「世界は『使われなかった人生』であふれてる 」
沢木 耕太郎 / 幻冬舎(2007/04)
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深夜特急シリーズで有名な沢木耕太郎さんの本。
『世界は「使われなかった人生」であふれてる』という題名に惹かれて買った。
使われなかった、選ばなかった、選べなかった人生というものに思いをはせたり、そういう人生に関する短編集かと思ったら、なんと、映画評だった。
映画をほとんど見ない私にとっておもしろく読めるのか不安だったけれど、すんなり読むことができた。
「暮らしの手帖」に連載していた映画評の抜粋で、沢木さんが映画を見て感じたことが書かれている。批評めいたものや、薀蓄を語るものはなく、こういうところがよかった、この人の演技がよかったというようなことが書かれている。批判は、こうだったらなとちょっと思った…程度で控えめだ。
映画は、邦画はないが、ハリウッドからブラジルやインドなどの世界各地の多様な映画が紹介されている。
評なので、あらすじや、簡単な結末も書いてある。でも、私にはそれくらいがちょうどよかった。映画は、先が見えずハラハラさせられるところが苦手なのだと思う。突然の衝撃的な事実や、悲劇や苦痛、怒りが一気に来るのは恐ろしい。(効果音や映像ではなく)処理が追いつかないのかなんなのか。本は違う。ハラハラはしても、都度自分のペースで消化しながら進めるから。テレビドラマはもっと最悪だ。1週間も待たなくてはいけない。それは耐えられない。とはいえ、内容的にあまりおもしろくないので、高校のときくらいからあまり見ていないけれど…。
映画を楽しめている人は羨ましい。1800円出して見に行くのは億劫で、ビデオレンタルに行けば、どれが面白い、いい映画かわからない。それを見つけられる人はすごいと思う。
映画は見ればきっとおもしろいものだと思う。2〜3時間に濃縮する、テンポと配分はすごいだろうし、演技も、映像も本にはないおもしろさがあると思う。
最近の邦画で、読んだ小説の映画版や、面白い脚本家のものは借りてみることがある。この本を読んで、見てみたいなと思う映画も見つかったことなので、早速何か見てみようと思う。
・世界は「使われなかった人生」であふれてる →序章。『天使のくれた時間』
・出発するための裏切り →『マダム・スザーツカ』
・薄暮の虚無 →『偶然の旅行者』
・にもかかわらず、よし →『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』
・飛び立つ鳩を見送って →『日の名残り』
・天使が砂漠に舞い降りた →『バグダッド・カフェ』
・焼き払え! →『シルビーの帰郷』
・最後まで降りられない →『スピード』
・官能的にしてイノセント →『髪結いの亭主』
・不可視の街で →『タクシー・ブルース』
・敗残の可能性 →『黄昏に燃えて』
・海を待ちながら →『フィッシャー・キング』
・郷愁としての生 →『恋恋風塵』
・もう終わりなのかもしれない・・・・ →『許されざるもの』
・行くところまで行くのだ →『人生は琴の弦のように』
・悲痛な出来事 →『オリヴィエ・オリヴィエ』
・プレスリーがやって来た →『グレイスランド』
・水と緑と光と →『青いパパイヤの香り』
・滅びゆくものへの眼差し →『ダンス・ウィズ・ウルブズ』
・貧しさと高貴さと →『運動靴と赤い金魚』
・切れた絆 →『フォーリング・ダウン』
・老いを生きる →『春にして君を想う』
・新しい世界、新しい楽しみ →『ムトゥ踊るマハラジャ』
・わからないということに耐えて →『17歳のカルテ』
・男と女が出会うまで →『ワンダーランド駅で』
・ひとりひとりを繋ぐもの →『ローサのぬくもり』
・懊悩に沈黙が応える →『ドニー・ブラスコ』(邦題「フェイク」)
・笑い方のレッスン →『八日目』
・夢に殉じる →『ペイ・フォワード 可能の王国』
・父に焦がれて →『セントラル・ステーション』
・神と人間 →『トゥルーマン・ショー』
・そこには銀の街につづく細い道があった →終章
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