☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2009.04
29
(Wed)

「名探偵の掟」 

 「本格推理小説」を推理小説家自ら一刀両断、皮肉にも笑い飛ばす、痛快な1冊。

東野 圭吾
Amazonランキング:336位
Amazonおすすめ度:



 自称・頭脳明晰・博学多才・行動力抜群の名探偵、天下一大五郎と、某県警捜査一課警部の大河原番三の二人が次々に起こる「難事件」を解決していくミステリー。・・・という形で「本格推理小説」とは何かを追求していく短編集。非常に楽しい1冊です。

 アガサクリスティやクイーン、日本では松本清張に江戸川乱歩に始まり、西村京太郎・・・さまざまな「本格推理小説」が無数に存在します。
 本格推理小説「天下一シリーズ」の大河原も、天下一も本格推理小説「天下一シリーズ」の登場人物であることを自覚しており、時に触れては、こういう小説の定説にぼやきをいれてきます。話の冒頭から、大河原が自分は天下一の引き立て役であり、事件の真相はわかっているが知らない振りをして、わざと的外れな捜査をし、探偵を持ち上げるのは大変だなどと嘯いたりします。そして、「あなた、本当に密室事件なんて面白いんですかい」などと、本格推理小説のへんてこなパターンや設定を嘆きます。 それは下の目次を見てもらえば分かるように、事件の舞台や登場人物の関係が不自然さや、殺害方法・解決方法のまわりくどさへの疑問ばかり。どれも「確かに」とうなずいてしまうものばかりです。そして、探偵小説が用意できる意外性には何があるのかとことん突き詰めていくラストが用意されています。

  一つ一つの短編で、お決まりの事件が起こるわけですが、事件の解決よりも、その変な世界に突っ込みを入れることがメインなので登場人物の名前や、途中の細かい部分が面白いほど投げやりです。ただ、事件の真相は通常想定するような結果ではなく、ものすごく変な点をついてくるから驚きがあります。

 
プロローグ
第一章 密室宣言-トリックの王様
第二章 意外な犯人-フーダニット
第三章 屋敷を孤立させる理由(わけ)-閉ざされた空間 
第四章 最後の一言-ダイイングメッセージ
第五章 アリバイ宣言-時刻表トリック
第六章 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論-二時間ドラマ
第七章 切断の理由-バラバラ死体
第八章 トリックの正体-???
第九章 殺すなら今-童謡殺人
第十章 アンフェアの見本-ミステリのルール
第十一章 禁句-首なし死体
第十二章 凶器の話-殺人手段
エピローグ
最後の選択--名探偵のその後

 
 
 「毒笑小説」のシリーズに似た、東野さんの笑いの部分と、ミステリー作家としての思いが詰まった1冊。ミステリー好きの方は読んでみてはいかがでしょうか?

 ちなみに、ドラマ化されていると帯に書かれていたので、見てみました。やっぱり映像化はきついみたいですね。推理小説のセオリーにつっこみを入れる場面への流れが不自然だし、小説を読みながらこそ実感できる掟が多いのでドラマとしては少し微妙でした。
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