☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2009.05
10
(Sun)

「鉄鼠の檻」 


京極 夏彦
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 京極堂シリーズ第4弾「鉄鼠の檻」です。

  今回も相変わらず京極さんは冷たく、関口氏はウジウジしており、エノさんは言い間違いを多発していました。木場修さんは出てきませんでした。
 
 箱根の山奥にある禅寺で起こる殺人事件と、寺と人々に巣食った憑き物を京極堂が落とします。

 中尊寺敦子と鳥口は取材先の寺に行くために仙石楼という旅館に立ち寄ります。その雪の降り積もった庭先に、突如として僧の遺体が現れる。座禅を組んだ姿のままで・・・。
 敦子と、足を突っ込むことになった関口らは、亡くなった僧がいた取材先でもある明慧寺を訪れます。
 そこは俗世と隔別された修行の地。座禅に禅問答を行い、大悟を目指して僧たちが厳しい修行をしている。文明社会をまったく受け付けない雰囲気を持っています。そこで第2の殺人が起こっていきます。
 どこかシンボリックに捨て置かれた遺体の謎に、僧侶たちに動機となる確執はありそうだが、調べども真相は見えず、警察は次から次へと容疑者を増やしていくばかりです。

 この禅寺・明慧寺の存在も不気味な謎を秘めています。京極堂ですら知らない、存在するはずのない寺なのです。いつからそこにあるのか、何のために作られた寺なのか、資金源はどこなのかがまるでわからない。檀家を持たず、葬式をあげたりもしない。純粋に修行のみをしている寺など、この世の中で存在するのか、事件と並んで大きな謎で、事件の真相より気になるところです。
 そこにこの世のものか、違うものなのか。「年をとらない」、恐ろしげな歌を唄う振袖少女がそこかしこに姿を現し、人々をぞっとさせる。「姑獲鳥の夏」で出てきた人物も現れ、殺人に寺の謎、幽霊のような少女・・・The京極堂シリーズといった舞台装置があらわれます。

 この本で深く語られているのが「禅」についてです。禅は言葉を排除していくため、言葉を巧みにに操って人の認識を崩していく京極堂はまともに戦うことはできないと、事件への関与を固く拒否します。
日本の禅宗といえば栄西の臨済宗と、道元の曹洞宗、というのは誰でも知っている知識。中国で発生したこの禅がどのような派閥の分かれ方をして日本に伝わったか、この2つの違いは何なのか。そして禅とは何なのかについて、僧侶や京極堂の口を通してみっちり説明されているのが大きな特徴です。(自分は曹洞宗なのですがほとんど知らないことばかりなのでかなり勉強になりました。)
 
 
 これまでの作品と比べるとえぐさは少ないけれど薄気味悪い作品でした。

 どうやって?<何故?<誰が?<この寺は一体・・・?

 という感じで、寺の存在が一番気になったし、おそらく一番手の込んでいたところだと思います。


 今回は文庫版を買いました。厚さが53mmもあるという非常に読みにくい読みごたえのある製本になっています。気に入った1行を探したいと思いながら読むのですが、いまだかなわずです。

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