「トウキョウソナタ」
とある家族の破壊と再生を描いた映画の小説版。
朝の情報番組で、「トウキョウソナタ」の番組宣伝を見た。香川照之と小泉京子が出ていて、家族が崩壊と再生する話のようだった。地味な部類の映画である。その日、仕事中に立ち寄った書店で「トウキョウソナタ」の小説本を発見した。小説から映画化されたわけではなく、映画の脚本を元に作られた小説だった。劇中写真が掲載されているため価格が高い。映画は見たいと思っても、DVDレンタル化される間に見たい気持ちと記憶をなくしてしまうので、本でよんでしまうことにした。
舞台は佐々木家。竜平はタニタの総務部で真面目に働いてきた。しかし突然リストラを言い渡される。家族にいえぬまま、職安ではプライドを捨てきれず、公園をぶらつき、浮浪者の炊き出しに並んだりしている。
恵美は、趣味がお菓子作りの主婦である。家族のことを思っているが、なかなかみんなそっけなくて、本音が見えない。
貴は大学生で、つまらない毎日を過ごす中、突然舞い込んだ米軍入隊の応募。それが現状打開の術と思い、家族に内緒で申し込み、合格する。
健二は周囲に敏感な小学生。飄々としたものいいから担任と思わぬところで対立関係に。父に頑として習わせてもらえなかったピアノを、給食費を使い密かにレッスンに通う。実は天才的な素質を持つことが後に分かる。
みんなそれぞれナイショの秘密がある。それがテーマの話しであるが、仰々しい秘密を隠し持っているわけではない。それは打ち明けられないこと、反発と嘘、気づいていなかった不満や寂しさ。そのようなものである。
それがぽろぽろと表面化し、お互いが自分の思いのたけをぶつけ、一度壊れる。家族として一緒に住んでいても所詮他人なのだ。分かり合えない。 そんな破滅の危機が佐々木家に訪れるが、皆、戻る場所はやはり家しかないのである。お互い照れくさそうに戻り、歩み寄ってもう一度やり直す。そんな優しい話だった。
ありがちの筋といえばおしまいだけど・・・、きっと映画で見たらいい俳優さんが出ているので、かなりいい雰囲気がしそう。本は小説としてだけ読むと、視点がころころ変わって流れがぶつ切りなのでちょっと変かもしれない。だいいち、本では、健二が弾くピアノを聴くことができない。映画を覚えていたら、一度見てみたいと思う。
田中 幸子
Amazonランキング:196408位
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朝の情報番組で、「トウキョウソナタ」の番組宣伝を見た。香川照之と小泉京子が出ていて、家族が崩壊と再生する話のようだった。地味な部類の映画である。その日、仕事中に立ち寄った書店で「トウキョウソナタ」の小説本を発見した。小説から映画化されたわけではなく、映画の脚本を元に作られた小説だった。劇中写真が掲載されているため価格が高い。映画は見たいと思っても、DVDレンタル化される間に見たい気持ちと記憶をなくしてしまうので、本でよんでしまうことにした。
舞台は佐々木家。竜平はタニタの総務部で真面目に働いてきた。しかし突然リストラを言い渡される。家族にいえぬまま、職安ではプライドを捨てきれず、公園をぶらつき、浮浪者の炊き出しに並んだりしている。
恵美は、趣味がお菓子作りの主婦である。家族のことを思っているが、なかなかみんなそっけなくて、本音が見えない。
貴は大学生で、つまらない毎日を過ごす中、突然舞い込んだ米軍入隊の応募。それが現状打開の術と思い、家族に内緒で申し込み、合格する。
健二は周囲に敏感な小学生。飄々としたものいいから担任と思わぬところで対立関係に。父に頑として習わせてもらえなかったピアノを、給食費を使い密かにレッスンに通う。実は天才的な素質を持つことが後に分かる。
みんなそれぞれナイショの秘密がある。それがテーマの話しであるが、仰々しい秘密を隠し持っているわけではない。それは打ち明けられないこと、反発と嘘、気づいていなかった不満や寂しさ。そのようなものである。
それがぽろぽろと表面化し、お互いが自分の思いのたけをぶつけ、一度壊れる。家族として一緒に住んでいても所詮他人なのだ。分かり合えない。 そんな破滅の危機が佐々木家に訪れるが、皆、戻る場所はやはり家しかないのである。お互い照れくさそうに戻り、歩み寄ってもう一度やり直す。そんな優しい話だった。
ありがちの筋といえばおしまいだけど・・・、きっと映画で見たらいい俳優さんが出ているので、かなりいい雰囲気がしそう。本は小説としてだけ読むと、視点がころころ変わって流れがぶつ切りなのでちょっと変かもしれない。だいいち、本では、健二が弾くピアノを聴くことができない。映画を覚えていたら、一度見てみたいと思う。
「ラットマン」
みんな違うものの見方をしている。その当たり前が起こした悲劇。
誤解から生じた苦悩をミステリ仕立てで描いた1作。新聞広告で見て読みたいと思っていた本で、図書館で借りました。広告になんと書いてあったかは覚えておりません。
結成14年目のアマチュアバンドがとあるスタジオに集まっている。そこで、元バンドメンバーのひかりが、倉庫でアンプの下敷きになって死んでいるのが発見される。
この物語の中心はメンバーの姫川という男である。彼は元ドラムのひかりと高校生のときから交際しているが、結婚する気はなく、堕胎の選択をしようと重苦しい雰囲気であった。また、姫川は、ひかりの妹で、現在のドラム担当の桂が密かに気になっている。ひかりが死ぬ直前、姫川は不審な行動に出る。
彼は折に触れて、過去の禍々しいできごとを思い出している。余命いくばくかの父親、疲弊しいらだつ母親、そして姉。彼が幼い頃に父親は死んだが、その直前に小3の姉が死んだようである。それも、不審な事故で。そこから母親は完全に心を閉ざしてしまい、姫川は哀しい子供時代をすごしてきた。なぜ姉が死んだのか、幼い記憶を元に姫川はとある結論を導き出している。
ひかりが事故死ではない証拠は発見されるのか、姫川の過去の記憶の真相はなんなのか・・・?
ある人が見るとねずみに、別の人がみるとおっさんに見えるラットマンの絵のように、物事は人それぞれのストーリーごとに違って見えている。それは当たり前のことで、事件の解釈も当然そうなる。
ただ、その解釈の違いがにより、互いに不信感・疑いを抱いた事実はぬぐいさることができない。姫川のように23年もの間、母親との間に深い谷ができるようなことも起こりうる。
この話は、簡単な話に見えて、登場人物各々が違った見解を持っているがために、私もも間違った検討をつけて読んでしまいます。それがラストに近づくにつれてぱらりぱらりとめくれていくように真相がわかっては勘違いし、また真相が分かる・・・と真実が発覚していくおもしろさがあります。是非読んでみてください。
誤解から生じた苦悩をミステリ仕立てで描いた1作。新聞広告で見て読みたいと思っていた本で、図書館で借りました。広告になんと書いてあったかは覚えておりません。
結成14年目のアマチュアバンドがとあるスタジオに集まっている。そこで、元バンドメンバーのひかりが、倉庫でアンプの下敷きになって死んでいるのが発見される。
この物語の中心はメンバーの姫川という男である。彼は元ドラムのひかりと高校生のときから交際しているが、結婚する気はなく、堕胎の選択をしようと重苦しい雰囲気であった。また、姫川は、ひかりの妹で、現在のドラム担当の桂が密かに気になっている。ひかりが死ぬ直前、姫川は不審な行動に出る。
彼は折に触れて、過去の禍々しいできごとを思い出している。余命いくばくかの父親、疲弊しいらだつ母親、そして姉。彼が幼い頃に父親は死んだが、その直前に小3の姉が死んだようである。それも、不審な事故で。そこから母親は完全に心を閉ざしてしまい、姫川は哀しい子供時代をすごしてきた。なぜ姉が死んだのか、幼い記憶を元に姫川はとある結論を導き出している。
ひかりが事故死ではない証拠は発見されるのか、姫川の過去の記憶の真相はなんなのか・・・?
ある人が見るとねずみに、別の人がみるとおっさんに見えるラットマンの絵のように、物事は人それぞれのストーリーごとに違って見えている。それは当たり前のことで、事件の解釈も当然そうなる。
ただ、その解釈の違いがにより、互いに不信感・疑いを抱いた事実はぬぐいさることができない。姫川のように23年もの間、母親との間に深い谷ができるようなことも起こりうる。
この話は、簡単な話に見えて、登場人物各々が違った見解を持っているがために、私もも間違った検討をつけて読んでしまいます。それがラストに近づくにつれてぱらりぱらりとめくれていくように真相がわかっては勘違いし、また真相が分かる・・・と真実が発覚していくおもしろさがあります。是非読んでみてください。
「陰陽師 瀧夜叉姫」
陰陽師シリーズ8弾!平安の世を揺るがした「あの武将」が蘇る!?
陰陽師瀧夜叉姫 下 (3) (文春文庫 ゆ 2-18)

夢枕獏さん「陰陽師」シリーズの第8巻の「瀧夜叉姫」。
安倍晴明と源博雅の二人のやりとりがたまらなく好きで、ずっと読んできたが8巻も出ているのかと驚きだ。飄々とした晴明と、優しいいい漢である博雅の同性愛かと見まがうほどの(笑)友情。ふたりが「ほろほろと」酒を飲み、自然や人の世を考える場面。巧みな方術で事件を解決していくおもしろさ。平安時代という雅なのに闇を持ち合わせているという時代の描き方。すべてがいい!
「瀧夜叉姫」は、シリーズに珍しく長編である。
都では不穏な事件が相次いでいる。ものを盗らずに去っていった妖しい女の盗賊が、昔活躍した貴族や、豪腕で名の知られた俵藤太という男の屋敷に現れた。また、あいついで孕み女が腹をひきさかれて惨殺される事件も起こっていた。
そんな中、晴明は賀茂保憲に、平貞盛という男に会うように頼まれる。晴明は例のごとく博雅と向かうのであるが、貞盛の顔には不気味な瘡が広がり、挙句に、顔が現れて別の人格がしゃべるという異様な状態であった。晴明は、この病の原因を探っていくのであるが、都に起こる様々な事件とあわせて、「ある人物」が関係していることに気がつく。そして、死んだ「ある人物」を蘇らせ、都をひっくりかえす事態を引き起こそうとする陰謀にたどり着くのである。
冒頭で、幼い晴明や、道萬が出会った、人間の体の一部を集めている妖しい百鬼夜行や、詳しく説明される様々な人物がやがて、物語の重要なシーンであることが分かってくる。
歴史上の有名な武将たちの史実を上手い具合に絡ませて作られたストーリーが、スリリングで面白い。今回の晴明は、大技を繰り出すわけではなく、地味な方術や機転を組み合わせ事態を好転させていく。ただ事態がおもしろくなればと茶々を入れる道萬が、ちょっとピンチになったりする。たくさんの人が出てきて、色々な役割を果たしていくのもまた面白い。
下巻では、復活した「武将」が己を取り戻していく最後のくだりや、真の黒幕が分かってくる。なかなか壮絶で切ない話だった。
平安に現れる鬼たちや、晴明たち陰陽師が繰り出す術もおもしろいけれど、酒を飲みながら人や世界について、知らず知らずに「呪」に触れてしまう博雅と晴明の会話もおもしろい。
わざとらしいといえばそうかもしれないけれど、世の中も神も鬼も人の心が作っているのだという考え方が、当たり前だけど気づかないから新鮮でおもしろいと思う。こういう話は哲学になるのか、宗教になるのか・・・。気になるなぁ。すごいぞ博雅。
「桜が桜であるがごとくに、博雅は博雅のごとくにありたいと、そういったではないか」
「言ったか」
「言った」
「しかし、何故、それがおもしろいことなのだ晴明」
「人は、なかなか、今おまえが言うたごとくには生きられぬ」
「うむ」
「誰ぞを手本とし、その誰ぞのように生きようとすることはあっても、
己のごとくに生きようとは、人は思うたりはせぬものだ」 (58頁)
陰陽師瀧夜叉姫 下 (3) (文春文庫 ゆ 2-18)

夢枕獏さん「陰陽師」シリーズの第8巻の「瀧夜叉姫」。
安倍晴明と源博雅の二人のやりとりがたまらなく好きで、ずっと読んできたが8巻も出ているのかと驚きだ。飄々とした晴明と、優しいいい漢である博雅の同性愛かと見まがうほどの(笑)友情。ふたりが「ほろほろと」酒を飲み、自然や人の世を考える場面。巧みな方術で事件を解決していくおもしろさ。平安時代という雅なのに闇を持ち合わせているという時代の描き方。すべてがいい!
「瀧夜叉姫」は、シリーズに珍しく長編である。
都では不穏な事件が相次いでいる。ものを盗らずに去っていった妖しい女の盗賊が、昔活躍した貴族や、豪腕で名の知られた俵藤太という男の屋敷に現れた。また、あいついで孕み女が腹をひきさかれて惨殺される事件も起こっていた。
そんな中、晴明は賀茂保憲に、平貞盛という男に会うように頼まれる。晴明は例のごとく博雅と向かうのであるが、貞盛の顔には不気味な瘡が広がり、挙句に、顔が現れて別の人格がしゃべるという異様な状態であった。晴明は、この病の原因を探っていくのであるが、都に起こる様々な事件とあわせて、「ある人物」が関係していることに気がつく。そして、死んだ「ある人物」を蘇らせ、都をひっくりかえす事態を引き起こそうとする陰謀にたどり着くのである。
冒頭で、幼い晴明や、道萬が出会った、人間の体の一部を集めている妖しい百鬼夜行や、詳しく説明される様々な人物がやがて、物語の重要なシーンであることが分かってくる。
歴史上の有名な武将たちの史実を上手い具合に絡ませて作られたストーリーが、スリリングで面白い。今回の晴明は、大技を繰り出すわけではなく、地味な方術や機転を組み合わせ事態を好転させていく。ただ事態がおもしろくなればと茶々を入れる道萬が、ちょっとピンチになったりする。たくさんの人が出てきて、色々な役割を果たしていくのもまた面白い。
下巻では、復活した「武将」が己を取り戻していく最後のくだりや、真の黒幕が分かってくる。なかなか壮絶で切ない話だった。
平安に現れる鬼たちや、晴明たち陰陽師が繰り出す術もおもしろいけれど、酒を飲みながら人や世界について、知らず知らずに「呪」に触れてしまう博雅と晴明の会話もおもしろい。
わざとらしいといえばそうかもしれないけれど、世の中も神も鬼も人の心が作っているのだという考え方が、当たり前だけど気づかないから新鮮でおもしろいと思う。こういう話は哲学になるのか、宗教になるのか・・・。気になるなぁ。すごいぞ博雅。
「桜が桜であるがごとくに、博雅は博雅のごとくにありたいと、そういったではないか」
「言ったか」
「言った」
「しかし、何故、それがおもしろいことなのだ晴明」
「人は、なかなか、今おまえが言うたごとくには生きられぬ」
「うむ」
「誰ぞを手本とし、その誰ぞのように生きようとすることはあっても、
己のごとくに生きようとは、人は思うたりはせぬものだ」 (58頁)
人間の幸福
事件を通して見えてきた、隣人達の人間模様。
宮本輝さんというと、「文学」を書いている人で、いつも私が読んでいるような本とは違った、重く深いテーマを扱っているというイメージがある。多分、教科書やら国語の便覧に載っているような人だったからだ。教科書に載ると、話の一部を、文節は・・・この文法が・・・作者は何を言おうとしているのか・・・などなど、話を楽しめたものではない。一気にツマラナイ印象になってしまう。宮本さんの作品もきっと小難しいものなのだろうと、勝手に思っておりました。
この文庫を偶々発見したのだが、「ミステリー」に区分されるようだった。ミステリー好きとしては、ミステリーの切り口なら読みやすいに違いないと思い、購入した。表紙の絵がブリューゲルだったのも買った一因ですが、残念ながら表紙の絵が表示されておりませんね。
とある民家で主婦が殺害される事件が話しの発端である。主婦は隣のマンションの住人とトラブルを起こしていた。もちろん住人達は、警察の執拗な取調べ・聞き込みを受けることとなる。なかなか犯人は捕まらず、住人達は苛立ち、周囲を疑ったり、わけもなく自分の行動にそわそわしたりする。
主人公である敏幸は、ここの住人で、犯人ではない。ただ、階上に愛人が勝手に引っ越してきており、警察の取調べの中でそれが露見するのではないかと必要以上に怯えている。この敏幸であるが、事件のせいで、今まで目を向けなかった住人達に目を向け、いろいろ疑いの目で見るようになる。敏幸は他人を尾行すること、他人を言葉でいじめていくことへの快感を自分の中に発見するのである。
その中で、仲のよかった住人と居酒屋の女将の不倫や、堅物だった老人の意外な素顔、隣人の元に通う謎の男、部下の意外な嗜好、普通のOLの裏の顔など、知らなかった人間の姿を発見していくこととなる。
主人公は探偵役ではない。見ていたら情けないし、変な嗜好もある、あまり魅力的ではないおっさんである。ただ、疑いをかけていく中で、様々な人間の裏事情がみえてきて、それぞれの絡みも見えてくる。事件の解決も気になるところであったが、いったいこの人々はどんな秘密を隠し持っているのかが非常に気になってしまう。その中には、人がそれぞれ、自分とは違う幸福や不幸を持っていることが分かる。彼らと、比較して自分は実は幸福なんだろうなと感じることもある。なんてことのない隣人達にも、それぞれの心が広がっている。それを敏幸は発見していく。
日笠のように、怪しいと感じていた奴が次第に仲間となって盛り上げていく様もなかなか面白い。
地味な作品なのかもしれないけれど、奥が深くて面白い作品だった。
宮本輝さんというと、「文学」を書いている人で、いつも私が読んでいるような本とは違った、重く深いテーマを扱っているというイメージがある。多分、教科書やら国語の便覧に載っているような人だったからだ。教科書に載ると、話の一部を、文節は・・・この文法が・・・作者は何を言おうとしているのか・・・などなど、話を楽しめたものではない。一気にツマラナイ印象になってしまう。宮本さんの作品もきっと小難しいものなのだろうと、勝手に思っておりました。
この文庫を偶々発見したのだが、「ミステリー」に区分されるようだった。ミステリー好きとしては、ミステリーの切り口なら読みやすいに違いないと思い、購入した。表紙の絵がブリューゲルだったのも買った一因ですが、残念ながら表紙の絵が表示されておりませんね。
とある民家で主婦が殺害される事件が話しの発端である。主婦は隣のマンションの住人とトラブルを起こしていた。もちろん住人達は、警察の執拗な取調べ・聞き込みを受けることとなる。なかなか犯人は捕まらず、住人達は苛立ち、周囲を疑ったり、わけもなく自分の行動にそわそわしたりする。
主人公である敏幸は、ここの住人で、犯人ではない。ただ、階上に愛人が勝手に引っ越してきており、警察の取調べの中でそれが露見するのではないかと必要以上に怯えている。この敏幸であるが、事件のせいで、今まで目を向けなかった住人達に目を向け、いろいろ疑いの目で見るようになる。敏幸は他人を尾行すること、他人を言葉でいじめていくことへの快感を自分の中に発見するのである。
その中で、仲のよかった住人と居酒屋の女将の不倫や、堅物だった老人の意外な素顔、隣人の元に通う謎の男、部下の意外な嗜好、普通のOLの裏の顔など、知らなかった人間の姿を発見していくこととなる。
主人公は探偵役ではない。見ていたら情けないし、変な嗜好もある、あまり魅力的ではないおっさんである。ただ、疑いをかけていく中で、様々な人間の裏事情がみえてきて、それぞれの絡みも見えてくる。事件の解決も気になるところであったが、いったいこの人々はどんな秘密を隠し持っているのかが非常に気になってしまう。その中には、人がそれぞれ、自分とは違う幸福や不幸を持っていることが分かる。彼らと、比較して自分は実は幸福なんだろうなと感じることもある。なんてことのない隣人達にも、それぞれの心が広がっている。それを敏幸は発見していく。
日笠のように、怪しいと感じていた奴が次第に仲間となって盛り上げていく様もなかなか面白い。
地味な作品なのかもしれないけれど、奥が深くて面白い作品だった。
「女王様と私」
女王様と「オタク」の私
先日、1作買って読んだ歌野さんの本で、表紙の絵が好みのテイストだったので、借りてみた。
主人公の男は、引きこもりで少女を趣味としているオタクである。もちろん働いておらず、親は腫れ物を扱うように接し、本人も親に暴力で当たったりする、よく例に挙げられる典型的なダメな感じの男である。
この前読んだのが王道のThe推理小説だったのに、今回はオタクの妄想だったので、非常に驚いた。
(この間に発刊された数多の作品を呼んでいないけれど、おそらく、コレだけがこんなテイストなんだろうと推測する。)
引きこもりのオタクである彼は、ある日、妙に大人びた小学生の女の子に絡まれ、召使のように扱われることになる。彼女は、オタクを矯正することで、世の中から犯罪者を出すのを抑制するのだと豪語。彼女に罵倒されながらも、かいがいしく貢いでいく。
そんな中、彼女の友人だった女の子が次々に殺されていき、男は事件を解決することになるが・・・。
男は、美少女の人形といつも会話をしているため、文章が非常に気持ち悪い。2作目でこのテイストを読んでしまうと、多分この作品だけだろうが面食らってしまった。
事件の様相は、とんでもない現代の小学生とその親の歪んだ関係を浮き彫りにした、苦々しい内容のように思える。モデルとしてもてはやされ、親も子供に金をかけ、自分の欲望をかけている。美容整形もまったく気にせず行ってしまう。そんな小学生が起こした、世も末といった犯罪。
そう、見せかけておいて、やっぱりオマエ、ダメなヤツじゃん!! となるのである。
驚嘆、驚嘆。
先日、1作買って読んだ歌野さんの本で、表紙の絵が好みのテイストだったので、借りてみた。
主人公の男は、引きこもりで少女を趣味としているオタクである。もちろん働いておらず、親は腫れ物を扱うように接し、本人も親に暴力で当たったりする、よく例に挙げられる典型的なダメな感じの男である。
この前読んだのが王道のThe推理小説だったのに、今回はオタクの妄想だったので、非常に驚いた。
(この間に発刊された数多の作品を呼んでいないけれど、おそらく、コレだけがこんなテイストなんだろうと推測する。)
引きこもりのオタクである彼は、ある日、妙に大人びた小学生の女の子に絡まれ、召使のように扱われることになる。彼女は、オタクを矯正することで、世の中から犯罪者を出すのを抑制するのだと豪語。彼女に罵倒されながらも、かいがいしく貢いでいく。
そんな中、彼女の友人だった女の子が次々に殺されていき、男は事件を解決することになるが・・・。
男は、美少女の人形といつも会話をしているため、文章が非常に気持ち悪い。2作目でこのテイストを読んでしまうと、多分この作品だけだろうが面食らってしまった。
事件の様相は、とんでもない現代の小学生とその親の歪んだ関係を浮き彫りにした、苦々しい内容のように思える。モデルとしてもてはやされ、親も子供に金をかけ、自分の欲望をかけている。美容整形もまったく気にせず行ってしまう。そんな小学生が起こした、世も末といった犯罪。
そう、見せかけておいて、やっぱりオマエ、ダメなヤツじゃん!! となるのである。
驚嘆、驚嘆。
「鬼譚草紙」
あとで書きますが、「陰陽師」を読んだ勢いで図書館で借りた本。平安時代を舞台として、男女の関係を通して人間に現れる鬼を描いた、妖艶な作品です。天野喜孝さんの挿絵をいくつも挟んでいるところが特徴。この絵もまた、非常に妖しい絵です。
それと、装丁は、鈴木成一デザイン室。
□染殿の后 鬼のため 嬈乱せらるる物語
徳の高い法師が、美しき后に魅入られてしまい、修行を捨て、鬼と化して再び后の前に思いを遂げようと現れる。后の持っていた、本当の気持ちが、独白によって明らかに。
□紀長谷雄 朱雀門にて女を争い 鬼と双六をする語
平安の世の鬼には、芸術・音楽・詩文などを愛する者もいたようである。博雅や琵琶の「玄象」の噺も例に挙がっている。
紀長谷雄は歌に長けているが、道真やその他の人物といつも比較されることに違和感を感じ、宮中の人間関係は苦手であった。彼の歌を好む鬼が、女をかけて双六をしようと誘いをかけてくる。
□篁物語
小野篁(たかむら)は眉目秀麗で稀代の文人である。冥界とつながりがあるような噂もある。
その真相は、彼と、母親違いの美しい妹との秘密の恋愛であった。妹と結ばれてしまったが、周囲にばれ、妹は命を落としてしまう。どうしても妹と離れたくなかった彼が相談したのは葦屋道満であった。
「お伽草紙」
こんな楽しそうな太宰治なら誰が読んでも面白いと思う
最近太宰治の本が、デスノートの漫画家などの絵を使った装丁で売られていた。はたして、古典を手に取るきっかけになっているのかよくわからないところだ。太宰治で読んだことがあるのは、「走れメロス」と「人間失格」と、この「お伽草紙」だけである。メロスはいいとして、「人間失格」は暗かったという印象しか覚えておらず、(高校の冬休みの読書感想文のテーマに選んでしまい、読みながら年を越した記憶がある)、他の作品にもなかなか手が伸びない一因となっているような気がする。
さて、この「お伽草紙」は、何故購入したのか分からないけれど、版は平成6年であるため、10年以上前に買ったのではないかと推測する。中学生くらいだったはずだ。読む本がなくなったため、本棚を見渡してこの本を選んだ。再読してみたけれど、コレがなかなか面白いのだ。
「お伽草紙」は言わずと知れた、日本の昔話の原点となっている古典作品である。太宰治は、この中から、「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切り雀」を選び、大人の視点で冷静に各物語に「つっこみ」を入れながら、独自の話の展開を書いている。ちなみに「桃太郎」については、「日本一」をけなすことはできないとして、書くのを辞退されている(笑)。
「カチカチ山」を例に挙げると、「婆汁」を作る罪もたいがいのものであるが、いさぎよい敵討ちではなく嬲り殺していくとは子供でも不審を抱くのではないか、殺し方が男らしくないのは、兎が女だからであり、愚鈍な狸に思いを寄せられた女の兎であるからこその残酷さに違いない・・・・・というようななんだかもっともらしい解釈をしながら、独特の話を作っていくから面白い。なぜ狸が殺されなければならなかったのか、最終的に行き着いた結論について、是非読んでもらいたい。
お伽草紙のほかに、「聊斎志異」からヒントを得た「清貧譚」という話や、「新釈諸国噺」として西鶴の作品を骨子に太宰治なりのストーリーに仕立てた短編がたくさん収録されている。
色々な出演者が、ちょっと屁理屈やであることや、途中で作者の呟きが現れたりする。人間の滑稽さが浮きだっていて非常におもしろく、実は深いような気がする。
教科書に載っていて、「人間失格」のような重たい作品のイメージが強い太宰治であるけれど、この本にいたっては、楽しそうに文章が書かれており、読みやすくて面白い。これを機に、一冊くらいは代表作を何か読んでみてもいいかもしれない。
最近太宰治の本が、デスノートの漫画家などの絵を使った装丁で売られていた。はたして、古典を手に取るきっかけになっているのかよくわからないところだ。太宰治で読んだことがあるのは、「走れメロス」と「人間失格」と、この「お伽草紙」だけである。メロスはいいとして、「人間失格」は暗かったという印象しか覚えておらず、(高校の冬休みの読書感想文のテーマに選んでしまい、読みながら年を越した記憶がある)、他の作品にもなかなか手が伸びない一因となっているような気がする。
さて、この「お伽草紙」は、何故購入したのか分からないけれど、版は平成6年であるため、10年以上前に買ったのではないかと推測する。中学生くらいだったはずだ。読む本がなくなったため、本棚を見渡してこの本を選んだ。再読してみたけれど、コレがなかなか面白いのだ。
「お伽草紙」は言わずと知れた、日本の昔話の原点となっている古典作品である。太宰治は、この中から、「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切り雀」を選び、大人の視点で冷静に各物語に「つっこみ」を入れながら、独自の話の展開を書いている。ちなみに「桃太郎」については、「日本一」をけなすことはできないとして、書くのを辞退されている(笑)。
「カチカチ山」を例に挙げると、「婆汁」を作る罪もたいがいのものであるが、いさぎよい敵討ちではなく嬲り殺していくとは子供でも不審を抱くのではないか、殺し方が男らしくないのは、兎が女だからであり、愚鈍な狸に思いを寄せられた女の兎であるからこその残酷さに違いない・・・・・というようななんだかもっともらしい解釈をしながら、独特の話を作っていくから面白い。なぜ狸が殺されなければならなかったのか、最終的に行き着いた結論について、是非読んでもらいたい。
お伽草紙のほかに、「聊斎志異」からヒントを得た「清貧譚」という話や、「新釈諸国噺」として西鶴の作品を骨子に太宰治なりのストーリーに仕立てた短編がたくさん収録されている。
色々な出演者が、ちょっと屁理屈やであることや、途中で作者の呟きが現れたりする。人間の滑稽さが浮きだっていて非常におもしろく、実は深いような気がする。
教科書に載っていて、「人間失格」のような重たい作品のイメージが強い太宰治であるけれど、この本にいたっては、楽しそうに文章が書かれており、読みやすくて面白い。これを機に、一冊くらいは代表作を何か読んでみてもいいかもしれない。
「容疑者Xの献身」
愛する女性のために容疑者になった男の純愛!
直木賞受賞作の「容疑者xの献身」が文庫になったので早速購入しました。受賞字は知らなかったけれど、「ガリレオ」シリーズの3冊目にあたり、初の長編となっているもの。
高校で数学を教えている石神は、密かに好意を抱いている隣人の花岡靖子が、母娘で前夫である富樫を自宅で殺害してしまったことを知る。自首しようとしていた靖子に、石神は自分に任せれば大丈夫と、犯行を隠す手立てを考えるのだ。
石神は、花岡にはなにも伝えず、秘密裏に死体を処理。花岡母娘には、アリバイを作る行動を実行させ、警察に聞かれた場合の受け答えや、周囲への根回しを巧妙に指示していく。
警察は、花岡を疑うが、確実に立証もできないが、否定もできないアリバイを潰すことができない。
しかし、石神に強敵が現れる。物理学者の湯川学である。湯川と石神は、大学の同級生で、数学者として天才であった石神とはよきライバルであり友人だった。嬉しい再会を果たした二人であるが、しだいに湯川は悲しい事実に気がついてしまうのである。罪を犯した友人。その友人の思いは分かるが、みすみす真実を誰も知らずに終わるのが悔しい。その葛藤の末に湯川はどうするのか。
石神の花岡を思うあまりにとる、あまりにも巧妙で壮絶な行動が目を見張る。崩せないアリバイを作り上げたところもすごいが、花岡を逮捕させないために究極の切り札を用意していた石神。そこまでして、片思いの相手につくせるものなのか。まさに容疑者の献身!という作品だった。
短編のガリレオシリーズは、トリック重視だったけれど、こっちは心理的なものも、犯罪を犯罪で隠していくトリックも文句なしで面白い。犯行の日付に全く着目せず読んでいただけに、最後の仕掛けが分かったときはなんと!!と驚きました。
シリーズだけど、コレだけ読んでも充分楽しめる1冊。ぜひ読んでみてください。
直木賞受賞作の「容疑者xの献身」が文庫になったので早速購入しました。受賞字は知らなかったけれど、「ガリレオ」シリーズの3冊目にあたり、初の長編となっているもの。
高校で数学を教えている石神は、密かに好意を抱いている隣人の花岡靖子が、母娘で前夫である富樫を自宅で殺害してしまったことを知る。自首しようとしていた靖子に、石神は自分に任せれば大丈夫と、犯行を隠す手立てを考えるのだ。
石神は、花岡にはなにも伝えず、秘密裏に死体を処理。花岡母娘には、アリバイを作る行動を実行させ、警察に聞かれた場合の受け答えや、周囲への根回しを巧妙に指示していく。
警察は、花岡を疑うが、確実に立証もできないが、否定もできないアリバイを潰すことができない。
しかし、石神に強敵が現れる。物理学者の湯川学である。湯川と石神は、大学の同級生で、数学者として天才であった石神とはよきライバルであり友人だった。嬉しい再会を果たした二人であるが、しだいに湯川は悲しい事実に気がついてしまうのである。罪を犯した友人。その友人の思いは分かるが、みすみす真実を誰も知らずに終わるのが悔しい。その葛藤の末に湯川はどうするのか。
石神の花岡を思うあまりにとる、あまりにも巧妙で壮絶な行動が目を見張る。崩せないアリバイを作り上げたところもすごいが、花岡を逮捕させないために究極の切り札を用意していた石神。そこまでして、片思いの相手につくせるものなのか。まさに容疑者の献身!という作品だった。
短編のガリレオシリーズは、トリック重視だったけれど、こっちは心理的なものも、犯罪を犯罪で隠していくトリックも文句なしで面白い。犯行の日付に全く着目せず読んでいただけに、最後の仕掛けが分かったときはなんと!!と驚きました。
シリーズだけど、コレだけ読んでも充分楽しめる1冊。ぜひ読んでみてください。
「マークスの山」
マークスの山(下) 講談社文庫

合田雄一郎刑事シリーズの1作目で直木賞をとった作品。
南アルプスの山中で心中した親子が発見され、奇跡的に幼い男の子が生還した。しかし、彼の心の中には「暗い山」が影を落とし、重度の精神障害を残すこととなる。
一方、近くの工事現場では、酒に酔った精神を病んでいた作業者が登山者を殴り殺す事件が発生。凶器のあった場所など不可解な点が多い中、捜査は打ち切られてしまう。
この16年後、刑事の合田雄一郎は、東京で起こる連続殺人事件の捜査に当たる。
公務員、元暴力団員・・・。どちらも鋭利な刃物のようなもので突き刺されて死んでいた。
なかなか被害者の関係が見出せない。
この連続殺人犯こそが、心中して生還した少年・水沢裕之。彼は重度の精神障害を負っており、健忘症を患い、「暗い山」が心を覆いつくす。「暗い山」の間は、心の中にいる残酷な人格が彼を攻め立てる。 水沢は、とある事件で刑務所から出所した後、頭の中の声「マークス」の言うとおりに大金を得る計画に着手し、殺人を繰り返していく。
水沢が青年になってから、残虐な人格を持ち、殺人を犯していく様子が描かれるため、犯人は分かりますが、被害者がなぜ被害者になってしまったのか、その背景が分からない。最初は合田ら、警察が、犯人である水沢までどうやってたどり着くのかを読んでいく。そのうち徐々に、水沢が標的とした被害者達の接点や過去の秘密が明らかになり、「16年前」の南アルプスへと回帰していく構造。「マークス」の名前も大きな意味があったこともわかり、非常にスリリング。
また、警察内部の描写も緻密で、警察や地検の軋轢や横槍もそうであるし、個々の捜査員の周りを出し抜こうとしたりする心理戦が濃密。警察のちょっとした捜査の怠慢が、どんどん明らかになってあせっていく様子も面白い。
今まで読んだ「照柿」や「李歐」では、工場の描写が凄かったけれど、今回は「山」の、何かを飲み込みそうな重い感じの書き方が凄い。本当に女性が書いたのだろうかといつも驚いてしまう。
ラストの終焉に向かう部分がスピード感や捜査員の最後の意気込みがあるのと、哀しい殺人者の最後がとても悲しいのに、自然がとても雄大で美しいという対比が、あっさりしてるラストだけど印象的だった。
「夜明けの街で」
不倫はやっても、離婚しちゃぁいけないよ。痛い目にあうよという警鐘をあなたに・・。
実家に帰ると、棚に東野圭吾さんの本が溢れていた。読書が苦手な人ものめりこめる凄い人だ。未読の本がたくさんあったが、「幻夜」など時間がかかりそうなものが多かったため、すぐに読めそうな「夜明けの街で」を手にとった。
この本は不倫の話である。不倫の話はいろんな作家が書いており、特に女性作家の書く恋愛小説といえば不倫なんじゃないかってくらい不倫の話が出てくるのは気のせいだろうか?
東野圭吾さんが書くと不倫はどう描かれるのか、興味は引かれる。
サラリーマンの渡辺は妻と幼稚園の娘を持つ男で、不倫などをやる奴は馬鹿だと思っていた。が、派遣で入ってきた、少し気の強い秋葉に惹かれてしまい、気づいたときには「不倫の関係」になっていた。渡辺は、毎週木曜日の逢瀬や、土日・クリスマスなどの記念日に会うための口実を友人の手をかりながら苦心して作っていく。「
友人の新谷が不倫はしても離婚はやめろと諭していたが、渡辺の心は、女ではなく「娘の母親」でしかない妻より、秋葉と一緒にいたいと強く思うようになる。
ところが、秋葉にとある疑惑があることが分かる。秋葉が学生の頃に母親が自殺しており、そのあとに秋葉の家で父親の秘書で不倫相手だったといわれる女が刺殺されたという。しかも、時効を迎える今年、秋葉が容疑者とまだ疑ってかかる者もいることがわかる。時効の日を迎えればすべて真実が分かるという秋葉。結婚を迫ってきている秋葉であるが、殺人犯かもしれない秋葉を渡辺は選ぶことができるのか、ゆれまくる。そんな話だ。
このように、不倫相手が殺人犯かもしれないという、あっさりしたミステリの要素を入れて、男性の視点で不倫を描いている。
不倫をする。最初は体の関係だけで、お互いに割り切ればいい。妻にばれなければいい。それが、気がつけば不倫相手のほうに傾いている。なぜなら妻は、恋人ではなく、娘を持った母親であり、ときめく部分がないのだ。「家庭を大切にして、私は大丈夫・・・」という女性も、気を許すと、結婚を迫ってくる。不倫を続けても、やめても地獄である。特に男性に関しては、慰謝料などの経済的な打撃も避けられない。いつまでも恋愛する気持ちを忘れないのは、なかなかロマンがあるかもしれないが、現実的にはなんとも恐ろしい行為なのだよ、と「番外編 新谷君の話」も含めて伝わってくる。それにしても女というのは恐ろしい。
この前に読んだ「イニシエーション・ラブ」も、女が強かで、最後にミステリ的などんでん返しがあるという話だったな・・・。
実家に帰ると、棚に東野圭吾さんの本が溢れていた。読書が苦手な人ものめりこめる凄い人だ。未読の本がたくさんあったが、「幻夜」など時間がかかりそうなものが多かったため、すぐに読めそうな「夜明けの街で」を手にとった。
この本は不倫の話である。不倫の話はいろんな作家が書いており、特に女性作家の書く恋愛小説といえば不倫なんじゃないかってくらい不倫の話が出てくるのは気のせいだろうか?
東野圭吾さんが書くと不倫はどう描かれるのか、興味は引かれる。
サラリーマンの渡辺は妻と幼稚園の娘を持つ男で、不倫などをやる奴は馬鹿だと思っていた。が、派遣で入ってきた、少し気の強い秋葉に惹かれてしまい、気づいたときには「不倫の関係」になっていた。渡辺は、毎週木曜日の逢瀬や、土日・クリスマスなどの記念日に会うための口実を友人の手をかりながら苦心して作っていく。「
友人の新谷が不倫はしても離婚はやめろと諭していたが、渡辺の心は、女ではなく「娘の母親」でしかない妻より、秋葉と一緒にいたいと強く思うようになる。
ところが、秋葉にとある疑惑があることが分かる。秋葉が学生の頃に母親が自殺しており、そのあとに秋葉の家で父親の秘書で不倫相手だったといわれる女が刺殺されたという。しかも、時効を迎える今年、秋葉が容疑者とまだ疑ってかかる者もいることがわかる。時効の日を迎えればすべて真実が分かるという秋葉。結婚を迫ってきている秋葉であるが、殺人犯かもしれない秋葉を渡辺は選ぶことができるのか、ゆれまくる。そんな話だ。
このように、不倫相手が殺人犯かもしれないという、あっさりしたミステリの要素を入れて、男性の視点で不倫を描いている。
不倫をする。最初は体の関係だけで、お互いに割り切ればいい。妻にばれなければいい。それが、気がつけば不倫相手のほうに傾いている。なぜなら妻は、恋人ではなく、娘を持った母親であり、ときめく部分がないのだ。「家庭を大切にして、私は大丈夫・・・」という女性も、気を許すと、結婚を迫ってくる。不倫を続けても、やめても地獄である。特に男性に関しては、慰謝料などの経済的な打撃も避けられない。いつまでも恋愛する気持ちを忘れないのは、なかなかロマンがあるかもしれないが、現実的にはなんとも恐ろしい行為なのだよ、と「番外編 新谷君の話」も含めて伝わってくる。それにしても女というのは恐ろしい。
この前に読んだ「イニシエーション・ラブ」も、女が強かで、最後にミステリ的などんでん返しがあるという話だったな・・・。













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