☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2008.08
07
(Thu)

「まほろ駅前多田便利軒」 


三浦 しをん
Amazonランキング:84823位
Amazonおすすめ度:



 直木賞を受賞した三浦しをんさんの「まほろ駅前多田便利軒」を、ようやく図書館で発見し読んでみた。「直木賞」ときくと重々しいが、非常に、それも拍子抜けするくらいライトな口当たり(?)の本だった。
 
 便利屋を営む多田の元に、高校の同級生だった行天が転がり込んでくる。ぶっきらぼうな多田も職業が怪しいが、行天は風貌もさることながら、仕事も帰る家さえもなく、この上なく怪しい。高校のときは全く喋らない変人だった行天は、意外にも喋るときはたくさん喋る。行動はぼーっとしていたり、危険も冒すほどハチャメチャであるが、意外に気を使っていることもある。
 この二人が便利屋の仕事を通して、色々な人の問題や事件に出会っていく様子が、短編の連作の形で書かれている。棄てられた犬の引き取り先を探したり、小学生の送り迎えの仕事から小学生を使った麻薬密売を知ってしまったり、風俗嬢の男女のいざこざに巻き込まれたりする。
 便利屋という雑務と探偵的な事件が起こるところがおもしろく、男と男の友情が美しい話であるが、家族の愛情の話も大きな要素になっている。多田は子供を亡くし、離婚した過去を持ち、行天は体外受精により同性愛の女性の子供の「親」になったようである。家族という面で二人とも寂しい経験を持っている。行天は謎だったけれど、多田がひたすら真実に向き合うことができずに破滅を招いてしまったと自分を責めている心情などはうまいなぁと思った。

 この話は、キャラクターがつぼにはまる人も多いかもしれない。飄々と常識とズレて生きる行天のような男は実際にいたら大変だけれど、好かれるタイプのキャラクターである。
 でも、もしかしたら男性にはおもしろくないのかもしれない。よく、異性が描く異性は同性から見ると「いないよ、そんなやつ!」みたいになるように思うが、離れても最後は元に戻ってくる男の友情なんてそうそうないのではないかと思うのだ。べつにBLではないけれど、男と男の距離がちょっと近い雰囲気を感じられないこともない。
 
 
 直木賞の重みを一切感じず、らく~に楽しめる1冊です。
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