* bookmarker's bookshelf *

☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。

「初ものがたり」


宮部 みゆき / 新潮社(1999/08)
Amazonランキング:28,657位
Amazonおすすめ度:


再読です。
 このブログ上で宮部みゆきの本を紹介するのは初めてです。
でも、中高校生のときは宮部作品が好きでよく読んでいました。でも大学に入ってから減ってしまいました。
 私が読んだ宮部作品はなぜか時代小説のほうばかり。
「模倣犯」など、現代が舞台の作品は「レベルセブン」「魔術はささやく」くらいで読んでいないんですねぇ。宮部さんの描く、江戸の町が、人がとても生き生きしていて大好きなんです。すごくソフトで読みやすい。

 題名通り、蕪、白魚、鰹、柿、鮭、桜といった「初もの」が絡む謎の事件が並んでいます。
 本所深川一体をあずかる岡っ引きの茂七、通称「回向院の旦那」が中心となり、江戸で起こる謎の事件を追っていくという短編集です。江戸の町人の生活が生き生きとしていて、事件も江戸時代ならではの事情を含ませた奥深いものです。

 ところが、この話を読んで、誰もが持つ感想は、おそらく「美味しそう!」でしょう。
 江戸の町には珍しく、夜中まで屋台を開いている稲荷寿司屋。
茂七が通うこの屋台で出される料理。稲荷寿司だけではなく、椀物、酒、菓子まで出してしまう屋台で、しかもものすごくうまい。稲荷寿司、味噌汁、すいとん、白魚蒲鉾、桜餅、熱燗・・・。読んでいるだけで、すごく食べてみたくなります。
 新しくできたこの屋台であるが、近くの悪党どもがそこだけは近寄らず、一目置いている。そして、店の親父も正体不明である。茂七は武士だったのではないかと踏んでいるが、どうにもわからない。この稲荷寿司屋の親父の謎も、短編全てを通してからんでいておもしろい。

 この初ものがたりは、この作品の中で話が完結していない。宮部さんは続き物として書いていたようだけれど、掲載誌の廃刊でそれがストップしてしまったそうです。いつか続編が書かれることを切望するばかりですね。
 
<収録作>
  お勢殺し    
  白魚の目    
  鰹千両     
  太郎柿次郎柿  
  凍る月
  遺恨の桜

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