「クワイエットルームにようこそ」
松尾 スズキ / 文藝春秋(2007/08)
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オーバードーズで精神病院に送り込まれた明日香の、自分と向き合う怒涛の14日間。
劇団・大人計画の松尾スズキ氏による小説です。芥川賞候補作でもあったそうです。内田有紀主演で映画かもされるようです。(最近見もしないのにエンターテイメント関係のよく読んでるなぁ)
薬の大量摂取(オーバードーズ)で死にかけた明日香が担ぎ込まれたのは精神病院。目を覚ましたら手足を拘束され、「クワイエットルーム」という特別病室に入れられていた。冷たいナースに、拒食・過食・自傷などの複雑な状態の患者達。私は正常でこんなところにいる必要はない!という明日香だが、恋人の鉄夫に迎えに来てもらえず、しばらく入院する羽目に。
奇想天外な発想をする松尾スズキ氏のことである。冒頭の明日香の夢がはちゃめちゃだったり、精神的に弱い人達の話であるので、どんなエキセントリックな話になるのかと不安な読み出しだったのですが、全然違いました。終わり方がすっきりした決別というかんじで、とても気持ちのよい話でした。
最初は、様々なぶっとんだ患者たちがコミカルに登場してきます。明日香は自分は正常で、違う違うという思いが強まるのですが、束縛の強い病院、迎えに来てくれない恋人の鉄夫やとんでもない親切をしてくれる友人のコモノ君という「外」の世界の人との接触を通して、自分が不安定であることに気がつき始めます。
そして、盗み癖のある西野という患者により鉄夫からの決別の手紙を読まれてしまうことで、自分が過去や現在の自分から逃げて、異常な方法で深みにはまってしまったことを漸く自覚するのです。
退院して、鉄夫や、仲良くなった患者たち、そしてクワイエットルームと完全に関係を断ち切ることで、ようやくもとの道に戻って新しく進みだすラストが好きです。なんとも荒療治な出直しでしたが、今っぽくて非常におもしろい作品でした。
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