「アフターダーク」
「海辺のカフカ」の次に選んだ村上春樹の作品は「アフターダーク」。
古本屋さんが一日限定500円セールを開催。あまり種類がなく、好きな作家のはちゃんと新刊を買おうという謎の配慮をした結果、表紙がシックなこの作品を手に取った。
話は、謎の「視点」から見た夜の街から始まる。短い夜の間に、様々な人間が錯綜する。それを「視点」が淡々と見つめている。
ファミレスで時間をつぶす少女マリ。
そこに現れたタカハシという姉エリの同級生。その出会いから一晩の物語が始まるといってよいだろう。
タカハシの知り合いの、カオルやコオロギと呼ばれる女性達との出会い。そして、そのラブホテルで起こった、中国人売春婦への暴行。
マリは、それらの出会いを通して、姉と自分の間にある壁のようなものについて考える。
一方、視点は姉・エリのほうにも及んでいる。エリは眠っている。その部屋を視点は眺める。つくはずのないテレビに映る謎の男。夜の間にエリと、エリの部屋で起こっている不可解な状況。エリはなぜ眠っているのだろうか。
そして、もう一人、中国人売春婦に暴行し逃げた男・白川である。IT関係の会社で淡々と残業をこなす。彼は家族もいる、なぜそのような行為に出たのかはわからない。ただひとつの事実は、中国人たちが彼を追い始めたということである。
近づきそうで近づかない接点。
謎のまま、分からないこと。
結局なんだったのだろう?なにが伝えたかったのだろう?
分からない。海辺のカフカでもそうだった。すべてはうやむやのまま、一体どういうことだったんだろうという疑問を残して終わる。
村上春樹の作品はこういう感じのものなのかもしれない。何冊読んでもつかみきれそうにない。難しい。
でも、作品の雰囲気は好きだった。夜ではあるけれど、裏社会を扱っているわけではない。そういう部分もあるにはあるけれど。いい感じでスリリングだった。
女の子と男の子の出会い、女の子の姉への感情。そういうところは好きだった。姉に夜中の体験はよく分からなかったけれど。そして「視点」はそもそも何だったのかも分からない。
また時間を置いて読んでみよう。
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