☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
  • 07 «
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • » 09
--.--
--
(--)

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007.09
01
(Sat)

「光の帝国」 


恩田 陸 / 集英社(2000/09)
Amazonランキング:20567位
Amazonおすすめ度:



 不思議な力を持つ一族、「常野」。目立たずひっそりと暮らしている彼らの、様々な人生。常人がうらやむような力の裏に、葛藤や恐怖、寂しさもあふれている。どこか物悲しいけれどやさしい、常野一族の短編集
です。

 恩田陸さんの作品を初めて読みました。ミステリーが好きなのになぜか読もうとしていなかったのですが、人に薦められて読んでみる事にしました。なぜか代表作ではないものを手に取りましたね。

 「常野一族」は、不思議な力を持つ人々の集団。名字が常野というわけでも、常野という土地に住んでいるわけでもない。昔は共同生活していたようだけれど、今は散り散りになってしまっている。常野とは、「権力を持たず、群れず、常に在野にあれ」という意味。人がうらやむような力や、それこそ権力をもてたり、悪用されたりする力を持つ人々がたくさんいるけれど、彼らはひっそりと暮らしてきた。そういう設定である。
 その力はなかなかおもしろい。膨大な書物を片っ端から記憶する-「しまう」-能力、将来のことを予知できる力、遠くの物事を聞き取ることができる「遠耳」、早く移動ができる「つむじ足」や、音楽に長けた者もいる。常人にはないうらやましくなる力ばかり。ただ、力があることが単にうらやましく、楽しい内容ではない。
 彼らの後ろには、その能力を自分のみが持つことを自覚し始めた若者、同じ力を持つことで、娘も同じ苦しみを味わうことを痛感している母親の葛藤など多大なる葛藤があるのだ。葛藤だけではない。「光の帝国」のように、迫害されるような悲劇も起こりうる。また、常人には見えない増殖していく謎の草をとる「草取り」の人々や、「裏返され」この世から消されないように、謎のものと対峙し続けている人々もいる。彼らは孤独に何らかの敵と戦い続けている。
 こういった悲しみや孤独に加えて、謎めいた常野の雰囲気が、この本全体に溢れていて、すこしぞっとする感じもありました。
 しかし、常野の人々が優しい人々であり、また、散り散りになったとこのの人々が徐々に出会いだす場面もあり、哀しいけれど暖かい不思議な本でした。
 
 やられた!!という大きな衝撃はなかったのですが、いいですね、恩田陸さん。まだまだ文体に浸れていないので(?)他にも読んでみようと思います。
「光の帝国」
□大きな引き出し
膨大な書物を「しまう」春田一家。姉の実美子は中2にして日本の書物は飽き足らず、シェイクスピアを原書でしまうのに励んでいる。小学4年生のの光紀は日本の古代からの書物に加え、父親の趣味でオーケストラの楽譜もしまい始めている。なぜ覚えていることを他人に言ってはならぬのか、覚えていることに意味があるのか疑問を抱き始める。

□二つの茶碗
三宅篤は仕事の関係で連れられたある料亭で、ある女性に出会う。その美耶子は将来を予見できる不思議な力があるという。夫婦になる二人の運命的な出会いの場面。

□達磨山への道
昔苦手だった父が話した「常野」という一族の聖地といわれる不思議な山の出来事。将来を暗示するものが達磨山では現れるというのだ。半信半疑で上った山で男が見たものは…。

□オセロゲーム
キャリアウーマンの拝島瑛子は「常野」の者である。彼女はいつも何かの影と戦っていた。先手を打ち、それらを「裏返す」必要がある。それらに「裏返される」ことはおそらく死を意味するのだろう。彼女の夫は「裏返され」てしまっていた。ある日、裏返されそうになったとき、彼女を救ったのは彼女の娘だった…。

□手紙
とあることで「常野」について調べ出した男の、旧友に宛てた書簡。彼が知ったのは「鶴先生」という常野と思われる人物。鶴先生は自分が幼少のころ先生をしていた老人であるが、なんと戦前にも同じような年齢で同じ人物と思われる老人がいたのである。どこか不気味なこの老人の存在を調べていくうちに・・・。

□光の帝国
戦争中の東北のある山の中にある分教場。ツル先生は一族の子どもたちを預かり暮らしていた。明るい子、悪戯をする子、弱い子…不思議な力を持った彼らはつらい時代も楽しく暮らしていた。しかし、一族が方々で軍部にさらわれていることを知ったツル先生は遠耳と一緒に一路東京へ。しかしその間に分教場に軍の手が伸び、ついに…。
 こども達を救えなかった、ツル先生の悲しみ。

□歴史の時間
亜希子は、ある日、学校で奇妙な感覚というか、経験をする。転校生の春田記実子と話している間に、見えるはずのないものが見え始め、やがては空を飛ぶ感覚に襲われる。それは見たことがあるようなどこか怖い風景であった。

□草取り
草取りをするという男についていく女。彼女は常人には見えない「草」を見せてもらった。ビルや看板、町中のいたるところ、そして人間にまで、その恐ろしく、おぞましい「草」は侵食していた。その草を彼らは取っているという。

□黒い塔
再び「亜希子」。OLになった亜希子は、単調でつまらない日々を暮らしていた。しかし、最近黒い塔の出てくる不気味な夢を見るようになる。
ある日、田舎に戻るバスが事故にあい、目の前でたくさんの人が死んでしまう。その亜希子の前に現れたのは、高校でであった春田記実子だった。彼女の出現で、亜希子は自分が常野という一族で、特別な力があるという記憶を取り戻す。
 ちなみに美耶子と三宅も登場。
 これから大きなものに立ち向かう亜希子の出発。

□国道を降りて…
フルート奏者である美咲は、婚約者の律と山の中を歩いている。律の故郷へ行く途中であり、律の「一族」が久しぶり集まり、そこで彼はチェロを演奏するというのだ。彼と歩きながら、自分の日本でのいじめられなじめず、その果てに音楽以外の音が聞こえなかった暗い時代から、海外で演奏し、抜群に音楽がうまく、不思議な青年・律との出会いについて反駁する。




 皆まで書くとおもしろくないのですが、個人的に「国道を降りて」が好きですね。ベタかなぁ。遠耳であるらしい律。でも常野である彼よりも注目すべきは美咲。最後にツル先生と出会う場面で分かりますが、美咲は、戦争中、分教場で殺された「岬」という女の子の生まれ変わりなのです。岬は音楽以外の音が聞こえませんでしたが、笛がとても上手な女の子でした。ツル先生は、美咲に出会い、ずっと心に抱えてきた闇に、一筋の光を見つけるのです。
 最初は不気味でしかなかったツル先生。登場人物としては、長い時代を生きる謎の人物として、とてもうまみのあるキャラクターですね。光の帝国があまりに残酷な悲劇だった分、最後の国道を降りてで救われた感があります。
 哀しい場面や、ゾッとする影を感じる話ですが、「ツル先生」という存在がやさしさでまとめてくれていると感じました。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://chaserainbows.blog29.fc2.com/tb.php/223-99191502

 | ホーム | 
ブグログ
プロフィール

4040

Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

最近の記事
カテゴリー
オススメ☆

Wishリスト
最近のコメント
最近のトラックバック
おすすめ

ブログリスト

RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧
フリーエリア
ブログ内検索
リンク
新しい本を探しにでかけよう♪

ほんぶろへ
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 ポータルブログへ
ブログ王へ
amazonさんより

フリーエリア

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。