☆4040の本棚☆ 文庫とミステリに偏っている私的な読んだ本のおぼえ書きです。
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2009.06
14
(Sun)


なかなか読書のペースが上がらないので、久しぶりに森博嗣さんの本を買ってみました。

 編集者が、今までに出された森さんの本から抜粋した文章に、森さんが写真を添えたというシンプルな本です。 抜粋されたものは、「S&M」「V」シリーズやいくつかの短編で出てきた、登場人物たちの思考や会話です。それは森博嗣さん自身の思考そのものです。

人間の思考、愛、孤独、社会、言葉、愚・・・そういうものの表現が、普段考えないようなことばかりで、研ぎ澄まされていて、潔さが心地がよい。些細なことに喜んだり苦しんだり、思考は浅いし、心も頭もぐちゃぐちゃ落ち着いていない自分は、ここまで冷静に物事を見ながら生きるなんてできないのですが、読んでいたら、その間だけは静まるような気がします。

 間違いなく、読む人によっては、意味が分からなかったり、詭弁だと感じたり評価は分かれるでしょう。私にしても、理解はできていないし、森さんの作品が好きだからこそ、こういう思考の文章が好きだと思っているだけであって、そういう文脈がなければ琴線にも触れないのだろうな。

 写真も素敵なんですね。そこにあるのは美しい風景ではなく、むしろ身近にある雑多な自然や、ガラクタだったりします。不思議なのは、街にごろごろ転がっている「形」がキレイに抜き取られているところで、風景としてしか世界を見ていない自分にとって、図形を見つけられる森さんの目は凄いなと思います。

 単に小説として50冊近く読んできましたが、もう一度読むことがあれば、深い台詞にもっと目を留めて読んでみたいものです。この本にのっているのはほんの一部でしかないのです。
2009.06
09
(Tue)

「五郎治殿御始末」 


浅田 次郎
Amazonランキング:17921位
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 時代が変わる。為政者や体制がまったく別のものになる。終戦がひとつの大きな区切りとすれば、その前の区切りは、徳川幕府の終焉と明治政府の始まりである。
 幕府から明治政府への変化は、政治体制だけでは簡単に語れない。人々の生き方や心のよりどころが変わり、生活の仕方も変わってしまった。その混乱の中の人々を、暖かく、面白く、そして悲しくもやさしく描いているのがこの作品です。

 主君に対する忠誠心を描いているのが『椿寺まで』『遠い砲音』。
『椿寺まで』は、商売人に引き取られて住み込みで働く少年が、親方に連れられて目的の分からない旅に出る。そこで少年は自分の出自を知ることになります。潔く商人になった武士が貫いている姿に、ついていこうと決意する少年を描いています。『遠い砲音』は、明治政府の軍隊に入った元武士が、行き場を失った殿様をどこまでも守り続けている姿が描かれています。

 また、江戸時代になかった制度に戸惑う武士たちの話は、現在の当たり前の制度に戸惑う人々が書かれていて、新鮮です。さきほどの『遠い砲音』ではまず時計が読むことができず、遅刻や大砲のうち間違いなど失敗を繰り返し、うまく順応したワカモノに冷たい目で見られるおじさんが「時間」の概念に四苦八苦する姿が面白いです。また、『西を向く侍』では天文方で太陰暦を定めてきた武士が政府から召されるのを待っていたが一向にその気配がない。明治政府が諸外国から取り入れた「太陽暦」に猛烈に反対し、正月が早く来たり、俸禄が調整されたり、民衆が混乱する政治をしてはならないと訴える。時間や暦は便利だけど、今までの習慣の変更を余儀なくされ、行動を区切られて生きにくくなってしまった当時の人々の姿が見えます。

 江戸時代が終わって特権を奪われて路頭に迷ったのが武士です。帯刀が禁止されて、人を切ることは、「罪」に変わってしまった。こうやって、あだ討ちが許された時代がおわり、あだを討てなくなってしまった武士の苦悩を描いたのが『柘榴坂の仇討』。井伊直弼の配下にあった元武士が、車引きとなった仇を見つけ対峙する話です。また、『箱館証文』は、戊辰戦争で命を「金」で売って、明治の世になってそのつけに振り回される4人の元武士が滑稽な話です。
 そして表題作「五郎治殿御始末」は、孫が、江戸時代の最後に生まれ、江戸時代を知る最後の世代と思われる曽祖父から、そのまた祖父の話を聞けたとしたら、こんな話なのではないか…と作られた話です。「孫」は浅田次郎さんご本人なのでしょう。
 曽祖父は、幼いころ、祖父の五郎治と新政府に制覇されてしまった国を出て、死に場所を探してさまよっていた。曽祖父は小さいながらも武士として、覚悟を決めていたが、知人の商人に自害を止められます。商人は、武士も商人もなく、人間として幼子の将来まで奪ってはならないと、命がけで武士だった五郎治に訴えます。商人の下で新しい人生を歩みだした曽祖父と、遠い地で最後まで武士を貫き通した五郎治の悲しい話ですが、どこか暖かい、これぞ「浅田節」で語られます。

 主君への忠誠や仇など、自分の生を捧げるもの(たとえそれが形骸化していたとしても)や、なに不自由なく馴染んでいた習慣を180度ひっくり返されるという体験は自分の身に置き換えると結構恐ろしいものです。それは、いい方向に変わるより、不都合であったり、恐怖を感じる方向に変わるのではという予感があるからでしょうか。
 現在の自分たちの習慣を、受け入れようと努力してきた過去の人々の姿を物語として見るのは、なにかいとおしいものを見ているようで心なしか暖かい気持ちになりますが、そこで失われた日本がたくさん存在するのだなと改めて思います。
 
2009.05
24
(Sun)

「吉原手引草」 


松井 今朝子
Amazonランキング:2135位
Amazonおすすめ度:



第137回直木賞を受賞した作品が文庫化されました。

 江戸時代、栄華を誇った遊郭が並ぶ「吉原」。そこで店のトップクラス「呼び出しの花魁」として有名だった葛城という花魁が、何らかの事が起こり、姿を消したらしい。葛城はなぜ姿を消したのか?多くの周辺の人物たちの言葉で、葛城の人物像と、姿を消した血腥い出来事の真相が明かされていく。

 話は、とある若い男が、廓遊びがはじめての人物を装い、引き手茶屋や遊郭の使用人たちを次々と訪ね、葛城のことを何とか聞き出していく形で進んでいきます。吉原の中ではタブーとされている葛城の話題を、男はたくみに聞きだします。殿方相手に一歩も引かず、翻弄した頭のいい女性であった葛城の人物像や、身請けをかけた周囲の男たち、彼女の過去に関する謎がじわじわと浮かんできます。
吉原・花魁・遊郭・・・とはいえ、読者にはほとんど知識がないといっていいと思います。たまたま「さくらん」を見たので、なんとなく分かる程度でした。それを、話を通してこの「若い男」だけではなく読者にも吉原という世界の仕組みが、説明的ではなく分かるようになっているところが凄いと思いました。


-卵の四角と女郎の誠はないものだ-

という言葉がでてきます。「ありえないこと」の例えとして辞書にも載っているほどの言葉でした。
四角い卵がないように、女郎が本当の心で客と接することはない。廓の中で起こったことはすべてかりそめの出来事。その嘘で塗り固められた廓の中で、男たちが本性をむき出しにする。誰よりも嘘が巧妙で大胆だった葛城が突き通したひとつの真実。廓には人間のどろどろとした世界が広がっているけれど、なぜかドロドロとしたものより悲哀を感じさせられた作品でした。

 非常に面白い作品でした。ぜひ読んでみてください。
2009.05
17
(Sun)

Story Seller  


Amazonランキング:4327位
Amazonおすすめ度:


 
 7人の人気作家の短編が収められたアンソロジー。
伊坂幸太郎さんの作品が入っていることと、米澤さんや本多さんなどミステリを読んだことがある作家さんの作品が入っていたのでなんだか面白そうと思い、買いました。

■首折り男の周辺(伊坂幸太郎) 
 ☆☆☆ お得意の叙述で惑わされます。ドラマチックじゃないけど好きです。
■プロトンの中の孤独(近藤史恵)
 ☆☆  自転車のレース選手たちのチームプレーを描いた作品。真っ直ぐまじめなお話でした。
■ストーリー・セラー(有川浩)
 ☆    小説家の妻が「思考」すると寿命が縮まる病に侵される話。奇病と死はちょっと苦手。
■玉野五十鈴の誉れ(米澤穂信)
 ☆☆  戦後のとある令嬢とメイドの話で、主人公の無抵抗とおばあさまの傍若無人にはイラっときますが、嫌いじゃない話でした。
■333のテッペン(佐藤友哉)
 ☆☆☆ 過激そうなのでなかなか手にしていなかった佐藤さんの作品。シリーズモノなのでしょうか?登場人物の背景が気になりました。
■光の箱(道尾秀介)
 ☆☆☆  「ラットマン」道尾さんの1編。こちらも叙述に惑わされます。
■ここじゃない場所(本多孝好)
 ☆☆  女子高生が主人公なのがちょっと意外でした。これもシリーズものでは?と思うような人が出てきます。分からないですが。

いろいろな人の感想を見ていると、好き嫌いがそれぞれ違っていて面白いですね。
「2」もあるようです。伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、佐藤友哉、米澤穂信、本多孝好、沢木耕太郎の7人で道尾さんがいないラインナップ。文庫になったらよんでみたいです。
2009.05
10
(Sun)

「鉄鼠の檻」 


京極 夏彦
Amazonランキング:16650位
Amazonおすすめ度:


 
 京極堂シリーズ第4弾「鉄鼠の檻」です。

  今回も相変わらず京極さんは冷たく、関口氏はウジウジしており、エノさんは言い間違いを多発していました。木場修さんは出てきませんでした。
 
 箱根の山奥にある禅寺で起こる殺人事件と、寺と人々に巣食った憑き物を京極堂が落とします。

 中尊寺敦子と鳥口は取材先の寺に行くために仙石楼という旅館に立ち寄ります。その雪の降り積もった庭先に、突如として僧の遺体が現れる。座禅を組んだ姿のままで・・・。
 敦子と、足を突っ込むことになった関口らは、亡くなった僧がいた取材先でもある明慧寺を訪れます。
 そこは俗世と隔別された修行の地。座禅に禅問答を行い、大悟を目指して僧たちが厳しい修行をしている。文明社会をまったく受け付けない雰囲気を持っています。そこで第2の殺人が起こっていきます。
 どこかシンボリックに捨て置かれた遺体の謎に、僧侶たちに動機となる確執はありそうだが、調べども真相は見えず、警察は次から次へと容疑者を増やしていくばかりです。

 この禅寺・明慧寺の存在も不気味な謎を秘めています。京極堂ですら知らない、存在するはずのない寺なのです。いつからそこにあるのか、何のために作られた寺なのか、資金源はどこなのかがまるでわからない。檀家を持たず、葬式をあげたりもしない。純粋に修行のみをしている寺など、この世の中で存在するのか、事件と並んで大きな謎で、事件の真相より気になるところです。
 そこにこの世のものか、違うものなのか。「年をとらない」、恐ろしげな歌を唄う振袖少女がそこかしこに姿を現し、人々をぞっとさせる。「姑獲鳥の夏」で出てきた人物も現れ、殺人に寺の謎、幽霊のような少女・・・The京極堂シリーズといった舞台装置があらわれます。

 この本で深く語られているのが「禅」についてです。禅は言葉を排除していくため、言葉を巧みにに操って人の認識を崩していく京極堂はまともに戦うことはできないと、事件への関与を固く拒否します。
日本の禅宗といえば栄西の臨済宗と、道元の曹洞宗、というのは誰でも知っている知識。中国で発生したこの禅がどのような派閥の分かれ方をして日本に伝わったか、この2つの違いは何なのか。そして禅とは何なのかについて、僧侶や京極堂の口を通してみっちり説明されているのが大きな特徴です。(自分は曹洞宗なのですがほとんど知らないことばかりなのでかなり勉強になりました。)
 
 
 これまでの作品と比べるとえぐさは少ないけれど薄気味悪い作品でした。

 どうやって?<何故?<誰が?<この寺は一体・・・?

 という感じで、寺の存在が一番気になったし、おそらく一番手の込んでいたところだと思います。


 今回は文庫版を買いました。厚さが53mmもあるという非常に読みにくい読みごたえのある製本になっています。気に入った1行を探したいと思いながら読むのですが、いまだかなわずです。

2009.04
29
(Wed)

「名探偵の掟」 

 「本格推理小説」を推理小説家自ら一刀両断、皮肉にも笑い飛ばす、痛快な1冊。

東野 圭吾
Amazonランキング:336位
Amazonおすすめ度:



 自称・頭脳明晰・博学多才・行動力抜群の名探偵、天下一大五郎と、某県警捜査一課警部の大河原番三の二人が次々に起こる「難事件」を解決していくミステリー。・・・という形で「本格推理小説」とは何かを追求していく短編集。非常に楽しい1冊です。

 アガサクリスティやクイーン、日本では松本清張に江戸川乱歩に始まり、西村京太郎・・・さまざまな「本格推理小説」が無数に存在します。
 本格推理小説「天下一シリーズ」の大河原も、天下一も本格推理小説「天下一シリーズ」の登場人物であることを自覚しており、時に触れては、こういう小説の定説にぼやきをいれてきます。話の冒頭から、大河原が自分は天下一の引き立て役であり、事件の真相はわかっているが知らない振りをして、わざと的外れな捜査をし、探偵を持ち上げるのは大変だなどと嘯いたりします。そして、「あなた、本当に密室事件なんて面白いんですかい」などと、本格推理小説のへんてこなパターンや設定を嘆きます。 それは下の目次を見てもらえば分かるように、事件の舞台や登場人物の関係が不自然さや、殺害方法・解決方法のまわりくどさへの疑問ばかり。どれも「確かに」とうなずいてしまうものばかりです。そして、探偵小説が用意できる意外性には何があるのかとことん突き詰めていくラストが用意されています。

  一つ一つの短編で、お決まりの事件が起こるわけですが、事件の解決よりも、その変な世界に突っ込みを入れることがメインなので登場人物の名前や、途中の細かい部分が面白いほど投げやりです。ただ、事件の真相は通常想定するような結果ではなく、ものすごく変な点をついてくるから驚きがあります。

 
プロローグ
第一章 密室宣言-トリックの王様
第二章 意外な犯人-フーダニット
第三章 屋敷を孤立させる理由(わけ)-閉ざされた空間 
第四章 最後の一言-ダイイングメッセージ
第五章 アリバイ宣言-時刻表トリック
第六章 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論-二時間ドラマ
第七章 切断の理由-バラバラ死体
第八章 トリックの正体-???
第九章 殺すなら今-童謡殺人
第十章 アンフェアの見本-ミステリのルール
第十一章 禁句-首なし死体
第十二章 凶器の話-殺人手段
エピローグ
最後の選択--名探偵のその後

 
 
 「毒笑小説」のシリーズに似た、東野さんの笑いの部分と、ミステリー作家としての思いが詰まった1冊。ミステリー好きの方は読んでみてはいかがでしょうか?

 ちなみに、ドラマ化されていると帯に書かれていたので、見てみました。やっぱり映像化はきついみたいですね。推理小説のセオリーにつっこみを入れる場面への流れが不自然だし、小説を読みながらこそ実感できる掟が多いのでドラマとしては少し微妙でした。
2009.04
15
(Wed)


 考古学者の女性とFBI捜査官が、美術館襲撃事件を発端に「テンプル騎士団」が残したキリスト教の根本を揺るがす古文書を追うサスペンス。
 
 N.Yのメトロポリタン美術館に、「テンプル騎士団」のマントを身にまとい馬に乗った「騎士」4人が襲撃する。ヴァチカンの秘宝を無残に打ち壊し、ガードマンの首を刎ね、逃げ惑う人々を撃った。観客だった考古学者のテスは、一人の騎士が目立たない展示物である暗号機を大切に持ち去るのを目撃する。
 仕事に恵まれない考古学者であるテスは、暗号機のことを調べるうちに、テンプル騎士団が事件に関係していることを確信する。「テンプル騎士団」は13世紀のヨーロッパで、巡礼者を守るために働いていた騎士団であるが、徐々に力と富を蓄え、いつしか教会を脅かす存在になっていた。そのため、教会と王が手を組み、テンプル騎士団を迫害して滅ぼしてしまう。このテンプル騎士団は、キリスト教を揺るがすような大きな秘密や財宝を持っていたのではないかという説が一部の学者の中で語られていた。

 テスは、犯人はこの秘密を暴こうとしているのではないかと踏んでいる。その予測とおりに、秘密に魅入られ、重要な暗号文を手に入れている一人の男にテスは出会うことになる。
 考古学者としての一大発見を夢見るテスは、その危険な男にさらわれたり、秘密を暴こうとトルコに渡ろうとしたりと、危険を顧みず、事件に深入りしていく。事件について話を聞くうちに、美しいテスに個人的な好意を抱いてしまったFBI捜査官ライリーは、憎き犯人を追い、彼女を止めるべく一緒に歴史の謎を求める旅に出る。
 舞台はアメリカにとどまらず、暗号文の内容を追い、トルコにまで。騎士団の秘密は、キリスト教の存在と2千年にわたって築いてきた歴史を崩すような内容である。テスの学術的探究心と、キリスト教の「幻想」をぶち壊したい犯人と、教会を守ろうと暴走するヴァチカンと、犯人を逮捕したいFBIの思惑がぶつかる。果たして騎士団が残した謎とモノは何なのか?
 途中にテンプル騎士団が、この秘密を隠し、守ろうとする経緯が、騎士のマルタンの目で語られ、過酷な運命をたどった騎士団への理解と思い入れを作り出す。

 キリスト教をモチーフにした推理小説と聞くと、「ダヴィンチ・コード」があげられ、この作品も比較されてしまうことでしょう。かの作品に比べると、この作品は、事件のダイナミックさ、人間の絡み方、歴史の深みは劣ったように感じてしまいます。まず最初の犯罪が派手なわりに、最後は歴史の謎の探求に終始してしまうし、黒幕も案外あっさりしています。FBI捜査官と一般女性という組み合わせもあぁー・・・。
 真似して書かれているわけではないので、あとがきにも書かれているとおり、出る時期が「ダヴィンチ」の後ということで悪かったかもしれません。ただ、周囲で「ダヴィンチ」は難しくて分からなかったという声を多々聞きます。出てくる人物も、暗号もややこしいですし、教義や宗教とは何ぞやまで考えさせられるから重いんですね。
 「テンプル騎士団の古文書」はそういう方々にも楽に読めるような内容になっていると思います。
ドラマになっていそうな感じです。テンプル騎士団は名前は知っているけれど、功績までは知らない存在だったので、そういう歴史の面が軽くわかった点で面白かったです。
2009.03
14
(Sat)

「声だけが耳に残る」 


山崎 マキコ
Amazonランキング:20655位
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 表紙がキレイだったので買ってみましたが、だいぶ問題作だったようです。一番紹介・感想をどうかいたらいいのか難しいタイプの話です。

 26歳の椎貝加奈子は、風呂なしのアパートに引きこもり、親から金を支給してもらい、ご主人様の閣下に調教してもらい…の下品で堕落した生活を送っている。そんな生活を送るには大きな原因があった。厳格で不仲の両親の元に育ち、まじめな優等生でありつづけた加奈子。しかし、父親から母親への暴力が絶えず、目にしてきた体験が本人の気づかないうちに精神に陰を落とし、無気力、大学の中退、就職先での不遇が引き起こされていったのである。
 社会復帰をしたいと願う彼女が参加したとある集会で、自分の無気力・対人恐怖などの症状が「アダルトチルドレン」と呼ばれていることを知らされる。「AC」を治して社会に戻りたいと決意した加奈子は、集会で出会った重度のACのケイちゃんと、もがきながら回復の道をたどっていく。

 これだけ読んだら、いい話のようですが、彼らがたどる道はものすごくヘビーなのです。彼女の頭の中は、痛々しいほどの自分自身や社会に対する罵詈雑言で溢れています。他人を気にせず、金に目がくらみやすいのですが、その一方で、とても気を使って心配したりする面があり、客観的に自分を見ているのが特徴です。彼女はとある男性に近づき、痛い目にあわされ僕のような扱いを受けながらも、つつましい恋人を演じようとします。最初はその行動の意味が分からないのですが、(これがまた不快感の残る場面の連続です。)抑圧された心が引き起こした、恐ろしい行動だったことが分かります。

 集会には、自分をACだと自己憐憫で癒していく会と、「自分で理解するハイヤーパワーの力を借りて真の自分自身を理解し、自分がなすべきこととそうではないことを見分ける力と勇気を与えられるよう祈ることである・・・」と宗教かなにかと見まがうような会の2つがありました。加奈子とケイちゃんは前者を選びましたが、結果的に自分が受けた苦しみを他人に広げていく「負の連鎖」を引き起こしてしまうことになります。加奈子は、どうにかこうにか社会に復帰し、ケイちゃんが起こした事件を知ったとき、後者の会のいう意味を理解することになります。前半から中盤にかけて生々しい場面でいやーな気分になりますが、この最後のACとその再生についての解釈については、それが正しいのかどうかは別として、うなるものがあります。

 アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持っている人のことを指すということです。その内実はすごく複雑で、虐待のようなひどいケースだけが原因ではなさそうですし、症状も軽いものから鬱や精神病になるようなものまでいろいろあるようです。普通の人では理解できないような無気力感や恐怖感を持ち合わせて苦しんでいるようで、この本のケイちゃんのように犯罪に手を染めてしまう人もいるのでしょう。虐待する親、偏愛して周囲との調和を乱す親、無関心な親など「親の問題」と、すさみ、犯罪に手を染めたり、心を病んだりする子どもの問題には密接な関係があることは明白だなと思います。どうしたものでしょうかとしかいうことができません。
2009.03
07
(Sat)

「ガール」 


奥田 英朗
Amazonランキング:50699位
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 男性よりも女性のほうが、人生になんらかのドラマを感じていそうな気がするのは気のせいでしょうか?結婚・仕事・子どもの3大(?)テーマから、彼の親と住む・住まない、年齢に美容にと、悩みや「壁」がたくさん立ちはだかっています。男性と女性では、その問題たちに立ち向かう姿勢が違うような気がします。

 この本は、働く30代女性を描いた短編集です。恋愛・結婚だけではなくて、仕事でぶち当たる壁や他の働く女性たちとのぶつかりあいも細かく書いてありました。しかし、そういった女性への悲観や批判などがなく、いやな気持ちが残らないさっぱりした話ばかり。
 一つ目の話では、夫との賃金格差と自身の出世に悩む女性。
2話目は、独身でのマンション購入を考え、仕事では秘書課と秘書に囲まれる役員のおっさんに立ち向かう女性。
3話目は、バブルを潜り抜け若さを保とうとするけれど、もうワカモノ「ガール」は卒業なのか・・・と年齢に悩む女性。
4話目はシングルマザーで仕事もバリバリ復帰し、独身女性となにかと競い合ってしまう女性。
5話目は、新人の男の子がどうしても気になってしまう、恋愛と年齢を考える女性。
 
 最近のアラサーやアラフォーと呼ばれる元気な女性たちが出会いそうな話ばかり。どの女性もこの悩みを抱えるかといえば(たとえばマンション購入とか)そうでもないでしょうが、なかなかいいところをついていて面白かったです。
 30代なら「ガール」じゃなくて「ウーマン」っぽいと感じますが(「日経WOMAN」のせいかもしれないけど)、もう「ワカモノ」の部類ではないけれど、いつまでも「女の子」を残していたっていいじゃぁないかという3話目の題名なのが「ガール」。この1冊につけるにはいい題名ですね。
 奥田さんといえば、「空中ブランコ」などのぶっとび精神科医の話や、最近映画になったララピポなど、結構楽しいけれど男っぽい濃い話のイメージが合ったので、ここまで詳しい女性の生態を描いた話とは・・・!と驚くばかりです。
2009.02
22
(Sun)


 毎週日曜日小説1冊・ビジネス本1冊を買い、翌週移動中に読むことにしています。(もっと読めますがお財布に相談したいところです。)

 仕事に関して読みたい内容としては3つあります。
①モチベーション・仕事をする女性の生き方
②仕事のさばき方・対応の仕方
③営業・マーケティング

 ①は、買ったことがありません。生き方っていっても「この人のように生きよう」みたいにはなりません。そういう人たちもいるのだと参考にする程度です。モチベーションは②でも③でもあがりますので特に今は読まなくていいかなと思います。

 ②は、効率であるとか、メモの取り方・文章書き方だとか、コミュニケーションや話し方、エクセル活用法、段取り術といったもの。まだまだ素人なので(3年たったけど後輩なし)。さほど高度な仕事はしていませんが、なかなか興味を惹かれます。話し方・聞き方は難しいので、この前1冊読みました。

 ③は一番難しいところ。あまたの本がありますが、自分の身の丈くらいの本を探すのが難しい。そこそこ以上バリバリ以下のOLなので、勝間さんなどすごいビジネスマン&ウーマンが書かれた本はハードルが高い・・!基本の営業・・どう話を持っていくものなのかとか知れたらいいのです。だめなやつだとかいわないでください。
 マーケティングについては、お客さんの商品を売るためのツールが商品なので2重の意味で売る方法を知っておかなくてはいけません。私は圧倒的に知識不足。ただ、会社自体、マーケティングに基づいた広告やブランディングのレベルまでは達していないので、基本が書かれたなかなかいい本がない。通販の本ってピンポイントであるわけじゃない。結び付けられる本をさがさないといけない。あとは、やはり経験なのでしょう・・。

 さて、この本は著者は「ブリタニカ」で29歳にして世界2位の売り上げを上げ、若くして営業部長を務めた方。③に届かない内容で、①に近いかなと思います。女性営業の経験を踏まえて、営業ってこいうものですと書かれています。

 目次と一部だけ書き出します。

1章 営業は、とにかくポジティブにいこう!
 …著者の考える営業という仕事について書かれています。

2章 売れる営業に必要な「三つの能力」と「五つの財産」
    「三つの能力」=「知識能力・情緒能力・意識能力」
    「五つの財産」=「時間・エネルギー・集中力・技術・想像力」

3章 「自分を上手に売り込める人」が数字を伸ばす

4章 売れる営業の陰には”マーケティング”あり!

5章 「商品・サービスのよさ」はこうすれば伝わる
    営業は「今困っている」「このままだと不安」「もっとよくなりたい欲望」を解決するためにある

6章 「さわやかな断られ方」ができますか

7章 部下がいる人、いつかは独立したい人へ

8章 営業の超・基本 8つのステップ
    1マーケティング
    2アポイントづくり
    3コミュニケーション
    4商品説明(プレゼンテーション)
    5他社との比較(セミクロージング)
    6金額の提示(クロージング)
    7契約
    8契約直前とその後のフォロー

9章 営業は「熱く」なくちゃ!
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Author:4040
4040です*
最近のお気に入りは、梨木香歩さん、森博嗣さん、伊坂幸太朗さんです。
私も読んだぞという方は、これもいいぞという方は是非教えてください♪

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