「人生を救え!」
パンクな人生を突き進む町田康さんによる痛快な人生相談と、作家いしいしんじさんとの下町対話集
町田康さんは、「パンク侍斬られて候」の書評を見て読みたいと思った。それで、読んでみたけれど、とてもぶっ飛んでいてついていくのが精一杯というようなパワーのある本だった。それ以来、読むのに力がいるような気がして、本の前を通ってもしばし考えて、今日はやめておこうと手に取らずにいる。
この本を借りたのは、いしいしんじさんとの本であることで目に留まったからだ。いしいしんじというと、ほっこりしたイラストに暖かい童話を書く作家で、そんな人と、パンク作家の接点とは一体・・・!と気になってしまったのだ。
この本の前半は、毎日新聞の連載で、「どうにかなる人生」という人生相談の、町田康の回答が載っている。恋愛や家族、仕事、性格、生き方など様々な、なぜわざわざ町田康に・・・、という質問が寄せられている。町田康さんは自分体験や見知ったことを語り、意外に真面目にいいことが書いてあったり、逆になんの解決にもなっていなかったり、ときにはぶっとんだ回答を寄せていてとてもおもしろい。かたっくるしい言い回しでだーーーーっと畳み掛けるような文体もおもしろい。
後半が、町田康といしいしんじの対談「苦悩の珍道中」である。
いしいしんじさんがどういう人か知らなかったので、なぜこの2人なのかと思ってしまったが、読んでいてすぐにこの2人の空気が合っているなと思った。写真が掲載されていて、サングラスの怪しい風体の町田さんと、どこにでもいそうなおじさんのいしいさんが立っていた。二人とも下町の雰囲気をたくさん持った人だった。二人とも大阪の下町で育っていたらしい。
浅草や丸の内、お台場と、東京の街をとぼとぼ歩きながらの対談は、とても味があっておもしろい。
以下、気に入った文です。
「きさまは平々凡々たるなんのとりえもないアホーなのだから親方や先生のいうことをよく聞いて業務に励まんとあきませんよ。と日々いい続ければよいでしょう。」
息子を学校に任せてよいのかという質問の答えより。子どもが学校で傍若無人になってしまうのは学校のせいというより、「尊公はスペシャルだ」と特別扱いする親のしつけにより付け上がってしまうのであり、まずは自他の関係について通常のしつけをしましょうとのこと。
「やりたいことをやるためにはやりたくないことをやらねばならぬ」
やりたいことがないというフリーターの相談の答えより。まさにその通りです、先輩。
「お金を払う、つまり「おはらい」。お金をえるためにしたこと、欲、そういうなにかをふりはらいたいがために、身のまわりの財産を殖やすというより、純粋に、お金を捨てようとする。」
いしいしんじさんの自説「お金は『お札』=『おふだ』にちがいない」という話より。
そしてお札話でもうひとつ、
「(二千円札のデザインは)門ですよ。門。建造物。建物ってあれはおふだを貼っつける場所であって、オフだのシンボルになりえるわけがない。」
人の顔がないと強力な「おふだ」にならないそうだ。
「半びとり、みたいな。」
丸の内のカフェという場にひとりずつ集まり、めいめいに新聞を読んだり、携帯をいじったりしている風景をみた町田康さんの一言。場所は共有していても他方で別の情報に繋がっている状態をこう命名。
「やぶからぼうに、アポなしかぃ?」
江戸っ子口調のビジネス会話のひとつ。ツボでした。大阪は確かに、ビジネスなのに関西弁の人多いですね。
「なんでお台場には『お』がつくのかっていう・・・」
お台場の「お」があるがために書きにくい、台場でもすわりが悪いという話。「お」だけでじっくり考える。さすが物書きさん。
町田 康, いしい しんじ / 角川書店(2006/03)
Amazonランキング:69336位
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町田康さんは、「パンク侍斬られて候」の書評を見て読みたいと思った。それで、読んでみたけれど、とてもぶっ飛んでいてついていくのが精一杯というようなパワーのある本だった。それ以来、読むのに力がいるような気がして、本の前を通ってもしばし考えて、今日はやめておこうと手に取らずにいる。
この本を借りたのは、いしいしんじさんとの本であることで目に留まったからだ。いしいしんじというと、ほっこりしたイラストに暖かい童話を書く作家で、そんな人と、パンク作家の接点とは一体・・・!と気になってしまったのだ。
この本の前半は、毎日新聞の連載で、「どうにかなる人生」という人生相談の、町田康の回答が載っている。恋愛や家族、仕事、性格、生き方など様々な、なぜわざわざ町田康に・・・、という質問が寄せられている。町田康さんは自分体験や見知ったことを語り、意外に真面目にいいことが書いてあったり、逆になんの解決にもなっていなかったり、ときにはぶっとんだ回答を寄せていてとてもおもしろい。かたっくるしい言い回しでだーーーーっと畳み掛けるような文体もおもしろい。
後半が、町田康といしいしんじの対談「苦悩の珍道中」である。
いしいしんじさんがどういう人か知らなかったので、なぜこの2人なのかと思ってしまったが、読んでいてすぐにこの2人の空気が合っているなと思った。写真が掲載されていて、サングラスの怪しい風体の町田さんと、どこにでもいそうなおじさんのいしいさんが立っていた。二人とも下町の雰囲気をたくさん持った人だった。二人とも大阪の下町で育っていたらしい。
浅草や丸の内、お台場と、東京の街をとぼとぼ歩きながらの対談は、とても味があっておもしろい。
以下、気に入った文です。
「きさまは平々凡々たるなんのとりえもないアホーなのだから親方や先生のいうことをよく聞いて業務に励まんとあきませんよ。と日々いい続ければよいでしょう。」
息子を学校に任せてよいのかという質問の答えより。子どもが学校で傍若無人になってしまうのは学校のせいというより、「尊公はスペシャルだ」と特別扱いする親のしつけにより付け上がってしまうのであり、まずは自他の関係について通常のしつけをしましょうとのこと。
「やりたいことをやるためにはやりたくないことをやらねばならぬ」
やりたいことがないというフリーターの相談の答えより。まさにその通りです、先輩。
「お金を払う、つまり「おはらい」。お金をえるためにしたこと、欲、そういうなにかをふりはらいたいがために、身のまわりの財産を殖やすというより、純粋に、お金を捨てようとする。」
いしいしんじさんの自説「お金は『お札』=『おふだ』にちがいない」という話より。
そしてお札話でもうひとつ、
「(二千円札のデザインは)門ですよ。門。建造物。建物ってあれはおふだを貼っつける場所であって、オフだのシンボルになりえるわけがない。」
人の顔がないと強力な「おふだ」にならないそうだ。
「半びとり、みたいな。」
丸の内のカフェという場にひとりずつ集まり、めいめいに新聞を読んだり、携帯をいじったりしている風景をみた町田康さんの一言。場所は共有していても他方で別の情報に繋がっている状態をこう命名。
「やぶからぼうに、アポなしかぃ?」
江戸っ子口調のビジネス会話のひとつ。ツボでした。大阪は確かに、ビジネスなのに関西弁の人多いですね。
「なんでお台場には『お』がつくのかっていう・・・」
お台場の「お」があるがために書きにくい、台場でもすわりが悪いという話。「お」だけでじっくり考える。さすが物書きさん。
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