性と不倫をし、とうとう妻や家族を捨て、別の女性と家庭を持ってしまう男です。不倫をテーマにした話はあまり好きではないのですが、この作品のいいところは、単に妻と愛人が男を取り合う話ではないところ。村川の不倫・離婚という一連の行動により、人生になんらかの影響を与えられてしまった人々の視点の短編で構成されています。
彼女を村川に奪われた大学の助手、村川と怪しい関係にあるらしい妻を持つ資産家の夫、村川の息子、村川の義理の娘を監視する男、村川の実の娘と交際する男。彼らが村川と、または村川にかかわる誰かとかかわる中で、それぞれの人間関係や恋愛に悩み答えを探していくような内容です。村川や、その妻、愛人の視点がでてこないのに、女たちや彼らに振り回されてきた人々の感情が伝わってきて、おもしろい作品でした。
□結晶
村川の下で働く講師の三崎。村川に命じられて、大学中に広まった村川の不倫の告発をする怪文書の出所を探ることになった。最初に、村川の妻のもとを訪れた。自分にも疑いがかかることがわかり、村川と浮気をした恋人だった女性に裏切られたのか?告発文を書いたのは妻なのか、それとも愛人の太田なのか、それとも?
□残骸
村川と関係のある、ある女性の夫。婿養子に入り、義父の会社を経営する「私」。最近妻が公開講座の教師である村川と不倫していることが分かった。疑惑による、兎に埋め尽くされた夢でうなされる日々。今まで妻や義父の言うとおりにしてきた男が始めての小さな反乱を起こす。「私」は妻を愛していたのか?家族を維持するという決意。
□予言
村川の実の息子・呼人。女性と不倫をし、自分を含め家族を捨てた父を恨んでいる。自暴自棄になり、高校にも真面目に通っていない。一番好きなバイクに乗る時間を、あるおとなしい少年とともにするようになる。父親にとって自分は何だったのだろうか?
□水葬
村川の再婚相手の娘を「見張る」男・渋谷。大学生に扮して、目的は知らないが、村川綾子の観察をし、日記をつける。自分を母親の差し金でやってきた「殺し屋」だと認識している綾子に、渋谷は興味を抱き始める。
□冷血
村川の実の娘・ほたるの婚約者である風変わりな教師・律。ほたるから、村川の再婚相手の娘であり、ほたるの「妹」にあたる綾子の自殺が本当で自殺だったのか調べてほしいと頼まれる。昔の怪しい伝手に連絡し、調べることにする。
□家路
再び三崎。村川が死んだとの知らせを聞き、葬儀に参列する。そこで、生前の村川の女たちを睨み付ける再婚相手・太田の悲しい、醜い姿を目撃する。三崎は、妻の伊都との間に子どもができないことが悩みだった。そんな妻と近所の仲のよい高校生は関係があるのではないかという疑念に苛まれる。
コメント
お久しぶりです。
と、ものすごく、構成に興味わきます!!
おもしろそうですねーぃ。
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お久しぶりです(^^)
こういうある一人の人物をいろんなひとの目から書いてある話大好きなんですよね。
淡々としていますがおもしろかったですよ♪