☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.07
28
(Mon)

「町長選挙」 

あの奇怪な精神科医・伊良部シリーズ第3弾!!


奥田 英朗
Amazonランキング:9988位
Amazonおすすめ度:



 トンデモ精神科医・伊良部一郎と、不良看護師マユミ嬢、再び現る。
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続いて第三弾は「町長選挙」だ。
 
 大病院院長の息子で、医学博士の肩書きを持つ伊良部。しかし、彼は医者とは思えない輩である。でっぷりと太っており、親の金をよく使うボンボン。仕事に対するやる気がなく、いつも患者を茶化している。子供のように駄々をこね、行動も常識ハズレなことをやってのける。
 そして必要のない注射をするのが大好き。
 
 そんな彼の元に、今回は、新聞社会長、IT社長、40代女優、若手の公務員が連れてこられては、災難に巻き込まれ、最後には、なぜかすっきりしていく・・・。タダのコメディではなく、意外にも社会の暗いところや、人間の悲しい性を描き出しているところもおもしろい。
カタルシス作用抜群の一冊である。

 □オーナー
 患者は、大日本新聞の会長であり、最大人気球団のオーナー・田辺満雄。通称「ナベマン」。明らかに、某Y新聞・某K球団のWさんのような人物である。そこまで似せていいのだろうか。
 高齢のナベマンは、球界再編でマスコミや世論というものに強いバッシングを受けており、それ自体はなんともないはずなのだが、閉所や暗所、フラッシュの光などに出会うとパニック状態に。そこで伊良部総合病院を紹介される。

□アンポンマン
 お次は、ITの最先端企業・ライブファストの社長・安保貴明。通称「アンポンマン」。明らかに、某L社の、ドラえもんみたいな名前の社長だった人をもじっている。本書ではアンパンマンをもじっている。だから、そこまで似せていいのか??
 ラジオ局の買収話で世間をにぎわせている安保は、ひらがなをかけなくなるという謎の事態に。本人はひらがなを書く必要はないと、気にしていないが、美人秘書が伊良部の元へ連れて行く。
 「レーシングカーで行動を走るのは危険だよ。性能、落としたら?」伊良部の一言であるが、安保は確かに理屈は間違ってはいないが、先を走りすぎていた。本書のアンポンマンは、ブレーキを少しかけたおかげで、事態が好転するようになっていった。
 本物はブレーキをかけられなかったようだ。今は何処にいってしまったんだろう。

□カリスマ家業
 こちらは40歳くらいのカリスマ女優・白木カオル。一般会社員の夫との間に娘がいる主婦である。東京歌劇団を退団後ずっと女優としてがんばり、とうとうこの年代になってブレークしたのだ。おそらく、黒××がモチーフであることはまちがいない。
 周囲は整形のオンパレード。彼女の自慢は整形ではない「自然」な美貌である。運動や食事、肌のコンディションには殊更気を使っているが、どうしてもかすかな皺ができては気になる。無理をしていないように見せるために、あえて普段は食べないお菓子や油モノをスタッフの目の前でほおばっては、異常なほどに運動をして取り戻そうとする。異常な執着を心配した社長は、スタッフの女の子のバンド仲間である看護婦が勤める医者にカオルを連れて行く。
 (ちなみに看護婦はマユミチャンである。彼女はパンクバンドでギターを弾いている。)

□町長選挙
 24歳の宮崎良平は公務員の研修として、東京の離れ小島・人口2000人の千寿島に来た。しかし底は、中央の常識が一切通じない、とんでもない町長選挙が行われていた。町長や土建会社を筆頭に、島を二分するこの選挙は、互いがなじりあい、そして買収の嵐。選挙で負けた陣営は次の選挙まで仕事がなく、給料も雲泥の差。選挙で勝った陣営は、予算をもぎ取り、本当に要るのか疑問がある施設を作るのである。
 良平もどっちにつくのかと毎日脅しを上司達から受けてまいってしまっている。
誰も正しいことを行わない。正しいことをすべきなのに、そっちのほうが悪者になる。どうにもできないこの状況に、2ヶ月の間の診療所のピンチヒッターとして伊良部が現れ・・・・。
  公務員の不正を小さなコミュニティでとことん描いていて、非常に腹立たしいが、最後は島民愛にあふれる悪くない終わり方だった。伊良部がめちゃくちゃするわりには、いい役割を果たしているという絶妙な一作。
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