* bookmarker's bookshelf *

☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。

「薄闇シルエット」

恋愛と仕事。生き方をようやくさがしはじめた女性の物語。


角田 光代
Amazonランキング:49310位
Amazonおすすめ度:



 人の人生を羨ましく思ったり、逆に自分がちょっと勝ってるんじゃないかと思ったり、誰でもが持ちそうで、持っていることが後ろめたく感じるような感情を描きだしているおもしろい本だった。 主人公の主人公のハナは37歳、独身。友人のチサトと古着屋を共同経営している、マイペースな女性である。
この30代・独身女性がのんびりしている間に、友情・結婚・仕事に初めて正面からぶち当たり、次から次へと新たな悩みに遭遇していく。

 ハナは恋人に結婚を切り出されるが、全然気持ちが乗らず、断ってしまう。結婚しないといっていた親友の結婚に対して、素直に喜べない。結婚後の親友を見た時は、バリバリ働いていた彼女のの姿と違う、羨ましくないと違和感を感じたりもする。また、対極の存在である、既婚で子どももいる妹も登場する。ハナが持たない、主婦から見た気ままな人生を送る姉に対する苛立ちや、家事に追われる姿がある。

 仕事では、チサトと共に立ち上げた古着屋で、こじんまりとのらりくらりとやっていることが居心地がよかったハナ。しかしチサトはもっと先を見ていて、新たな業態にチャレンジしようとしていた。今までの関係や環境を壊そうとしているような気がして、ハナは反感を覚える。
 
 家庭に安定する、仕事で飛躍しようとする、このどちらにも羨望よりはむしろ、そのような道を選ぶなんて信じられないという感情がハナからは感じられる。
 しかし、ハナはあせり始める。久々に再会した元恋人。フリーターだった彼はいつのまにか正社員になるためスーツで働き、彼女もできていた。彼にこういわれるのである。

「あんたやおれの話って、したくないことでしか構成されてないんだよ。中古のブランド品は扱いたくない、消費社会に流されたくない、どこかに属して盲目的に服従したくない。したくないことを数え上げることで、十年前には前に進むことができたけど、今はもうできないと俺思うんだ。したくないって言い続けてたら、そこにいるだけ。その場で駄々こね続けるだけ」

 なんとも意表を突いた言葉!多くの人が「本当にやりたいこと」「本当の自分」なんてものを負いながら、実際は、やりたくないことばかりを見つけてあがいているのかもしれない。

 ハナの母親は、すべてを手作りして、盲目的に家庭に尽くし、それが家族の最上の喜びであると思っている女性で、ハナはそれが嫌で仕方がなかった。元彼と完全に決別し、この母親が急に亡くなったあたりを境として、自分だけが何も手に残らず、ただ立ち止まっている事実に向き合うようになる。

 自分で見つけて、考えて、やりたいと思える仕事。それをハナは探し、やってみようとする。生き生きとしてきて、仕事もうまくいき、働いている自分に少し酔いしれる。でも、少しうまくいったところで、周りの支援が多すぎて、自分の無力さに気づき、絶望する。
 新たな宝を見つけるたびに、新しい悩みや葛藤を得ていく。
ただのハッピーエンドでは終われない、人生のめんどうさ。他人と自分の人生の違い。本の表紙のように、どこか暖かくとげとげしくない雰囲気で書かれていてよかった。

 

 

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://chaserainbows.blog29.fc2.com/tb.php/281-9f72b697

 | HOME | 

プロフィール

4040

Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

カレンダー

09 | 2008/10 | 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

最近の記事

カテゴリー

オススメ☆

最近のコメント

最近のトラックバック

おすすめ

ブログリスト

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

ブロとも一覧

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

新しい本を探しにでかけよう♪

amazonさんより

フリーエリア

soraさん。

Powered By FC2ブログ