* bookmarker's bookshelf *

☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。

「グラスホッパー」


伊坂 幸太郎 / 角川書店(2004/07/31)
Amazonランキング:13,725位
Amazonおすすめ度:



伊坂幸太郎さんの作品をはじめて読んだ。
『オーデュボンの祈り』という作品をよく目にしていたけれど、厚くてちょっと敬遠していた。「グラスホッパー」は、たまたま返却棚に置かれていて、ちょうどいい厚さだったので読んでみることにした。

 全体的に、暗くて重量感のあるストーリー。
裏社会の人が中心だし、人が死ぬところの描写がグロテスクなので・・・。
 
 話は、復讐心に燃える「鈴木」、功名心を求める「蝉」、過去の生産に走る「鯨」の、3人の男の視点から描かれている。
 視点が変わるたびに、それぞれの苗字の印鑑が押されているのが、また重々しさをかもし出している。
 
 「鈴木」は、妻を殺した男に復讐するため相手の会社に潜り込んだ普通の若者。敵は、非合法の会社「フロイライン(令嬢)」の社長の息子である。しかし、その敵は、鈴木の目の前で何者かに背中を押され、車に轢かれ死んでしまった。社長息子の背中を押し、復讐の機会をうばった「押し屋」なる人物を鈴木は追いかける。
 「鯨」の仕事は「自殺を強要させる」ことだ。政治家などの依頼で多くの人間を自殺させてきた。しかし、彼はその自殺者の亡霊に悩まされている。すべての過去を清算するために、関わる人間を次々に消していくことを決める。
 「蝉」は、岩西という男が持ってくる仕事、つまり人殺しを、実行する役目をおっている。命令どおりに動く束縛から解放され、自由を手に入れるために、「大物」を自分の手でしとめようと考える。
 
 このばらばらだった3人が、(人を殺しながら)徐々に絡まってくる過程が絶妙。途中からは、鯨⇒蝉⇒鈴木⇒押し屋の追いかけっこみたいになっている。中心には「押し屋」の存在があるのですね。

 最期は、意外にあっさりとした終わり方だったけれど、全体的に重々しいので、私はあれくらいの都合のよさで終わってくれてほっとしています。「押し屋」の人柄と、丸く収まるところが初心者にも優しい(笑) 
 鈴木さんが、京極「巷説百物語」の山岡百介とちょっとかぶったかも。知らないうちに利用(活用)されて、最期になにがどうなっているのかわからなくなって、説明されて「そんな〜」みたいな感じが。

 「グラスホッパー」は「バッタ」という意味。
芝生の上をホップしている虫か。生物で習った「群集相」のバッタが人間になぞらえられている。黒色で、翅が長く、凶暴なバッタだ。群集相は密集した場所で暮らすので、餌がすぐに不足する。そのため、別の場所に飛べるように飛翔力が高くなっている。都会にうごめく人間は、この虫のようであり、しかし、遠くには飛べないので、ただただ凶暴であるということらしい。
 そうではないことを信じたいものですねぇ・・・。

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グラスホッパー/伊坂幸太郎

グラスホッパー/伊坂幸太郎いかにも伊坂幸太郎らしいストーリーです。以下ネタバレに注意してください。

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