「ブラフマンの埋葬」
小川 洋子 / 講談社(2004/04/13)
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「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
芸術家たちが集う<創作者の家>で、世話人として働く僕。ある日僕は傷ついた小さな動物を見つけてこっそり飼うことにした。
碑文彫刻師の彫った墓碑から、動物を「ブラフマン」と僕は名づけた。
動物は私は犬だと思って読みましたが、どこにも犬とは書いていないので何の動物か分かりません。でもブラフマンの様子は、ことこまかに描かれていて、とても愛らしい。僕とブラフマンの、短い間ですが幸せな時間が描かれます。
動物の設定だけでなく、話の舞台も謎に包まれています。日本のようで日本ではないかもしれない。出版社によって作られた創作者の家。車もあるし、街から遠い、森の中の話のようである。でも石棺への埋葬、石棺の並ぶ遺跡など、日本ではないような雰囲気もある。
「ブラフマン」とは、「Brahman」 ヒンドゥー教またはインド哲学における宇宙の根本原理。自己の中心であるアートマンは、ブラフマンと同一(等価)であるとされています(梵我一如)。サンスクリットの「力」を意味する単語から来ています。倫理で習いましたが難しいですね。
どっちかとゆうとバンドの「ブラフマン」が思い浮かんでしまいます。
碑文彫刻家=墓石に字を彫る人や、石棺に埋葬していたという風習や遺跡。ブラフマンという動物の名前。タイトルからも生や死がテーマになっていることが分かります。最後はとてもあっけなく、せつない。別れとはそんな突如としたものですね。
とてもゆったりとした文章。きれいな雰囲気。そして単調にすすんで迎えるラストのさみしさ。(ゆえに、男性の読者や、動物嫌いの人にはちょっと受け入れられないかもしれないですね)
私は動物を飼ったことがないので(実家でウサギを飼っていましたが、とても遠い存在でした)、あまり感慨が沸きにくいのですが、とても落ち着いた雰囲気になる本でした。
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